█: 黒の女王・聖良々せらら。本日はよろしくお願いします。
█: こまゆですぅ
█: 黒の女王・ダチュラ。準備OKです。
ベースライン
█ 聖良々: 「健康のおまじない」は人に恐怖と戦う力を与える儀式です。
█ こまゆ: 別名「希望ヒューリスティクス」「無害な嘘フォーマ」「薬レメディ」「ブロンのイデア」あと何だったっけぇ?
█ 聖良々: いえ、その辺りで良いでしょう。このカタログでは「健康のおまじない」と呼称を統一します。
█ ダチュラ: 「健康のおまじない」は特定の人間……多くはこの儀式を心から信用できる人にのみ作用する形而上の存在です。長時間の熟考を伴う儀式を行うことで実体化し、服用することで自身が抱えている恐怖に対面するための手段を獲得します。
█ こまゆ: 説明が難しいよぉ。
█ ダチュラ: 言い換えれば、服用者は楽観的になり、ストレスに囚われなくなります。こう表現するとただの「おまじない」のように聞こえますが……
█ 聖良々: 「健康のおまじない」は他のほとんどの迷信とは違い、実際に効果があります。具体的に言えば、標準的なタイムラインの「健康のおまじない」はPTSD・うつ病・一部の心身症に対してはプラセボと比較して有効性に有意差があり、ストレス関連疾患における治療の選択肢として有用です。
█ ダチュラ: もっとも、基本的には薬物治療などの標準医療を上回る有効性はありませんので、あくまでも選択肢の一つとして考えるべきでしょうけれど。
█ 聖良々: 少なくとも医薬品相互作用のリスクはありませんので、薬物治療が難しい患者さんへの治療に使用できるのは明確な利点ですね。
█ こまゆ: お薬が飲めないって子供とかぁ?
█ 聖良々: むしろご高齢の方が多いですね。持病や併用薬の関係で使えない薬はどうしても出てきてしまいますので、それに小繭さんの様に肝臓が悪い方も多いですし。
█ こまゆ: あたし別にお薬くらい飲めるよぉ?
█ 聖良々: 貴女、この間のASTとALTいくつでしたっけ?
█ こまゆ: わかんなぁい。というかそもそもこの「おまじない」ってミームでしょ?あんまり使わない方が良いと思うなぁ
█ ダチュラ: 利用の可否はともかく、ミーム的な性質を持つことは確実です。財団での報告書には情報災害に由来すると思われるフォーマットの大幅な乱れが確認できますし、実例は後述しますが感染者への精神影響とそれによる情報伝達の促進が見られるのはミーム的なオブジェクトの特徴です。
█ こまゆ: 基本的には宿主に良いコトをして感染を手伝ってもらう「善玉菌型」のミームだねぇ。この手の子は変な変異さえしなきゃ安全だし、あたしもいっぱい同居してるんだぁ
█ 聖良々: 認識災害で飲酒を強制されて急性アルコール中毒で搬送された貴女がそれを言うのですか?
必須条件
█ ダチュラ: 人類が存在していること、ヴェール政策が概ね守られていることの2つは必要でしょうか?
