行ってきます。また家で
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「おはよう」

そう言い俺は寝室で布団にくるまる"彼女"に声をかける。


私に部屋の扉から顔を覗かせ、声をかける"彼"に私は

「えぇ、おはよう」

そう言い返し、布団から出る。


彼女の返事は確かに俺の心に響く

「朝ご飯は出来てるよ」


そのいつもの声に私は、どこか安心感を覚える。

「分かったわ」


その返事を聞き広間に戻ってテーブルに料理を並べる。


目をこすりながらも広間に着くと
テーブルに料理を並べる彼が目に入る


朝食を並べていると彼女がやってくる。

「夕飯はどうする?」

配膳が終わり、席に座ってそう聞く


席に座った彼に話を振られる。

「私が買ってくるわ」

そういいながら私も席に付く


「了解、頼んだよ」

その返事から"今日はどんな夕飯かな"、
と気の早い思いを馳せる──



そうしていつも通り、朝食を食べ世間話を交える



そんな平凡な事をしている今に、
何処か満足を覚える自分がいる。


そんな日常が続く今に、
何処か愛おしさを感じる自分がいる。


そうして今日も奴等を研究し、
この平凡を守ろうという自分がいる。


そうして今日も奴等を壊し、
この日常を守ろうという自分がいる。



──ありふれた世間話をしていると刻一刻と時間が差し迫ってくる



「そろそろ出ようか」


彼の声でハッとする。
確かに時間が近づいており彼はともかく
私は直ぐ出なくてはならない時間だ

「もっと早く言ってくれたらうれしかった!」


大慌てで準備を始める彼女に少し笑いながらも、その光景に平和を感じる。


少し笑いながら私を見る彼に平穏を感じる。


自分の荷物をチェックしていると、
彼女が準備を終えてやって来る。

少しおちゃめな彼女がかわいらしい


彼は既に準備を終えていた。

いつも用意周到で完璧な彼が素敵だ。


彼女の可憐な体にあるしなやかな筋肉も好きだ、
腕相撲も運動も一度も勝てたことが無い。


彼のとても頭がキレる所も好きだ、
そこそこの大学を出た筈の私でも分からないことを沢山知っている。


そんな彼女を守る為なら俺はどんな危険にだって立ち会って見せよう


そんな彼を守る為なら私はどんな脅威にだって立ち向かって見せよう


可愛い彼女に全てを伝えたい、だがそれは許されない


カッコいい彼に全てを教えたい、だがそれは許されない


いつの日か、その様な気持ちを押し殺すことに慣れてしまった。


いつの日か、その様な気持ちを隠すことに慣れてしまった。





「ちゃんと持ち物はもった?」

「えぇ勿論、忘れ物はない筈よ」

「本当に?前そう言って忘れたじゃないか」

「…少し確認してくる」

そう言い彼女が玄関へ消えてから彼は少し待ち、直ぐに彼女が玄関から出てくる

「忘れ物はあったかい?」

「…あった」

「やっぱりあったじゃないか」

「…」

彼女はむすりとした顔でそっぽ向く

その彼女の仕草に彼は

「はは、ごめんごめん、言い過ぎた」

と少し微笑みながら言う

「いいわ、でも今日は夕飯買ってこないから、貴方が作りなさいよ!」

「あぁ、良いとも」

そんな何気ない会話で彼らは幸せを感じる。

だが、やはり時間は人を待つことはない

その幸せの時間を惜しみつつも彼らはドアを開け──


「「行ってきます。」」


そういい俺は奴らの監獄サイト



そういい私は奴らの狩猟場ステーション



人類を保護する盾として



人類を守護する剣として


その職務を果たす。

そして何よりも最愛の人の為ならば──







──この命も捧げよう

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