ガチンコファイト倶楽部~ファイナルファイト~
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ガチンコファイト倶楽部、それは肉体言語によって怪異と対峙し退治する集団。

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ガチンコファイト倶楽部、それは己の拳のみを信じ、平和を守る影のヒーロー。
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ガチンコファイト倶楽部、それは圧倒的Pパワーによって、ギリメカラすら打ち抜く存在。
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これはそんな漢の中の漢たちの活躍を描くストーリー。
今回はガチンコファイト倶楽部1の一員であるとある漢の日常を垣間見よう。







「メリーさん?」

「そうです、メリーさんです」

「なんだい?それは」

「捨てた人形から電話がかかってきて、それが段々近づいてくるんです。最後には自分の後ろに…ってやつです」

「で?その都市伝説がどうしたのかね」

「都市伝説じゃないですよ。私の友人であった倶楽部の一員がこれで一人やられました」

「なるほど、しかし私には敵わないだろう。いくら背後をとったところでこの鋼の肉体には傷一つつけることは不可能であるし。音速を超えるパンチによってメリーとやらは粉砕されるであろう」

「いえ、市長2。相手は対象を傷一つつけずに殺害することが可能なんです。実際に知り合いにも負傷は見られませんでした。倶楽部のメンバーでもこいつと対峙できるのは市長を含めて数名でしょう」

「ふむ…例えそいつが魔法のような力で私を殺しに来たとして、私のPパワーがそれに劣るとでもいいたいのかね」

「い、いえ、市長のPパワーを信頼していないわけでは…」

「魔法といえど所詮は物理的に干渉しなければ殺害はできまい。それを上回るPパワーをもってすれば他愛ない。それでそのメリーとやらは?」

「はい、こちらに人形を準備しています」

「こいつを捨ててくればいいわけだな」

「はい、お願いします。あいつの、あいつの敵をとってください…。ところで市長の足にまとわりついてるそいつは何です?」

「こいつか。こいつはすねこすりさ。ペットみたいなもんだ。こういう大した悪戯しかしなッ!!」

「し、市長、盛大にすっころびましたけど大丈夫ですか!」

「こういう大した悪戯しかしない存在はつかず離れずであんまり悪戯が過ぎるようならこうやってちょっとお仕置きしてやれば…死んだか、他愛ない」

市長の鋼の拳によってすねこすりは灰へと帰した。

「と、とにかく最近怪異を捕らえて監禁する組織の噂もありますし、そいつらに捕まえられる前にお願いしますね」

「任せておけ。他の組織に先んじられる訳にはいかんからな」

そう、市長なら必ずやってくれる。市長に人形を預けた私はそう信じている。私は過去の自分を思い出していた。


5年前、私は札付きの不良だった。麻薬と殺し以外のことは全部やったといっても過言ではないくらいだ。私は帰宅中と思われる女性に目を付けた。いつものようにナイフで脅して金を奪ってあわよくば…といったところだ。女性が暗がりに入った瞬間、ポケットからナイフを取り出す。このまま一気に近づき…。

「おや?」

横からぬっと男が現れる。なんだこいつは?急に前に出てきやがった。まあいい、獲物が一人増えただけだ。

「おいおっさん、邪魔するとお前も殺…」

「ん?」

「こ、殺…」

「ん?」

あ、ありえねえ。目線を合わせただけで俺が怖気づくなんて。この男はいったい…。でも、やるしかねえ!

「う、うおお!」

ナイフを男の腹部に突き刺す。やった!なんてことはない。こいつもただの男だ。ナイフで刺されればひとたまりもあるまい。勝利を確信しナイフを引き抜く。そこには突き刺さっていたと思っていたひしゃげたナイフの刃が。

「それで、ころ、なんだい?」

「こ、殺さないでください」

これが市長との出会いだった。そう、この漢なら必ずやってくれるはずだ。


数日後、市長は市長室3でメリーさんを待ち受けていた。人形を捨てたのは前日の夕方。話によると翌日の夜には出現するとのことである。市長はファイティングポーズをとり、万全の体制だ。怪異など一捻りにしてくれる、そんな気概を感じる。

