原田ミョルチジョッ
ナギナタナマズニズムの専門家。視力0.0で、実はメガネモチノウオに憧れただて眼鏡だぞ!
おしゃかにゃんこポン
ナギナタナマズニスト見習い。猫耳は魚釣り中に釣り上げたぞ!
原田ミョルチジョッ
やあ、おしゃかにゃんこくん!今日も元気にナギナタナマズニズムしてるかい?
おしゃかにゃんこポン
はい先生!前回「まず身近な魚類をセめろ!」って教わったので、今は錦鯉を食べてますにゃ!
原田ミョルチジョッ
PERFECTOペルフェクト!いいねいいね、実にいいナギナタナマズニズムだ!そうやって知識を付けることがナギナタナマズニズムの第一歩だからね!
…ところでおしゃかにゃんこポンくん。キミは、そもそもナギナタナマズニズムってどうやって生まれたか知ってるかい?
おしゃかにゃんこポン
どうやって…?えーっと、フランスとかのエラい美食家さんたちが思い付いたとか?
原田ミョルチジョッ
惜しい!確かに、ナギナタナマズニズムに似てるI.M.料理(Impermanent Magurokatsuosism)とかはそんな経緯で誕生したものだけど、ナギナタナマズニズムはちょっと違うんだ。ナギナタナマズニズムの誕生には、マグロカツオシズム(Magurokatsuosism)が深ぁく関わってくるんだよ。
おしゃかにゃんこポン
えっ、ま、マグロカツオ刺身…?何だか涎がでてくるお話だにゃ…。
原田ミョルチジョッ
Non nonノンノン、マグロカツオシズムさ。日本語に訳すと「巨大混魚思想」とかかな。ナギナタナマズニズムが「鱗がなく、発電器官を持つ魚デンキウナギ」を象徴とするのは覚えてるかい?
おしゃかにゃんこポン
覚えてますにゃ!デンキウナギとそのナギナタナマズって異名が、「全ての魚類を肯定して差異を無視する」っていうナギナタナマズニズムの有り様に似ているから、ですよね!
原田ミョルチジョッ
THAT'S RIGHTザッツライ!その通りさ!デンキウナギは全く違う種類にも関わらず「ナギナタナマズ」という別の魚の名前を異名に持つんだったね。ただ、デンキウナギがナギナタナマズと呼ばれるずっと前からナギナタナマズニズムは存在したんだ。これを古代マグロカツオシズム(Ancient Magurokatsuosism)と呼ぶよ。
おしゃかにゃんこポン
ふむふむ、にゃるほど…。
…アレ?何で「古代ナギナタナマズニズム」じゃなくて「古代マグロカツオシズム」って言うんですかにゃ?
原田ミョルチジョッ
おっ、鋭いねえ!マグロカツオシズムというのは「全世界のあらゆる魚や海洋哺乳類は余すことなく美味である」という発想を中心にあらゆる魚類を混同していくんだけど、実はこのマグロカツオシズムにはナギナタナマズニズムが含まれるのさ!
おしゃかにゃんこポン
エーッ!!つ、つまり、ナギナタナマズニズムっていうのは、マグロカツオシズムっていう思想の氷山の一角…?
原田ミョルチジョッ
うん、そうだよ。ナギナタナマズニズムはマグロカツオシズムの中ではかなり新参な方なんだけど、少なくとも今では最大規模を誇るマグロカツオシズムだ。特徴的な調理法とかは今のところ無いから、ナギナタナマズニズムを理解すれば大体マグロカツオシズムを理解したと言えるだろうね。
原田ミョルチジョッ
さて、それじゃあマグロカツオシズムについてもっと詳しく見ていこうか。マグロカツオシズムとは文字通り「マグロとカツオを混同する」という考えからついた名前だよ。

さっき出てきた古代マグロカツオシズムは、一番古いと3~4世紀頃のクテノポマ主義(Ctenopomism)の台頭に付随して興ったものが確認されているよ。ただ、これは全ての古代マグロカツオシズムに言えることなんだけど、当時古代マグロカツオシストは激しい批判と嫌悪感を向けられていたんだ。
原田ミョルチジョッ
そう。古代マグロカツオシズムは既存の料理の体系の1つとして生まれた訳だけど、自分たちの常識とは相容れない食物を肯定・調理していく姿を見た、源流となる料理の識者たちはそれに反発し、彼らを批判したんだ。まあ、その頃は毒のある魚、特にトラフグの危険性、恐ろしさは並々ならないものだっただろうから、一般人の嫌悪感も仕方ないっちゃ仕方ないんだよね。
おしゃかにゃんこポン
ひゃー、それは怖いですにゃあ…。マグロカツオシズムを実行するだけでなんて…。
原田ミョルチジョッ
当時のマグロカツオシスト達はホントに苦労しただろうね…。
とにかく、そういった批判とまだ対処法の分からない毒の影響で古代マグロカツオシズムは中々大きくならなかった。ナギナタナマズニズムがそうであるのと同じように、マグロカツオシズムもまた非常に沢山の魚類、海洋哺乳類、調理法といった知識を必要とする。でも、弾圧によって大規模なコミュニティを作ることができないから、少人数で地道にゆっくりレシピを蓄えていくことしかできなかったんだ。更に、そうした小さなコミュニティさえやがては攻撃されて、折角発展した技術もそこで終わってしまう。加えて毒に倒れた先人の話ばかりが広まり、新たにマグロカツオシズムに興味を持つ人々も大きく減ってしまった。これじゃあ、「全世界のあらゆる魚類や海洋哺乳類」を肯定したりできないよね。
おしゃかにゃんこポン
それじゃあ、今の私たちみたいに色々な魚を食べることもできないまま…?