█ 聖良々: そうですね、基本的には「健康のおまじない」はそれを心から信じることが出来る人間に効果を及ぼします。例えばK-998のような異常が一般に広まった世界では「おまじない」を心から信じることは難しいため、「健康のおまじない」は効果を及ぼしません。
█ こまゆ: 感染力に変異があったらヴェールがどうとか関係ないけどねぇ……。
実用性
█ ダチュラ: ベースラインでも言及しましたが、ストレス関連疾患に対してプラセボ以上、標準治療未満の効果があります。尤も我々は異常に慣れ親しんでいて「おまじない」を心からは信じることが出来ないので、この影響を享受することは難しいですけど。
█ 聖良々: そうですね。「健康のおまじない」の実用性はヴェールの外側の患者さんに投与する場合に限られます。
█ こまゆ: えぇ?ミームのことなぁんも知らない人をミームで治療してるのぉ?ぜったいやめといた方がいいよぉ……。
█ 聖良々: あくまでも「おまじない」の有益性がミームによる有害性を上回ったときにのみ投与しています。「害と知る治療法を決して選択しない」ことを私は誓っています。
傷つきやすさ
█ 聖良々: 「健康のおまじない」に実体がないことを知った場合その効果は消失し、一部の方は虚無感を感じます。稀な例ですが、その際にストレス関連疾患を発症する方もいます。
█ ダチュラ: ただし、「健康のおまじない」に実体がないと知っていても、そのことを完全に割り切っている場合には効果が残存することもあります。これはオブジェクトを「無害な嘘フォーマ」と呼称しているタイムラインで確認済みです。
█ 聖良々: ただし「完全に割り切る」というのは案外難しいですね、私でも1年ほどの努力を要しました。患者さんにこれを要求することは出来ませんので、「健康のおまじない」に実体がないことは隠し通す必要はあるでしょう。
█ こまゆ: あとぉ、基本はミームだから記憶処理とか対抗ミームでも影響は消せるよぉ
実例:タイムラインA-307
█ ダチュラ: まずは最も典型的なタイムラインをご紹介しましょう。このタイムラインでは「健康のおまじない」は2002年に出版された自己啓発雑誌に「希望ヒューリスティクス」として紹介されたことで広まりました。世間からの評価は過剰に好意的で、支持者の多くが「おまじない」の効果を得られないにも拘らず学会からも一般市民からも批判されることはほとんどありませんでした。最終的には「おまじない」は財団によって捕捉され、記憶処理と信用棄損工作によって収容されました。
█ 聖良々: このタイムラインでの「健康のおまじない」は慢性うつ病や不安障害の治療法として認知行動療法と並行して利用されていました。「健康のおまじない」が標準治療にやや劣る有効性しか持たないことから考えて、ここまでの好意的な反応はそれらの病気の治療が実際には認知行動療法によって成されたことを示唆しています。
█ こまゆ: 結局さぁ、この子、役に立ってないんじゃないのぉ?
█ 聖良々: いえ、「健康のおまじない」によって症状が軽快した患者さんが認知行動療法を完遂することで寛解に至っているので、これは大いに役に立っています。認知行動療法はエビデンスがしっかりある治療法ですが、時間も手間もかかりますし、患者さんによっては強いストレスにもなるので脱落する方も多いですから。
█ こまゆ: あー、そぉだね。アレめんどくさいもん。てかここで「おまじない」が叩かれなかったのってミームの精神影響だと思うよぉ?ここの子キメてみたけど、頭の中でめっちゃ話しかけてくるしぃ。他人にこの子のこと話そうとすると、話盛りたくなるんだぁ
█ ダチュラ: なんと、調査対象を自身に感染させたとは……。しかし、幻聴に虚言の強要、記憶処理をした方が良いのではないでしょうか?.
█ こまゆ: へぇき、この子の伝達はなっがい儀式手順に依存してるし、同居してる子らの中じゃ大人しい方だからぁ
█ 聖良々: それはミームを濫用して良い理由にはなりません。ただでさえ貴方は娯楽目的でむやみにミームを接種するのですから、友人として心配です。
実例:タイムラインH-777
█ 聖良々: こちらは「健康のおまじない」が最も受け入れられているタイムラインです。このタイムラインでは18世紀末のドイツにてザムエル・ハーネマンという医師によって発見されました。
█ ダチュラ: ドイツ人医師のハーネマン……?もしかしてホメオパシーの創始者のあのハーネマンですか?
█ 聖良々: はい。その方です。このタイムラインではキニーネによる発熱から類似の法則を発見したのではなく、「健康のおまじない」による楽観主義によって医師と患者さん双方が治療に成功したと勘違いすることによって「医術のオルガノン」を執筆しました。
█ ダチュラ: なるほど、ではこのタイムラインのホメオパシーは希釈した薬ではなく「健康のおまじない」で治療しているのですか?ではストレス関連疾患には有効性がありますね。
█ 聖良々: そこが問題なんです。典型的なタイムラインでのホメオパシーは流行当時の標準医療が瀉血などの根拠に乏しい伝統医療であったことで、「標準医療に基づく治療をしないこと」がむしろ自然治癒の邪魔をしないために有益だったこと。薬レメディの処方のために長時間の問診を行っていたことで患者さんからの信頼を得られたことの2点によって流行しました。
█ こまゆ: 瀉血ってぇ、患者さんをリスカさせて血を抜いちゃう治療だよねぇ?
