『記事を書く際は、まず下書きを作成し、サンドボックスIIIやDiscordで批評を受けましょう!』
これは、サイトメンバーなら誰もが聞く常套句ですね。しかし、中にはこのような悩みをお持ちのメンバーも多いと思います。
『下書きを公開したのに、誰も批評を残してくれない……』
『チャットで批評を依頼しても、誰も受けてくれない……』
確かに、SCP-JPでは書き手に対して批評者が圧倒的に少なく、批評をもらうまでに何日もかかることもあるかも知れません。しかし、あなたの工夫次第で批評をもらいやすくすることはできます。このエッセイは、あなたが批評をもらいたい時に、使える場所を最大限に活用するためのヒントを与えるものです。
実際、SCP-ENにはHow To Get Good Feedbackという似たような目的のエッセイが存在します。しかし、ENとJPでは批評文化が異なりすぎて、これをただ訳すだけではJPの皆さんの参考にはならないと考えています。ただ、このエッセイは諸々の事情によりここで省略した内容も含んでいるため、ENの考え方も参考にしたい方は読んでみても良いでしょう。
Table of Contents
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前提として、以下をご理解ください。
- 主に完成した下書きの批評を受けることを目的としたエッセイです。アイデアについてのフィードバックを得ることは、まったく異なる事であると思ってください。
- このエッセイの内容は、良い批評を確実に得ることを保証するものではありません。仮にここに書いてあることを実行してフィードバックをもらえなかったとしても、著者は一切の責任を負いかねます。
- これはガイドではなくエッセイです。この記事の内容を根拠として他人に行動を強要しないでください。
下書きを公開する前に
下書きを公開する前時点でできることはただ1つ、文章の推敲です。批評をもらいやすい下書きは読みやすい記事、すなわちイージーミスが少ない記事です。完成したからといって慌てて公開せずに、まずは落ち着いて以下の内容を念入りに見直してみましょう。
- 誤字脱字、文法の誤り、フォーマットミスはないか?
- 敬語の使い方は間違っていないか?
- 語調や対話の流れは自然か?
- 記事に使われている背景知識は適切か?1
イージーミスが多いと、批評者の体力が誤字脱字やフォーマットミスのチェックに吸われ、肝心の内容に注意が向かなくなります。上に挙げた要素は可能な限り改善しましょう。
しかし、誤字脱字などならまだしも、語調や対話、背景知識などの要素を全て自力で修正することは難しいかもしれません。その場合でも、下書きの懸念点を明確にする努力はしましょう。下書きを共有するときにこの懸念点について言及する(詳しくは次章で説明します)と、批評者が見る範囲を絞ることができ、より批評がしやすくなります。
下書きの問題点を修正したり明確にしておくと、著者であるあなた自身の評価も上がります。つまり、批評者に「この人にアドバイスをあげたら真摯に受け止めてくれるだろう」と思ってもらえるということです。逆に、フォーマットがぐちゃぐちゃの状態で記事を批評に出した場合、批評者に「この人にはアドバイスの与え甲斐がなさそうだ」と思われてしまうかもしれません。
下書きを公開するとき
批評するということはすなわち「クオリティが低いかもしれない記事を読む」ことなので、本来あまり気の進む行動ではありません。しかし、工夫すれば「もしかしてこの下書き、読む価値があるんじゃないか?」と思わせることは可能です。この章では、あなたの下書きに注意を向けさせるコツを紹介します。
また、たとえ批評をもらったとしても「役に立つ批評」でないと意味がありません。もちろん批評者には何かしらの役に立つ批評をするよう努力することが求められますが、ここでは役に立つ批評を引き出すコツも紹介します。
サンドボックスIIIの場合
サンドボックスIIIは最も基本的な下書き公開の場です。ただし、ときには100個を超える大量の下書きの中から自分の下書きを選んでもらう必要があり、どうしてもフィードバックをもらえるか否かは運に左右されてしまいます。しかし、その運を引き寄せる方法は少なからず存在します。
もちろん、利用ガイドはしっかり読んでくださいね!
