特定の人員要件緩和手段としての心象概念調整機材開発の為の認可計画
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特定の人員要件緩和手段としての心象概念調整機材開発の為の認可計画



問題

現在、プロメテウス・ラボの主要な顧客である正常性維持機関に於いては(既知の多くの組織・企業と同様に)、運営上の業務やそのプロセスの外部委託が進んでいます。具体的にはファシリティ・マネジメントを含む資産管理・維持やコントラクトフードサービスを始めとする福利厚生サービス、或いは総務、人事、経理といった組織運営上のオペレーションに代表される、基幹となる使命に直接関与しない業務プロセスのアウトソーシングが例として挙げられます。

また、これらとは異なる側面として、超常コミュニティに於いて主体的な役割を果たす組織の大半が民間或いは非国家主体を基盤に置く組織である事は、業務範囲が組織の資産的規模を超えて拡大した場合、それらを外部委託せざるを得ない状況が一定数発生し得ることを示しています。特に、局地的に大規模な被害を齎す超常存在への対応は、その事後処理も含めて最終的には地元の防災機関や法執行機関、国軍或いは国際機関といった公的機関の介入に一定の比率を依存せざるを得ない現状があり、これらの現状は、前者、後者共に正常性維持機関の管理外に於いて超常性に接触し得るケースが大幅に増大する懸念を生じさせています。

根本的な解決は、これらの組織がその使命を完遂するのに必要な全ての機能を自己完結的に整備する事ですが、それは彼らが民間及び非国家主体を基盤とする組織であるという関係上、余りに非現実的であり、仮に実現したとしてもそれは人類社会に対する潜在的な超常脅威と看做されるでしょう。

非正規の職員或いは外部委託契約者の人員が超常性に接触する事自体に対する懸念は、対象の特性及び状況によっても左右されますが、概ね以下の通りに大別されます。

1: 心象概念に対する影響によって定められた職務遂行能力を喪失する事
2: 事象或いは関連組織の秘匿性が失われる事
3: 接触者自身が異常性の媒介者となり得る事

特に1に関しては、超常事物の収束に際して直接活動する人員が影響を受けた場合、正常性維持オペレーション自体の遅延或いは破綻を来す可能性があり、差し迫った超常脅威への対処には多大なリスクを負う可能性があります。
一般的に正常性維持機関に所属する人員の内、超常事物と接触する可能性のある人員はこれらのリスクを低減する為に必要な訓練を受け、手段を提供されていますが、内部の人的資産を活用できる範囲には限界がある事が問題の根幹となっています。

汎地球的な正常性維持活動を旨とする機関に於いては、前触れなく発生する超常事象に対してABF適性人材を含む最適の資産を即時に展開できるとは限らないというより現実的な問題を抱えています。全世界を活動範囲とする巨大な官僚組織であるSCP財団やGOCは特にその傾向が強く、初期対応要員はしばしば脅威実体によって齎されるサイオニック汚染或いは異常性ミーム汚染など超常性に起因する諸々の心的作用、或いは単純なパニックによってしばしば不服従を含む任務遂行能力の喪失を来し、また暫定的に外部機関の資産による初期対応を行わなければならない状況に際しては、動員される人員は異なる組織的信条、理念、或いは利益に基づいて行動し、期待とは異なる結果を齎す可能性があります。


ソリューション

これらの前提に基づき、プロメテウス・ラボは"超常脅威との遭遇によって齎される諸々の心的動作を遠隔手段によって鎮静化し、任務遂行能力を維持する事を目的とした"デバイスの開発と販売計画を提案します。

理論的な基礎概念技術
プロメテウス・ラボは、リスク管理の観点から非正規社員及び外部契約者の採用に先立ち、アヒメレク閉鎖法による心象概念の操作手段[1]を開発し、運用してきました1。これらは既にアヒメレク・ビュイック・フレームワークABFとして製品化[2]されており、これらはプロメテウス・ホールディングス全社に於ける人的資源最適化やタレントマネジメント領域の”我が聖書"マイ・バイブルとして活用されている事は既に広く知られています。プロメテウス・HRテックによる潜在的ニーズの深耕及び販売努力によって、現在ではSCP財団やGOCといった大規模顧客に於ける適性人材要件の定量化手段としても採用されており、特に幾つかのミーム指向性エージェントやゲシュタルト摩耗ロジックに於ける基幹メソッドともなりました。ABFは超常コミュニティの人的資産運用の最適化に於いて、デファクトスタンダードとしての地位を築いています。過酷な環境での任務に従事する人員を多く抱え、また異常事物に関する体系化されたナレッジが集積されている前述の組織は、ABFの初期バージョンから現行モデルへと洗練されていく過程に於いて理想的な"サンドボックス"として機能してきました。プロメテウス・HRテックは、導入事例に於ける継続的な効果測定を通じてABFによる人員個々、或いは集団に対するインプット/アウトプットの定量化に着手して久しく、既に我々はこの分野に於いて十分に優越した知見を得ていると判断されます。

