彼方の塹壕にて
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これを読めるなら、貴方は既に死んでいます。

2.10 — 防衛ドグマ5箇条: 人格戦闘訓練(IWT)における防御ならびに長期の生存を達成する上で、IWTの主要5項目は不可欠なものである。信じることが生存における必須条件である為、以下に示される5項目は"ドグマ"と呼称される。
2.10.1 — NAMES: 戦闘員は"NAMES"というニモニックを用いて5つのドグマを記憶せよ: Narrative(物語)、Anchor(アンカー)、Mission(使命)、Emotion(感情)、Society(社会)。

人格戦闘訓練実践マニュアル-01: 基礎テクニック

Ω—Ω

アイテム番号: SCP-3125 (機動部隊オメガ-0版)

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 機動部隊オメガ-0("アラ・オルン")は現在進行中のSCP-3125侵襲を監視し、可能な限り対抗します。財団所属の存命な反ミーム研究者は保護されます。機動部隊ω-0による徴用を可能とするため、当該職員の死亡時に発生したインフォストリームはSCP-3125の捕食から守られます。生存者はタイプX指向-逆行記憶処理反ミームに感染させ、SCP-3125に関する全情報を削除します。

サイト-41に存在するSCP-3125収容ユニットはバート・ヒューズ博士によって設計されました。理論上、当該ユニットはあらゆる情報構成体(SCP-3125と機動部隊ω-0の両方を含む)の侵入を妨げる防ミーム空間を形成し、逆転収容を成立させていると考えられています。

反ミーム部門の上級スタッフメンバーは6週間(42日)毎にSCP-3125を訪れなければいけません。訪問の際、機動部隊ω-0・レヴェナントチームはSCP-3125収容ユニット控室に出現し、ユニットから退室した職員の補助および防衛を必要に応じて行います。

説明: SCP-3125は侵襲性のミーム生態系、もしくは単一の巨大な自己組織化可能な情報構成体であり、人類よりもはるかに複雑な情報系あるいは外部ノウアスフィアに由来しています。これらの侵襲実体は生来的に人格戦闘に長けており、極めて危険な存在と見做されます。

当該構成体は自身に関する情報を含む未保護のインフォストリームを検知・認識することが可能です1。侵襲は如何なる場所であろうと情報が検知された時点で開始され、持続的なインフォレーザによって支援された、反ミーム隠蔽状態の蜘蛛型実体が出現します。侵襲はSCP-3125に関連する情報を記憶する人物のみならず、その人物と深い関わりを持つ者(ミノムの類似性に基づく)も対象とし、殺害と共にノウアスフィアから消し去ります。

以上の帰結として、機動部隊ω-0が把握するところの反ミーム研究を行っていた400を越える団体は、二つ ― 反ミーム部門と対抗概念部門 ― を除いて消滅しています。他の団体は消滅したばかりでなく、忘れられ、顧みられません。該当団体の存在は強固なフィードバック強化性反ミーム構造下に置かれています。

現在までに36の侵襲事象が機動部隊ω-0によって成功裏に撃退されています。しかしながら損耗も甚大であり、13名の工作員の復帰不可能なレベルのゼロ化、17名の顕著かつ永続的な人格損傷が発生しています。研究員がターゲットに選ばれた後、当該人物の死亡もしくは逆行性健忘による関係情報の喪失が発生するまで、これらの攻撃は継続します。

以上を本攻撃の前兆と仮定した場合、人類の防衛機構は既に壊滅しています。対抗概念部門が保有する上位反ミーム防御機構は、部門の無知と引き換えにSCP-3125からの隠蔽に成功しているように観察されます。彼らは対抗措置としてSCP-3125を概念化することが不可能な状態に移ったと考えられ、事象に対して一切の反応を示しません。反ミーム部門はSCP-3125収容ユニット内部で収容戦略を組んでいるものと理論上されていますが、それ故に、部門は不可知な攻撃を慢性的に受け続けています。2012以来、3500を超える所属職員が殺害され、機動部隊ω-0への徴用が可能な水準にインフォストリーム整合性を保つことが出来た職員は27%に留まります。

Ω—Ω

2.10.1.1 — ナラティブ/Narrative: 自身の物語を語ることが出来るのは自己だけである。人格戦闘員は明晰かつ他者に依存しない、自己のナラティブを維持する必要がある。人格に対するあらゆる攻撃は本質的にナラティブを対象としたものであり、編集もしくは忘却を目標としている。ナラティブは自己そのものであり、制御を失った時点で人格は喪失されたと見做される。
2.10.1.1-A — 中心人格履歴/CIB: セクション3に示される規範に従い、中心人格履歴(Core Identity Biography/CIB)を維持しなければならない。当該文書は上役による検査の対象となる場合がある。