- 下書きにタイトルをつける
……地味ですが最も大切なことです。大半の批評者は下書き一覧のタイトルを見て下書きをクリックするかを決めるわけですから、タイトルをデフォルトのまんま(ユーザー名-英数字の羅列)や「SCP-XXXX-JP」としていては興味を引くはずがありません。仮でもいいので、タイトルを決めて書き込みましょう。
- ジャンルタグを使う
……ホラーやSFなど、特定のジャンルが好きなメンバーは一定数存在します。自分の下書きがどのジャンルに当てはまるかわかる時は、ジャンルタグを使えばそれらのメンバーを取り込める確率がかなり高まるでしょう。大規模なコンテストに参加する場合は「コンテスト」タグを忘れずに。
文面では分かりづらいかもしれないので、実際にサンドボックスIIIの下書きリストを再現して説明します。
悪い例:
タイトルのSCP-XXXX-JPは文字通り何の意味も持たない情報なので、これではどんな下書きかひと目でわかりません。ジャンルタグも使われていないので、特定のジャンルが得意な著者を逃してしまいます。また、後述しますが、最初のコメントを自分で行ってしまっているので、コメントが少ない順で0コメよりも下に来てしまいます。
良い例:
タイトルに下書きの情報が含まれ、ホラータグがつけられているので、先ほどよりホラーが得意な批評者が見てくれる可能性が高くなります。また、コンテストタグがつけられているので、現在開催されているコンテストに参加する記事であることもわかり、より優先的に批評がもらえます(ちなみに、これは筆者が無のコンテストに出そうとして挫折した下書きの再現です)。最低でもこの状態を目指しましょう。
- 批評してほしいポイントを書く
……これは前章でも説明した通りです。書く場所はページ上部、ページ下部、ディスカッションと色々流派はありますが、私からはページ上部に書いて折り畳んでおくことをお勧めします。なぜなら、批評者がポイントを見たあと、すぐに下書きに目を移すことができるからです。
更に言うなら、ポイントはより具体的に書きましょう。「対話部分が不安」よりは「対話の流れが自然か不安」などと書くのがベターです。例えば、以下のように書いてみると良いでしょう。
時々、気になっている点に「誤字脱字はないか」を挙げているメンバーを見ますが、正直書いたところで効果は薄いです。もし誤字脱字が批評者の目に止まったら、言われなくても指摘してくれるでしょう。
- スポイラー(ネタバレ)を置いておく
……批評をしようと思ったが、ストーリーがよくわからないので「よくわかりませんでした」としか言えなかった、というのは批評者あるあるです。しかし、スポイラーを置いておくと、この「よくわからなかった」が「ここのこういう部分が伝わらなかった」という、より有益なコメントに変わってくれる可能性が非常に高まります。特に、難しい内容の下書きだと自覚している場合には有効です。
一見難しそうですが、あなたの頭の中のプロットを書き出せばよいだけなので、しっかりストーリーを考えていれば書くのは難しくありません。それでもどんなふうに書けばよいかわからない人のために、例としてSCP-280-JPのスポイラー(おそらく一般的な解釈)を書いてみます。(SCP-280-JPをまだ読んでない人は、先に読んでから見てね!)
- 自分の下書きに無闇にコメントしない
(かなり細かいので読み飛ばしても構いません)
……「初めて下書きを作成しました。批評をお願いします。」というようなコメントを自分の記事に残す人をよく見ます。しかし、基本的に他人の下書きへのコメントは目につく確率が低い上、あなたが初心者かどうかは批評に関係ないため、かなり効果が薄いと言って良いでしょう。
サンドボックスIIIには、下書きをコメントの少ない順に並べる機能が存在します。どれくらいの批評者が使っているかはわかりませんが、これを使用してコメントが0または1個の下書きから批評していこうという心優しい批評者も一定数存在します。1コメを無闇なコメントで始めてしまうと、自分の下書きをコメントが少ない順で下に追いやってしまう事になりかねません。つまり「初めて下書きを作成しました。批評をお願いします。」といったコメントは、むしろ批評をもらう確率を下げている可能性すらあるのです。
もちろん、批評への返信や、大規模な改稿の告知はこの限りではありません。
Discordの批評ルームの場合
Discordでの批評はリアルタイムかつより詳細な批評を聞き出せる可能性があり、非常に強力なツールです。まずはガイドラインをよく読み、先人たちのムーブをしっかり見てから利用しましょう。
- 予約する際にジャンルを宣言する
……SCPは難しいけどTaleなら批評しやすい、というような人は少なからず存在します。ジャンルを宣言することで、その分野が得意な批評者を捕まえられる可能性がグッと上がります。具体的にはこうしてみましょう。
△「本日██時より下書きを批評していただける方はいらっしゃいますか?」
◯「本日██時よりTaleの下書きを批評していただける方はいらっしゃいますか?」
特定のGoIやカノンについての知識を引っ張り出したい場合、こうしてみるとより良いでしょう。
◎「本日██時より98年カノンのTaleの下書きを批評していただける方はいらっしゃいますか?」
- 批評してほしいポイントを最初に聞く
……サンドボックスIIIの場合と同様です。Discordでの批評は時間が限られている分、より大切になってきます。
- わからない指摘があったら具体的に聞く