こうしてメリーさんと市長との戦いの火蓋は切って落とされた。拳と怪異というまさに異種格闘技戦。圧倒的不利かと思われる市長は果たしてどう戦うのか。

プルルルル…プルルルル…。電話が鳴った。まるで試合開始のゴングであるかのようだ。さすがの市長にも緊張が走る。ガチャ。今時珍しい固定電話をとる。そう、市長はスマホなどという軟弱なものは持ち合わせていないのだ。

「もしもし、こちら市長」

恭しく発言する。自ら名乗るのは礼儀の基本である。怪異相手にも礼儀を忘れない市長はまさに紳士。メリーさんもこの紳士的な対応には赤面せざるを得ないだろう。

「…もしもし、私メリーさん。今木更津駅にいるの」

メリーさん負けじと名乗り出る。ファーストコンタクトは互角といったところか。こうして第一ラウンドは幕を閉じた。











プルルルル…プルルルル…。第二試合のゴングが鳴り響く。

「もしもし、こちら市長。早く来るといい。君の頬を打ち抜きたいと筋肉が躍動しているよ」

ここは市長相手を煽っていく。この煽りに対し、メリーさんはどう対応するのか。

「…もしもし、私メリーさん。今あなたの家の近所のゴミ捨て場にいるの」

なんとメリーさん無視である。市長の煽りに対して全くの無視を敢行するとはその鋼の精神には感嘆するものがある。第二ラウンドはメリーさんの優勢といったところだろうか。











プルルルル…プルルルル…。三度目のゴングが鳴り響く。先ほどのメリーさんの対応に市長は若干汗ばみながら電話をとる。

「もしもし、こちら市長」

先ほどの攻撃からあえてシンプルに対応する。

「…もしもし、私メリーさん。今あなたの家の前にいるの」

…そういうことか。市長ここで気づく。相手は機械的に言葉を発しているのみであり、なんらかの意思をもって発言しているものではないことを。機械的に動いているということか。このとき市長は勝利を確信した。機械的に動いているならば、予想外の行動をとることによって対策することが可能だ。そうと決まれば。市長は立ち上がりその巨木のような体で闊歩しだした。












プルルルル…プルルルル…。ついに最終ラウンドのゴングが鳴り響いた。泣いても笑ってもこれが最後の戦いである。市長のほうはというと余裕の面持ちである。果たして勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか。

ガチャ、ゆっくりと電話をとる市長。余裕の態度で対応する。

「もしもし、こちら市長」

「もしもし、私メリーさん今あなたの後ろにッ…!」

「私の後ろ?私の後ろは」









「壁なんだがなあ?」

市長、なんと背後をとられることを見越してなんと壁を背に立っている!しかもその壁は鉄筋コンクリート製の防音完備の頑丈な壁となっている!これにはメリーさんといえどもひとたまりもないだろう!市長、余裕の表情でゆっくりと背を壁から離し振り向こうとする!その瞬間!

ボゴォ!

壁を盛大に突き破ってちっちゃなお手手が出てきたではないか!しかし人間の手にしてはあまりにもサイズが小さい!これは人形の手である!なんとメリーさん鉄筋コンクリートの壁から脱出しようとしている!なんというPパワーの持ち主か!メリーさんを侮っていた市長もこれには驚きを隠せない!その間に脱出を許してしまう!これでは市長が背後をとられ殺されてしまう!

「でやぁー!」

なんと市長寝転がってしまった!これは敗北を認めたということか!?いや、これは違う!これは…猪木アリ状態4である!一方的に相手の背後をとることが可能であるメリーさんに対しこの選択は最適解であるといえよう!こうなってはメリーさんも姿を現すしか選択肢はない!ゆっくりと壁の中から姿を現す!