"サンドボックス"から得られた情報群は既に体系化され、パッケージ化済みである為、これを任意の対象個人の心象概念に伝達する為の通信手段を確立する必要があります。

通信用ハードウェアに関する基幹技術は、先駆者の遺産からのリバースエンジニアリングに依存していますが、個々の要素技術は壊れた神の教会によって現在まで継承されており、完全なロストテクノロジー化を免れている事、また先駆者の技術レベルに関しても要素技術に比較してシステム統合化に要するレベルは1950年代以降知られている既知のシステム統合化技術に比較しても極めて稚拙である事[3]から、少なくともこれらの統合化に際して懸念される技術的難易度は低いものと看做されます。

概念化されたシステムは、以下の要素を含みます。

  • 心的脅威識別ユニット: 入力された心象概念を分割し、データベース照合によって対象を識別すると共に、それぞれが階層構造を持つ識心及び表象のどの領域に脅威が及んでいるかを識別する機能を持つソフトウェア及び演算機構を含むサブシステムです。
  • 生体形而変換投射生成器: ABF適性の高い人員から抽出された神経系統を使用し、心的脅威識別ユニットから入力された脅威に対抗する心象概念を生成するコアと、それをデジタル信号パターンに変換するBNIユニットから構成されるサブシステムです。コアユニットには、プロムファーマ社が開発した人工幻像実体アバター[4]の生成に際して用いられた技術を転用する事で、神経系統のみを生物学的活性を維持したままの状態で維持する事が可能です。
  • 高伝導性ベリリウム銅プレート・スロットアレイアンテナ: 生成された出力信号を指向性電磁パルスの形で対象人物に提供する為の発信部です。
  • 電源用コンデンサ: 指向性電磁パルスを生成する為の電力供給源です。


通常の運用に際しては入力側には特段の措置は必ずしも必要ではありませんが、"広域怪異収容事例"の記録に代表されるような、超常事物による影響が広範囲に亘り、多数の人員に心象概念操作を必要とするような状況であれば、データベースとの整合性を高め、対象人物以外への意図しない影響を防止する為に、対象者は受発信用のサブシステムを別途着用する必要があります。これは既にプロムファーマ社とプロメテウス・ディフェンス・アンド・セキュリティー社によって開発された遠隔型のバイタルサイン測定用通信ギア[5]に幾つかのハードウェアを追加するだけで実用化する事が可能です。但し、対象を特定する必要が無い場合、これらの措置は不要です。

先駆者が使用していたと思われるオリジナルの発振体は未解明のメカニズムによって対象の検知・識別と見通し線外への極めて高精度な心象概念投射を可能としている事が明らかになっていますが、当面の目的に於いてそれらの機能を再現する事は不要であると考えられています。


事業例

当面の顧客はGOC及びSCP財団が想定されています。両者は共に長期間に亘って超常実体の保全を維持する必要のある案件を多数抱えており、彼らの職務遂行を支援する為に外部契約者及び現地の軍/法執行機関の人員が多く関与した事例も報告されています。特に事案に最初に対応した第三者は超常性に対して適切な知識、装備を欠いた状態で超常事物に曝露しており、各種の心象概念脅威に晒されていた可能性が高いと考えられます。

超常事物の脅威が顕在化した際の事態収拾を独力で成し得ない状況の大半に於いて本デバイスは活用され、付随的損害を最小限に留めると共に、その後の隠蔽をより容易にする事が可能です。また、超常事物に曝露した第三者への尋問に際して、より効率的に聴取を進める為の鎮静手段として用いる事が可能であると考えられます。潜在的には、超常環境下での集団パニックの抑制や群集統制まで用途を拡張する余地があります。

潜在的顧客としては、合衆国逸脱戦対応軍DEVWARCOMロシア超常脅威任務総局GPUといったパラテック戦領域を担当する国家機関も考慮されますが、彼らの組織としての自己完結性を鑑みて、本製品を導入する利点は限定されると考えられます。

現時点で、当該ユニットは以下の異なるプラットフォームによって運用する為のバリアントが構想されています。プラットフォームの形態に応じてシステムの構成を変更する事が可能であり、これは運用上の柔軟性を高める事でユーザーの負担軽減を訴求する事が可能です。

航空機搭載型は流線形のポッド内に電源以外の構成要素を格納し、全備重量は1,055㎏です。アンテナはコンフォーマル型に変更され、コンデンサ及び動作用電源、非常用発電装置は同じ形状の別のポッドに内蔵されており、運用に際しては1対のポッドを同時に携行する必要があります。

車載型の全備重量は2,300kgです。地上での運用に際しては通信可能距離の制限を受ける為、起倒式のアンテナセットを用いる関係上、航空機搭載型に比較して重量が増加しています。HWMMV或いは同級の車両であれば4両で1セット、GOCで広く戦術輸送用として使用されているRMMVのHX級軍用トラックであれば1両で全構成要素を搭載する事が可能です。