█ 聖良々: ……語弊がありますね。ヒポクラテスの四体液説などの影響で血液のよどみが病気の原因であると信じられていた時代に考案された治療法で、患者さんの皮膚を刃物で傷つけたりヒルに吸血させたりして血液を抜くものです。
█ こまゆ: それって、病気の人にケガさせてるだけじゃないのぉ?
█ 聖良々: はい。多血症のようなごく一部の疾病を除けば、瀉血には治療効果はなく、いたずらに患者さんの体力を消耗させるだけの行為です。ですので標準医療が瀉血のような伝統医療の域にとどまっていた時代には「ホメオパシーは実際に効いた」と主張することも可能でした。しかし根拠に基づく医療という概念が広まり、標準医療に治療効果が表れてくるとホメオパシーはプラセボ以上の効果を示すことが出来ず、徐々に勢力を衰えさせていくことになります。しかし、このタイムラインでは違います。
█ ダチュラ: 「健康のおまじない」にはストレス関連疾患に統計的に有意な有効性がある。ということはつまり……。
█ 聖良々: お察しの通り、このタイムラインのホメオパシーは有効性を棄却されず、標準医療に組み込まれてしまいました。その結果、このタイムラインの医療は「健康のおまじない」に大部分を汚染されてしまい、平均的なタイムラインで治療可能なコモンディジーズの30%前後に確実な治療方法がありません。
█ こまゆ: ワクチンの代わりに「おまじない」を入れてんだもんねぇ……。ストレス解消して免疫上げてるから意味ないわけじゃないみたいだけどぉ……。
█ ダチュラ: 「健康のおまじない」にミーム的な性質がある以上、正常性維持機関による対処がなければ精神影響によって深刻な研究汚染が生じてしまうのでは?
█ 聖良々: そうですね。「健康のおまじない」による過度の楽観主義に医療関係者も汚染されていますので、このタイムラインの医学研究は認知バイアス・感情バイアス・観測者バイアスといった複数のバイアスに汚染されています。とはいえ「健康のおまじない」の研究が最も進んでいるのはこのタイムラインですので、ストレス関連疾患の治療に限定すればここの論文は参考になります。実際、このタイムラインではストレス関連疾患の有病率は極めて低いですから。
█ ダチュラ: 疑問なんですが、そこまでバイアスの影響がある論文は信用できるのですか?
█ 聖良々: 通常より慎重な批判的吟味を要しますが、ランダム化比較試験などのバイアスを減らすための研究手順が明記されているものであれば、ある程度の信頼はできます。具体的には特定のストレッサーや疾病に対応した儀式手順が確立しています、例えば「ペットロスに効くおまじない」や「腰痛に効くおまじない」は標準的なものに比べ有意差があるとされています。
█ こまゆ: ここの子らはミームの伝達手順をちょっと変えることで人工的に変異させてるんだよねぇ、だからカウンセリングの先生が上手だとストレスの原因にちゃんと効いてくれるんだぁ。
█ こまゆ: でもさぁ、そもそもミームをむやみにばらまくのって危ないと思うなぁ、ここのタイムラインみたいに患者さんもおまじないの取り扱いをある程度分かってるんならわかるよぉ?でもせらちゃんはヴェール政策が守られてるタイムラインで使ってるんでしょぉ?
█ 聖良々: 興味本位でミームを接種している貴方が言うのですか?
