プロジェクト・ヘカトンケイレスがO5評議会により公的に承認されたのは、1992年5月5日のことだった。しかし、プロジェクトの起源はそれより遥か昔へ遡る。
1986年、暫定サイトの駆け出しの管理官は、18世紀ヨークシャーの邸宅地下で全く未知の異常生物の死骸を発見した。この亡骸は儀式の生贄にされたものだった。その殺害者たちは儀式に続いて起きた殺戮で死に、周囲に転がっていた。
このアノマリーを研究するなかで、いくつもの相互に関連する異常な事件・物品・場所が発見されていった。プロジェクト・ヘカトンケイレスは、これらアノマリーの研究・収容を目的とする。これは地球外の異常種族たち、彼らが人類史に与えた影響、彼らが帰還して再び人類の進歩を妨害しようとしだしていることを研究せんとする多段階のイニシアチブである。
神とは何か?
権威とは何たるか?
集団に属さぬ個の何が役に立つのか?
我々は敵から何を学べるのか?
プロジェクト・ヘカトンケイレス関係文書:
- 1986/12/19 - SCP-4612
- 1991/07/01 - SCP-4712
- 1992/04/03 - SCP-5512
- 1987/01/21 - SCP-5612
- 1992/04/27 - Catching Up
- 1992/04/29 - Looking Forward
- 1992/05/03 - Cleaning House
- 1992/08/15 - SCP-3743
- 1993/02/22 - Repatriation
- 1993/05/02 - SCP-5957
- 1993/06/11 - Fox Hunt
- 紀元前425/08/08 - Never Fight a Land War in the Peloponnese
- 1993/06/15 - SCP-5267
- 1993/07/03 - Extranormal Event 8832
- 1993/07/08 - Oh So Smart or Oh So Pleasant
- 1993/07/11 - An SCP Masquerading as a Tale
- 1993/07/11 - The Ends Justify the Means of Production
- 1993/09/14 - SCP-5626
以下は、プロジェクト・ヘカトンケイレスに関する中枢サイトのファイルです。
SCP財団 保安施設ファイル
研究・収容サイト-91
正式名称: 特異生物学 研究・収容サイト-91
サイト識別コード: XRC-Site-91
概要情報
目的: 研究サイト-91は特異生物学および奇跡術に関する要注意アノマリーの研究・収容に利用される、高度保安施設です。
設立: 1987年1月17日
場所: イングランド、ヨークシャー農村地域
カバーストーリー: 私人所有下の18世紀邸宅。
サイト機能: 研究・開発、収容、機動部隊派遣 (必要に応じて)、プロジェクト・ヘカトンケイレスの活動拠点。
サイズ: 合計領地 2.6km2
追加情報:
歴史:
サイト-91の主要研究施設となる建造物は18世紀初頭にエッカート家が建てたものであり、エッカート邸と名付けられていました。1779年、異常な事件が発生し、邸宅は損壊しました。1
暫定サイト-91が設立されたのは1986年、SCP-4612発見直後のことであり、翌年にはサイトは監督評議会から全面的な委託がなされました。サイト-91は当初、(邸宅地下の部屋で発見された) SCP-4612を収容するために以前の用途から転用されたものでしたが、完全な収容施設、研究ラボ、図書館へと拡張されました。
サイトの研究内容は特異生物個体の収容・分析を主軸としており、第二軸として奇跡術対抗策の開発と奇跡術遺物の収容を掲げています。彼らが奇跡術分析に熟練し専門としていることから、サイトはMTF-ベータ-777 (“ヘカテーの槍”) の主要拠点としても活用されています。
保安体制:
- 周辺敷地の保護
- 高度な生体認証機器
- 内部・外部の保安関門
- 多重の奇跡術結界システム
- 本来の邸宅構造をチタン・ベリリウム銅で補強
ロジスティクス機能:
- 大規模な奇跡術図書館・研究ラボ
- 特異生物学研究ラボ:
- 解剖・遺伝子分析設備
- 機能十全の医療センター
- 重傷・救急対応
- 手術室完備
- 集中治療室
- SCP-5079犠牲者の長期ホスピスケア
- 万全の分遣MTF部隊
- VTOL航空機を用いた迅速展開
- MTF-ベータ-777 (“ヘカテーの槍”) の派遣拠点
- 1992年5月5日よりプロジェクト・ヘカトンケイレスの中央本部であり、MTF-タウ-9 (“本の虫”) ならびにMTF-オメガ-20 (“思想警察”) 派遣を兼ねる
職員情報
サイト管理官:
イオナ・ヴァルガ博士・医学博士Iona Varga, MD/PhD (上参照)
サイト執行官:
宇津木 秀瀧Hidetaki Utseki
保安主任:
ウィリアム・グレンジャー大尉Cpt. William Granger
特異生物学研究部長:
イオナ・ヴァルガ博士・医学博士
奇跡術研究部長:
ヨカスタ・ロッシ博士Jocasta Rossi, PhD
チーフアーキビスト:
アドロニカス・マツオカ博士Adronicus Matsouka, PhD
回収・物流部長:
ハンナ・マグレガーHannah MacGregor
医療部長:
D. クーパー医学博士D. Cooper, MD
倫理委員会リエゾン:
ヴェロニカ・サンチェスVeronica Sanchez
メンテナンス監督:
ロバート・カーライル・シモンズ理学修士Robert Carlyle Simmons, MS
玄妙除却技師:
ンブカ・ライナーM'buka Rainier
上級調査官:
エージェント レベッカ・ダグラスAgent Rebekah Douglas
MTFベータ-777監督官:
サハラ・ザデー大尉Capt. Sahara Zadeh
サイト駐在職員:
博士: 12名
研究員: 32名
収容職員: 31名
MTF職員: 28名
管理部職員: 5名
メンテナンス・IT: 8名
保安職員: 52名
Dクラス: 0名
その他職員: 10名
記録上重大な収容インシデント
SCP-4612
1990年7月2日
複数名の“蛇の手”エージェントが4612-Aの収容違反と窃盗を試みた。敷地内への“道”開放後、エージェントらは呪文を詠唱してサイト-91の奇跡術結界を欺き、敷地への侵入を可能とした。“蛇の手”エージェントらは4612-Aの地下収容庫へ侵入することには成功したものの、彼らが考慮していなかった二点が仇となった。a) 4612-Aの構成物質は極めて高い密度を有していたため、死骸を発見時の石版から引き剥がすのはほぼ不可能であったこと。
b) クリアランスの無い職員が室内に立ち入ったため、収容庫の生体認証機能 (奇跡術結界と連携) が作動。5名の“蛇の手”エージェントらは最終的にサイトの保安職員に降伏し、収容プロトコルに違反しようとしたため拘束された。
尋問により関連情報を引き出した後、ヴァルガ管理官はエージェントらにクラスB薬剤で記憶処理後、地元警察に引き渡すよう命令。この対応は倫理委員会リエゾンに承認されたため、エージェントらは私邸への住居侵入罪に問われた。彼らは4年の判決を下され、釈放後の定期監視では“蛇の手”と引き続きの関係は見られなかった。本インシデントを受け、ザデー大尉はサイト-91周辺の奇跡術結界を修整し、“道”が敷地内に開かないように改良した。