資金の使用

・約800,000USDが心的脅威識別ユニットのソフトウェア設計・開発に費やされます。
・約150,000USDが生体コアユニットに登用されるマテリアルの確保に費やされます。これには求人広告媒体、ABF検査、初期導入研修費用、福利厚生が含まれます。
・約1,000,000USDがマテリアルの加工と生体コアユニットの維持(計7セット分)に費やされます。これにはプロムファーマ社の神経外科チーム及び医療関連スタッフへの給与の他に、壊れた神の教会から招致されたオペレーションアドバイザーへの報酬が含まれます。
・約1,500,000USDが概念実証用ユニットのハードウェアの設計・製造及びシステム統合に費やされます。もし既に市場に流通している製品を活用できれば、500,000USD以下に留める事が可能と見積もられます。
・約7,000,000USDがプロトタイプとして航空機搭載用ユニット2機、車載用ユニット2機、可搬型ユニット2機を建造する為に費やされます。

想定される販売数は概ね150~200ユニット前後ですが、低率量産への移行に際しては既存の生産インフラを流用する為、それらの部分的な修正及び物流経路の最適化に必要なコストは500,000USD以下と見積もられています。また、限定された顧客及び製造数から、全規模量産への移行に際して追加の予算は不要と考えられますが、予測を上回る需要が生じた場合は製造インフラの更なる改修に追加で約1,000,000USD、マテリアルの継続的な確保の為に約100,000USD/月が必要と見積もられます。


課題

後遺症
本製品の使用によって、対象人物は必然的に異常事物の存在を認知しつつもそれによって認識及び判断能力を阻害されない能力を獲得します。既に実用化されている各種の化学的或いは心理学的記憶処理手段は、対象人物が超常事物と接触した記憶そのものを除去する事は可能ですが、本デバイスによる影響は、個人差によって程度は異なるものの自己同一性の変容が生じない限りは持続するものと考えられます。この事は、対象人物が同種の超常性に接触した際、それを異常とは認識できなくなる事を意味しており、これは超常性を衆目に晒される事を忌避する多くの超常関連機関にとって望ましくない特性です。この事から、顧客は本製品の使用に際してのリスクを理解し、管理された範囲での運用を厳守できると考えられる組織に限るべきです。

逸脱した用途を企図した改造・使用
超常事物によって心象概念が汚染された人物がマテリアルとして使用する事で、不特定多数の主観性を変容させる目的で使用される可能性があります。汚染マテリアルによって制御された”相貌失認”パターン2を展開できる可能性は、本製品の潜在的な活用法の一つとなり得ますが、現時点ではそのリスクを冒すべきではありません。その為、生体コアユニット及びサブシステム群は悪意あるユーザーによるリバースエンジニアリングを抑止する必要があります。要素技術の多くを壊れた神の教会によって継承された先駆者由来のそれに依存している事は、比較的容易に本製品のコピー或いは想定されていない改造を行う事が可能である事を示しています。原理的には生体コアユニットの機能を限定的、或いは非侵襲的手段によって業務に最適化されたオペレーターに転換する事も可能ですが、それを実装する事は本製品が用途を特定しない顧客或いは第三者によるコピーをより容易にする事から推奨されません。生体コアユニットの製造技術及び設備はプロメテウス・ラボの私有知的資産であり、それを維持する事で想定されるリスクを低減する事が可能です。その為、生体コアユニット及びサブシステム群は保守・点検工程を含めブラックボックス化される事が望ましいと考えられます。この点は、当面の顧客に関しては既に納品されている既知のプロダクトと同様の取り扱い手順である事から大きな障害にはなりませんが、特に国家機関への販売を企図する場合には信頼関係の醸成に一定の努力と時間を要する可能性があります。


Bibliography
1. J.ビュイック Jr. "認知神経学的アプローチに基づく人的資産管理手法概論"; 序文(12-35ページ)
2. プロメテウスHRテック・プロセスエンジニアリング事業部 "ABF仕様書兼構築運営手引書(第7版)"; 5-14ページ
3. ヘインマン.O (1986) & テス.A (1989)."先史文明に於ける現生人類の繁殖管理―表現型発現および遺伝子型の調整手法と、それらが現代の我々にもたらしたもの"; プロメテウス歴史学; Vol 25(2); ページ9-15と図案7、写真14-22。
4. プロメテウス・ディフェンス・アンド・セキュリティー "プロジェクト・アラタレ―人工幻像実体の兵器化に関する試案(第26版)"; //24-68ページ。
5. プロメテウス・ディフェンス・アンド・セキュリティー 製品カタログ(2013年版) "共通型ネットワーク双方向フィードバックインターフェース(COFFIN)";

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