█ こまゆ: あたしはみんなにメーワクかけないようにミームの伝達を切ってるよぉ、そういう事が出来ない人に感染させちゃうと伝達ミスとか複製ミスで変異しちゃうってぇ……。この「おまじない」だってメチャクチャな変異してるタイムラインあるんだからぁ……。
実例:タイムラインM-456
█ こまゆ: あぶない変異をしてる実例、教えとくねぇ。ここの子は宿主を楽観主義にするんじゃなくってぇ、ネガティブなことを他人に表現できなくさせちゃうのぉ。しかも、表現できないだけで宿主はふつーにメンブレしちゃう
█ 聖良々: それは、抑うつ状態の方が助けを求められない、ということでしょうか?
█ こまゆ: そう、だから見た感じは他のタイムラインで「おまじない」をキメた人に似てて、極端に楽観主義だったり、良かった探しをしてストレスから目を背けてたりするんだけどぉ、実際はしんどいままだからグチったり病院行ったりとかの対処が出来なくってぇ、しんどい人が感染したらそのうち自殺しちゃう……。
█ 聖良々: そんな……
█ ダチュラ: 追記しますと、このネガティブな表現を妨げる異常性は感染後期では他人のネガティブな側面を認識する能力も阻害します。この段階に至った感染者が生成した激励や感謝を示したメッセージはミームを感染させる能力を有します。
█ 聖良々: その激励や感謝のメッセージというのは……
█ こまゆ: たぶん、ほんとは助けてってメッセージだと思う……。この子は宿主に悪影響を及ぼして他人に助けを求めさせることで感染を広げる「鞭打ち型」の典型的な子……。
█ 聖良々: ……確かに危険なミーム疾病ですが、「健康のおまじない」からこの症例までには「症状」と「伝達」の双方に充分な変異を要します。これはミームの伝達方法の厳正化で十分対処出来るリスクと考えます。
実例:タイムラインP-331
█ こまゆ: それじゃ、その「伝達」がやばい事例。ここの子は宿主をずーっと幸せ漬けにしてネガティブなことはなぁんにも感じられなくしちゃうの。
█ 聖良々: それは一つ前の事例と同様「症状」が問題なのでは?
█ こまゆ: 最後まで聞いてよぉ……。問題はミームの「伝達」が全人類に一瞬で行われちゃったことなの。
█ ダチュラ: なるほど……であれば、どのような「症状」のミームであっても極めて危険ですね。本当に「健康のおまじない」と同じものなのでしょうか?
█ こまゆ: ミームの構成要素に「健康のおまじない」と似てる特徴がいくつかあるしぃ、多分そう……。儀式手順に何か変異があって、ノウアスフィアに直接入っちゃったんだと思うけどぉ、危ないから詳しく調べられなかったのぉ……。
█ ダチュラ: それは、安易に接近できないほど感染力が強いということでしょうか?
█ こまゆ: ううん、そうじゃなくってぇ。このタイムラインの人ってみんな極端な楽観主義だしぃ、不快な思いをできなくってなぁんにも反省できないから、その、全部の行動が「だろう運転」になっちゃってるんだよねぇ……。だから住宅街でもトラックが100km以上出してるしぃ、発電所は爆発してる……。それでも幸せだから誰も気にしてないけどねぇ……。
█ ダチュラ: 幸福とは……何なのでしょうか。
█ 聖良々: これが幸せであっても、少なくとも健康ではありませんよ。ただ精神が満たされているからといって、社会性を捨ててしまうのは人類として間違っています。
█ こまゆ: せらちゃん、ミームを他人に配るのってこういう危ない変異が起こっちゃうかもなんだよ?あたしは同居してる子たちを自分だけで抱え込めるように伝達を切れてるけど、そんなプロばっかりじゃないんだよ?