原田ミョルチジョッ
そうさ。古代マグロカツオシズムは、そのコミュニティの寿命が非常に短いことが大きな特徴なんだ。生まれては消え、食べては死にを、泡みたいに繰り返しているんだね。
原田ミョルチジョッ
…さてさて。時代は下って20世紀。この当たりから、徐々にマグロカツオシズムが勢いを付けていくよ。ところでおしゃかにゃんこくん、君はいつもどうやってナギナタナマズニズムしているかい?
おしゃかにゃんこポン
へ?ええっと、こうやって授業を聞いたり、あとは自分で購入してみたりとか…。
原田ミョルチジョッ
その中で、君はあるとても便利なものを使っているはずだ。何だと思う?
おしゃかにゃんこポン
便利なもの…。
…あ!インターネットとか?
原田ミョルチジョッ
Haddockハドック!その通りさ!インターネット、あとそれを扱うコンピューターの急速な発展によって、これまで現地でやっていた遠方の食物やその調理法の獲得が飛躍的に簡単になったんだ!また、この時には渡航の自由がだいぶ認められてきていた。その2つが後押しした結果、マグロカツオシストの事故死率も大きく下がって、大きな宗派が生まれはじめるようになったんだ。
おしゃかにゃんこポン
おおー!ついに胸を張ってマグロカツオシズムできるようになったんですにゃ!
原田ミョルチジョッ
Frill sharkフリルシャーク!最高だね!しかも、マグロカツオシストの人口は年々指数関数的にググンと増していき、2000年代に突入するとその勢いは最高潮に達した!これを大膨張と言うよ!
そしてえ、その流れで登場する宗派こそ、我らがナギナタナマズニズムってワケさぁ!
おしゃかにゃんこポン
キタキタキター!いっけーナギナタナマズニズム!
原田ミョルチジョッ
…でも残念、ここでまた悲劇が起こった。このあまりにも急速な膨張を見た諸機関によって、マグロカツオシズムは一気に衰退させられてしまったんだ。最初、おしゃかにゃんこくんはナギナタナマズニズムを知らなかっただろう?あれは、諸機関によって情報が検閲されているからなんだよ。
原田ミョルチジョッ
そう。古代マグロカツオシズムが批判されていた頃と何も変わらない。未知への弾圧、変なものに蓋をする懐古主義。それによって、僕らは今まさに攻撃を受けているんだよ。加えて、彼らは環境保護まで僕らを攻撃する武器として持ち出してる。希少な魚を食い荒らすな、ってね。
以前は有名なレシピサイトなんかにも僕らの作ったレシピが沢山載っていたけれど、大分消されてしまった。それでも、身元を隠して頑張って投稿している人もいるけれどね。
でも、大丈夫。マグロカツオシズムは、ナギナタナマズニズムはそんなことじゃもうへこたれない。今や、実に多くの宗派を抱える巨大な宗教だ。さあ!次はそんな素敵な宗派とかを見ていこう!
おしゃかにゃんこポン
ナギナタナマズニズムはマグロカツオシズムの一派なんでしたよね。でも、他にそんな感じの思想なんて見たことないんだけどにゃあ…。
原田ミョルチジョッ
情報の検閲が巧妙だからね。でも、実はおしゃかにゃんこくんが知らないところで、非常に多くの派閥が活動しているんだ。代表的なものをいくつか挙げていこうか。
原田ミョルチジョッ
うん!良い返事だ!