……批評者はよく「〜という印象を受けました」と言いますが、何が原因で〜という印象になったのか自分ではわからない、ということはありませんか? そういう時は遠慮せずに「具体的にどこが〜という印象を受けましたか?」と聞きましょう。これは何も失礼なことではありません。自分の知識が足りないと思ったら、教えてもらえば良いんです。仮に理由はよくわからないという回答が返ってきたとしても、聞かないよりは随分マシでしょう。
- 定例会は積極的に利用する
……公式チャットで隔週土曜日に行われている下書き批評定例会は、1度に複数人に下書きを見てもらえる大チャンスです。持ち時間こそ批評ルームより少ないですが、確実に批評をもらえる、より多角的な視点から記事を捉えられる、といった点では非常に優秀なツールです。最近は席の奪い合いが激しくなっていますので、当日の20:45ちょうどに予約を入れられるように準備しておくと良いでしょう。
直接交渉
WikidotのPM機能や、Discord、TwitterのDMなどで直接批評を依頼する方法です。確実に批評をもらいたいなら、これが最も手っ取り早いでしょう。著者ページやTwitterのプロフィールで批評を受け付ける旨を公表しているメンバーもいますので、ぜひ積極的に情報収集を行ってみてください。ハードルが高いと感じるならば、次章「普段の行い」を参考に交流の輪を広げてみましょう。
「批評をもらった人の記事に批評を返す」という条件をつけるとなお良いです。最初のうちは批評は難しいかもしれませんが、率直な感想であっても案外役に立つことがあるので、ぜひ進んで批評してみてください。
どこで批評をもらうにせよ、大切なのは複数人から批評をもらうことです。批評はあくまで批評者の主観でしかないので、あの人はUV、この人はDVという評価をもらって当然です。1人から批評をもらったからと言って満足せずに、積極的にいろいろな人の意見を吸収し、取捨選択していきましょう。
普段の行い
これは別に礼儀正しくしろということではありません。簡単に言えば「普段からもっと交流しよう」ということです。SCPのメンバー歴が長い人ほど仲の良いメンバーが多く、その分批評をもらいやすいというのは、残念ながら変えようのない事実です。そこに文句を言っても仕方がないですし、嘆く時間があるならば自分から行動して、仲の良いメンバーを増やしたほうが良いでしょう。
サイトで交流を増やす手っ取り早い手段は、好きな記事にコメントを残すことです。その記事の著者がアクティブであれば著者に認知してもらえる可能性は高く、著者でなくても最近の投稿を見ているメンバーの目に止まるかもしれません。
可能であれば、積極的に下書き批評をしてみるのも良いでしょう。良いコメントを残せればかなりの確率で著者に認知してもらえるため、非常に強力な手段です。ただし、投稿のし過ぎや言葉遣いには注意してください。
チャットで交流を広げるのは、場合によってはサイトよりも良い手段かもしれません。チャットではSCPの話題だけではなく、雑談、科学やゲームの話もできますので、交流のハードルはサイトよりも下がります。ここでも限度を超えた発言には注意が必要ですが、適度な交流は良い具合に自分の認知度を上げてくれます。
Twitterなどの外部サイトを利用するのも良いですが、外部サイトが真に力を発揮するのは、あなたが執筆、翻訳、批評、二次創作などで大きな貢献を成し遂げてからになるでしょう。基本的にはサイトやチャットで地道に自分を認知してもらうことをおすすめします。
そうそう、アイコンをデフォルトのものから変えておくのも大切です。もちろんデフォルトアイコンで成功しているメンバーもたくさんいますが、独自のアイコンを使用したほうが覚えてくれる人は圧倒的に多いでしょう。あまりアイコンをコロコロ変えないのもポイントです。
サイトへ投稿するとき
記事のフィードバックをもらうことを目的として本サイトへ投稿するのは、基本的に避けたほうが良い行為です。低評価であった場合は72時間しかコメントがもらえない上に、本サイトでは往々にして感想程度のコメントしかもらえないことが多いです。自分の記事が完璧な出来になったか、これ以上有益な批評がもらえないと判断した場合のみ、本サイトへ投稿しましょう。
時々、自分の記事に「DVの理由を教えてください」とポストを行う人がいます。それ自体は構いませんが、サイトメンバーにDVの理由を教える義務はありません。「どこがどのように面白くなかったか」は非常に言語化しづらいので、本投稿でフィードバックをもらえなくても気にしないでください。最善を尽くして駄目だったら、潔く諦めて次のネタを考えたほうが良いでしょう。
本サイトで低評価がついたあとに大規模な改稿案を思いついたら、1度その記事を削除して改稿後の記事を再投稿することをお勧めします。読者が1度評価した記事にもう1度評価を入れにいくことは少ないからです。ただし、大幅な内容の変更を伴わない再投稿は、場合によっては「低評価削除を回避する行為」と見なされる可能性があるので注意してください。
おわりに
このエッセイが少しでも皆さんのお役に立てたなら幸いですが、最初に言ったように、ここで書いたことを全て実践したからと言って良い批評がもらえるとは限りません。ときには誰の力も借りられず、自力で記事を面白くするしかなくなることもあるかもしれません。そんなときは本投稿を焦らずに、ゆっくり待つか直接交渉に行きましょう。
皆さんの執筆生活が豊かなものになることを、心より願っています。