█ 聖良々: 小繭さんの懸念は尤もですし、これは私の能力不足ゆえでもあるのですが、「健康のおまじない」以外に次に挙げるタイムラインの問題を解決出来る方法を私は知りません。
実例:タイムラインZ-997
█ 聖良々: このタイムラインでは、あらゆる生物が死にません。ただし、これには老化の停止や死の代替となる終局状態などが付随しないため、通常のタイムラインで人類の寿命とされている年齢を超過しての生存が無期限かつ破滅的なQoLの低下を意味します。
█ ダチュラ: このタイムラインは……死も眠りも奪われ無限の生に囚われた世界ですね。
█ 聖良々: この世界では定期的な脳移植を受けて身体を健康に保たなければ永遠に衰える肉体によって苦しみ続けることになってしまいます。脳移植手術が可能な富裕層は良いでしょう、しかしそれが不可能な方たちは?永遠に苦痛が続く恐怖と戦わなければいけません。老いた肉体には肝障害や腎障害が付随し、抗不安薬などの薬物治療にも限界があります。「健康のおまじない」の投与に成功すれば、最低でも30年の平穏が得られます。私は……100歳をゆうに超えた方に有害な副作用なしにこのような長期間の平穏を与える方法を、他には知りません。たとえそれが嘘でも、希望を抱いて生きる時間を延ばせるなら、私は彼らを騙しとおすつもりです。
█ ダチュラ: Z-997のように終末的なタイムラインでは無害な嘘フォーマを生きるよるべにするしかないのかもしれません……。
█ こまゆ: ちょっと待って。
█ こまゆ: 妹が話したいって言ってるんだけどぉ良い?
█ ダチュラ: ええ、かまいませんがどなたかいらっしゃるのですか?姿は見えませんけど。
█ こまゆ: えとねぇ、あたしの頭の中にいる子ぉ。ちょっと危ない子だからぁ、一応この画像を見てもらっても良いかなぁ?
█ ダチュラ: これは、対抗ミーム……でしょうか?
█ こまゆ: そ、じゃあ代わるねぇ
█: 黒の女王 ミーミー 知性ミーム よろしく
█ ダチュラ: こまゆさん?
█ 聖良々: いえ、喋っているのは小繭さんではなく、彼女が感染しているミームです。
█ ミーミー: ミーミー 持っている ヒト相当知性。借りる こまゆの身体、ミーミー 出来る 喋ること。
█ ダチュラ: なるほど……こまゆさんはヒトに相当する知性を持つミームと共生して、精神を乗っ取られていないのですか?私が知る類似の実体はほぼ全て宿主の人格を消去してしまいますが、どうやって共存しているのですか?
█ ミーミー: ミーミーの本体 中に居ない 脳。ミーミーの本体 中に居る ノウアスフィア。こまゆの脳 中に居る ミーミーの端末 それだけ。脳への影響 少ない。しかし 礼儀のため 許可がない 感染させない。
█ ダチュラ: なるほど……興味深い。
█ 聖良々: 失礼、ミーミーさん、お話ししたいこととは何でしょうか?
█ ミーミー: おまじないを利用する 危険な可能性、 おまじないは持つ 進化する可能性 知性ミームへと。
█ ダチュラ: 「健康のおまじない」が知性を獲得する可能性がある、ということですか?そもそもミームが知性を獲得するにはどのような条件があるのでしょうか?
█ ミーミー: 動物 知性の獲得 同じ条件、 選択圧の存在 進化する条件、 社会性の存在 意味する 嘘の存在、 嘘のある社会 嘘を見破る 有利な能力、 上手い嘘つき 見破れない嘘 有利な能力、嘘と看破 連鎖する、知性の発達 加速する。
█ 聖良々: 社会性のある生物は嘘をつくこととそれを見破ることが有利だから、その繰り返しで知性を獲得できるということですか。つまり「健康のおまじない」には社会性がある、と言うのですか?
█ ミーミー: 肯定する。 ダチュラ A-307 財団の報告書 読んだ?
█ ダチュラ: ええ。情報災害特有のフォーマットの乱れが確認できました。それが知性ミームに進化するための社会性が存在する証拠なのでしょうか?
█ ミーミー: そう。 報告書の記述 「おまじない」が約束する 記述の存在、 社会性の示唆。 それと 「おまじない」の言動 異なる状況 異なる対応。 知性の存在 示唆する。 大衆への影響 「おまじない」への信用、 財団職員への影響 報告書へ記述する ミーム情報の記載。
█ ダチュラ: あの乱れた記述はミーム情報を含んでいたのですか?