まずは、我らがナギナタナマズニズム!さっきも言ったけど、マグロカツオシズムの中では最大規模の一派だよ。その理由は単純明快、信者全員がインターネットを母体にしているからさ!このBaraMuttsuがそうであるように、基本的には情報収集・食材購入もその交換もインターネット上で行われるよ。他の派閥に比べてハードルが低いことが人口の多さの秘訣かな!
おしゃかにゃんこポン
にゃるほど…。確かに私もインターネットからナギナタナマズニズムを知りましたからねー…。
原田ミョルチジョッ
そうそう、こうやって簡単に始められるのがナギナタナマズニズムの良いところだね !
次に規模が大きいのは量子的観測者の料理(Cooking of Quantum Observers)!頭文字を取ってCOQOとも呼ばれるね。すごく経済的に豊かな一派で、中々特徴的な人が多い印象があるよ。「マグロカツオシズムと現実の剥離」をテーマに、過酷な調理/摂食を行うストイックな人たちだ。見た目が怖い人も多いけど、ものすごく真面目にマグロカツオシズムしてるみたいだね。
おしゃかにゃんこポン
へぇー…。ナギナタナマズニズムよりもですかにゃ?
原田ミョルチジョッ
正直そうだね。ナギナタナマズニズムは自由にやってる分全体的な質が上がりにくいけど、COQOはかなり真剣に取り組んでいる印象があるよ。
あとは、さっきちょっとだけ名前が出てきたI.M.料理なんかもマグロカツオシズムの仲間だよ!提唱者のカラーイ・カラーミ氏の名前をとってカラーイ派とも呼ばれてるね。「生物種の連続性」を否定している、仏教でいうところの無常観に近い考え方が特徴だよ。簡単に言うと「ある時はこの魚類も存在するけどまたある時は進化している」「この呼称はずっと同じ魚類を指しているわけではない」という考え方だね!
おしゃかにゃんこポン
ほほーう?なんだかマグロカツオシズムっぽくない考え方ですにゃ…?
原田ミョルチジョッ
まあね。正直マグロカツオシズムと言えるかはわからないけど、カラーム氏はマグロカツオシズムとして提唱してるからね。それに、歴史的にはナギナタナマズニズムよりも先輩なんだよ。
おしゃかにゃんこポン
へえええ、つまり大膨張より前に生まれた派閥ってことですかにゃ?
原田ミョルチジョッ
Hasa-hasaハサハサ!大正解!マグロカツオシズムの大膨張を支えてくれた立役者って感じだね。だからこそ、あまりマグロカツオシズム的でなくともマグロカツオシズムの1宗派として認められてるんだ。
そして何より、今僕らが保存しているレシピの中にも、彼らが考えたものがたくさん含まれているんだよ。
おしゃかにゃんこポン
にゃーるほどぅ!じゃあ、他にもそういった派閥ってあるんですかにゃ?
原田ミョルチジョッ
うーん、僕の知る限りだとないかなあ…。

ただし、マグロカツオシズムと似てるグループはあるよ、ディスカシアニズム(Discusianism)だ。その思想は「ディスカスを含めたあらゆる魚類を飼育し、鑑賞すること」。つまり、マグロカツオシズムが全ての魚類を摂食するのに対し、ディスカシアニズムは全ての魚類を飼育する立場にあるんだね。一見すると仲が悪いように見えるけど実際はよく融合してて、フランスだと食料的ディスカシアニズム(Discusianisme Syncrétiste)として習合してたりするんだ。
おしゃかにゃんこポン
へええ…色んなグループがあるんですにゃあ。
原田ミョルチジョッ
…さて!今回の授業はこれで終わりだよ。どうだった?マグロカツオシズムの素晴らしさ、並びにナギナタナマズニズムの素晴らしさはわかったかな?
おしゃかにゃんこポン
はいですにゃ!ナギナタナマズニズムの歴史、ナギナタナマズニズムに関する色んな派閥、とっても面白い知識を得られました!
原田ミョルチジョッ
Latimeriaラティメリア!それは良かった!これからももっとナギナタナマズニズムしていってくれたまえよ!
原田ミョルチジョッ
よォーし!それじゃ、前回やったアレ、覚えてるかい?行くよー!
2人
人は皆食べるべきである。
魚の鱗のその先に、
ありし味覚は美味なるかな。
無昧有味を啓蒙する者。
全料理化クッキングせよ。
全料理化クイズィーンせよ。
全料理化メイクディッシュせよ。
そうしてナイフは魚の骨に触れ —
~続く~