「なるほど、可愛らしいお人形ちゃんじゃないか」

「そういって舐めきった連中は皆死んだよ。あのお前の部下みたいにな」

「部下…だと?」

「あの人形をあんたに手渡した時点でそれは捨てた判定にはいるのさ。前哨戦には物足りなかったね」

「あの部下のようにだと?…ガイ5のことか…ガイのことかーっ!!」

しかしあくまで冷静な市長は猪木アリ状態を解くことはない。こう見えて市長は寝技も得意としているのだ。自慢の筋肉を生かした締め付けから逃げられたものは一人もいない。メリーさんとしては市長の足に対しローキックを繰り出すことや飛び掛ってグラウンドポジションを取ることは可能であるが、寝技を得意とする市長から三角絞めや腕ひしぎ十字固めを仕掛けられるリスクがある。これにより膠着状態が続く。果たしてどちらが先に仕掛けるのだろうか。

しかしここでメリーさん動く。ゆっくりと市長の足側から頭部の方へと移動する。そしてなんと、頭部への蹴りを繰り出した!これはUFC、DREAMなどの興行では禁止されている行為である!しかし怪異に対しそんなものは関係ない!たまらず市長は飛び起きてしまった!市長、絶体絶命か!と思われたが市長なんと飛び起きると同時に背後に向かって強烈な蹴りを繰り出した!背後へと瞬間移動することを見越して蹴りを置いておいたのだ!後ろ蹴りはメリーさんの腹部にヒット!深刻なダメージを与えるに至った!メリーさんたまらずその場でうずくまってしまう!

「メリーさんといったか。この程度のPパワーで私を倒そうというのかね」

「クソッ!こうなりゃ最後の手段を使うしか…」

「なんでも出してきたまえ。私のPパワーの前には君の不思議な力など取るに足らないことを教えてあげよう」

このとき市長は油断していた。次に瞬間移動したとしても再び後ろ蹴りを喰らわせてしまえばノックダウンできるだろうと。その油断が命取りとなった。

辺りに不思議な空気が漂う。これはメリーさんが発しているものなのか。いや、違う。「メリーさんたち」が発しているものである。なんとメリーさん増援を呼んだのだ。捨てられた人形たちの怨念たちを呼び寄せ、市長を取り囲んでいるのである。大量の人形に取り囲まれた市長。今度こそ絶体絶命のピンチである。

「随分好き勝手やってくれたからね。じわじわといたぶって殺してやるよ」

「卑怯者め…!」

取り囲んだ人形たちに手足を掴まれ自由を奪われた市長。その腹部にメリーさんの拳がめり込む。ここからは試合ではない。一方的な虐殺である。周囲の人形たちも参加し殴る蹴るの暴行を市長に加えていく。流れる血液、吐き出される吐瀉物、市長の体はもう限界に近い。こうして市長は意識を失ってしまった。

「あっけないねえ。これが私たち怪異の天敵だなんて信じられないよ」

ああ、このままでは市長が殺されてしまう!と思われたその瞬間!市長の目が光り輝く!そして両手両足を拘束されたままダブルラリアットを開始したではないか!これにより両手両足を掴んでいた人形たちは振り払われ、回転した衝撃により破壊されてしまった!

「なにぃ!?全員で押さえつけろ!この人数差なら勝てる!」

他の人形たちも一斉にとびかかる!しかし市長のダブルラリアット中には全身の筋肉は硬化し、全ての攻撃を遮断する!ご存知の通り、この筋肉の硬化は無敵判定6と呼ばれる市長の必殺技だ!その反動として体力を少し消費するがこれ以外に打開する方法はなかったと言えよう!

「クソッ!クソッ!どうなってるんだ!」

全ての人形は灰燼に帰し、メリーさんへと向かう。

「くっ来るな!化物め!」

「化物は貴様のほうだろう。化物を打ち倒すのはいつだって人間だ」

拳がメリーさんの顔面にめり込む。

「そして最終的に勝つのはいつだって人間だ」

メリーさんは砂となって消えた。

「ふん、他愛ないな」

こうしてメリーさんとの死闘は幕を閉じた。
しかしこれからも怪異との戦いは続く。
ハガー市長の人間に仇なす怪異を撲滅するという計画は始動したばかりなのだ。


最後の戦い 娘を取り戻すのだ さあファイナルファイト7
拳を信じて 怪異と立ち向かうのだ いざファイナルファイト
毎日が戦い 全て取り戻すんだ だからファイナルファイト
oh ファイナルファイト ファイナルファイト

~fin~

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