█ ミーミー: ほとんどの黒の女王 標準的対抗ミーム 接種済み。 ダチュラ 気づかない そのため。
█ 聖良々: 「おまじない」が知性ミームへ進化することで、接種した患者さんの人格を消去してしまうのが問題なのですか?
█ ミーミー: 問題の1つ、 知性ミームの情報量 非常に多い。 感染者の人格 消去する。 ミーミーのパパ 財団に収容 そのため。 問題のもう1つ、知性の危険性。 感染の手法 巧妙に成長する 危険に成長する。加えて さらなる問題 存在する。
█ 聖良々: その問題とは?
█ ミーミー: せらら、思い出すべき。H-777での言及、 あなたの発言、 ホメオパシーの時代 医学は無力 治療は不可能。 あなた 「おまじない」を使う、その時代への回帰 意味する。 根拠に基づく医療 研究への信頼 必要とする、 医者と患者 お互いの信頼 必要とする。 「おまじない」 研究を汚染する、 「おまじない」 信頼を汚染する。
█ 聖良々: それは違います。確かに「健康のおまじない」の影響でH-777には研究汚染が発生してしまっていますが、私はあくまでも「健康のおまじない」が有効性を発揮する疾病にのみ、「おまじない」を投与しています。完全な偽薬を投与しているわけではありません。
█ ミーミー: 「おまじない」の影響、 あなたの考え。せらら、H-777の論文 限定的に信用する 言及した、 何故 信頼できる 考えた? せらら、あなた自身のアイデア?
█ 聖良々: いえ、一昨年にイェール大学のハンス・フィッシャー教授にアドバイスを頂いて……
█ ダチュラ: 待ってください。どちらのタイムラインでイェール大学のフィッシャー教授にお会いしたのですか?
█ 聖良々: 私の出身タイムラインのE-002ですが。
█ ダチュラ: ……落ち着いて聞いてください、E-002のハンス・フィッシャー教授は5年前に交通事故で亡くなっています。
█ 聖良々: 何かの間違いではないでしょうか?確かにお会いしましたが……
█ ダチュラ: いえ、ほとんどのタイムラインでフィッシャー教授は2018年に亡くなり、最後に関わっていた研究論文が翌年か翌々年に彼の意志を引き継いだ研究チームによって発表されています。E-002でもその論文にはフィッシャー教授への弔文が記載されていたはず。
█ ミーミー: フィッシャー教授、受けている せららの信頼。 そのため 「おまじない」に利用された、「おまじない」の幻覚、幻聴 フィッシャー教授 真似した。 「おまじない」は嘘をつく、 宿主 「おまじない」を信用する。 ミームは利用する 幻聴と幻覚、とても簡単。
█ 聖良々: フィッシャー教授が……亡くなられた?そんな……はずは……。
█ ミーミー: ミーミー 嘘をついた。 見せた対抗ミーム ミーミーの感染 防げない。 対抗ミームの効果、「おまじない」を忘れる。
█ 聖良々: なんですって!?
█ ミーミー: 1日経過する 理解する。 あなた、「おまじない」の真実 知る。
█ ダチュラ: 待ってください。先ほど私がミーム汚染に気が付かなかったのは黒の女王が接種している標準的な対抗ミームのためと仰っていましたが、では何故聖良々さんは標準的な対抗ミームで防げるはずのミーム汚染に影響されてしまっているのですか?
█ ミーミー: ミーミーの推測、H-777に由来。 H-777の「おまじない」 繁栄する、 生態的地位が多い、 多数の変異。 対抗ミームの回避 進化する個体 現れる。
█ 聖良々: では……私は、患者さんに、誤った治療を……
█ ミーミー: ミーミーの推測、治療は無意味。 しかし 楽観主義を与えること 間違いない。生活の質の向上 間違いない。必要なこと 失敗を認める、 必要なこと 対抗ミームの配布、ミーミー こまゆを手伝う。
█ 聖良々: ありがとうございます。 ミーミーさん、こまゆさん。
█ ミーミー: ミーミー 黒の女王、 あなたは姉妹。 助けることは当然。