人格戦闘訓練実践マニュアル-01: 基礎テクニック

出現記録 — コールド・シティー作戦

チーム: レヴェナント-3

名簿: リン・マーネス (リーダー/フィールド・ミーマティシスト)、サントス・デサイ (人格防衛)、ゾイー・スミス (人格攻撃)、ライリー・クーパー (クイックスペース操作)

概略: 本日1030、 ホイーラー管理官はSCP-3125への入室を予定している。SCP-3125の脅威については改めて述べるまでもない。ホイーラー管理官がチャンバー内で進めている計画は、効果的な防衛の確立への第一の希望である。

レヴェナント-3はサイト-41のSCP-3125収容エアロック近辺に出現し、ホイーラー管理官の退室を待たなければならない。チームは彼女にとって必要と考えられるあらゆる補助を提供し、SCP-3125の攻撃からの防衛を行う。

本出現は「コールド・シティー作戦」のコードを与えられ、該当システムに挿入済、起動待機状態にある。

記憶せよ:我等は守護する聖者なり、

— アモス・サンチェス、機動部隊ω-0作戦監督

出現記録開始

<出現中: L.マーネス; S.デサイ; Z.スミス; R.クーパー>

マーネス: 幽霊諸君、ログインが済んだようだ。まずはビデオ映像を。

ビデオフィードはSCP-3125収容控室を映している。ポール・キム研究員は端末の前に座っている。エアロックの在中表示は点灯している。

マーネス: ラインバッカー、防衛状況は?

デサイ: 予定通りです。ここ一年以上サイト-41に生じている例の圧力は依然としてありますが、それを除けば安全が確保されています。

マーネス: 了解した。注意を怠るな、死人ども。そして今度こそ、マリオンが何か策を持って出てくることを祈ろう。

Ω—Ω

2.10.1.2 — アンカー/Anchor アンカーとはクイック上で人格を記憶する者である。強力なアンカーは親しい知人であり、故人の死を悲しみ、何れかの時点で記憶補強を受けている。初期の活動においてはアンカーの存在は必須であるが、将来的にはアンカーへの依存無しに生存することが可能となるだろう。強力なアンカーは人格戦闘員にとって強力な武器である。習熟により、アンカーによるナラティブの保護、アンカーの位置と精神状態の把握、究極的にはアンカー付近での出現が可能となるだろう。
2.10.1.2-A — CS評価/CS Rating: セクション3に示される訓練を利用することで、アンカーの強度を定量化することが可能である。これはCSスケール(鎖強度/Chain Strength-)と呼称される。フィールド任務に参加する資格を得るには一名以上のアンカーとの間に4.5以上のCSを確立する必要がある。

人格戦闘訓練実践マニュアル-01: 基礎テクニック

スミス: ねえ、ライリー、うちのサントスが部隊史上最強のアンカーを持っている話は知ってる?CS 7.8だって。

クーパー: 本当に?そんな数字がありえるなんて知らなかった。対数スケールでしょう?サントスのアンカーは誰なの?

デサイ: 僕の父親だ。あまり話したいことじゃない。

マーネス: 死人の間に隠し事は無しだ、デサイ。

デサイ: 分かった、分かった……ああ。僕が死んだのは十年前くらいになる。あの人は今も僕にメールを送り続けて、自分を責めて、前に進めずにいる。何も忘れないように記憶補強の権限まで維持して。あの人にとっては辛いだけで、僕にとっては不愉快で、それでもオメガ・ズルはあの人を重宝している。

クーパー: それは同情するわ。

スミス: 何を見てるんだ、あいつは。

スミス: 敵対ベクターを確認しました。ボス、キャスパーを当てますか?

マーネス: デサイとクーパーはキムの監視を続けろ、降伏状態に入ったらしい。これは確実に3125絡みだ、76年に私らが戦ったのと変わらない。対抗ミームを注入する。

マーネス: さあポール、考えろ!

映像内で、エアロックの回転が始まる。キムは驚いた様子で立ち上がり、扉へ向かう。回転と共に扉が開く。マリオン・ホイーラーはチャンバーの床に横たわっている。

デサイ: 今のを感じますか?ホイーラーがインフォレーザ攻撃を受けています。ブロックしていますが、どれだけ持つか分かりません。

マーネス: クーパー、ホイーラー宛ての伝言を組み立てろ。警告が必要だ。

クーパー: 了解。

映像内で、ホイーラーはエアロックの床の上で縮こまっている。キムは彼女に話しかける。彼はポケットナイフを取り出し、ホイーラーの方へしゃがみ込む。

スミス: キムに、あるいはその操り主に脱落処理をかけています。……ミノムが完全に上書きされていて、固く結び付けられています。こんなのは見たことがありません。

デサイ: 彼女の方も上書きされようとしています。僕がシールドを張っています、今の所は。

ホイーラーとキムは揉み合い、ホイーラーはナイフの突きを斥けてキムを蹴り上げる。彼は飛ばされ、壁に打ち付けられる。

クーパー: くたばれ!

キムの鼻から血が飛び散り、背後の壁に文字を形成する:「ホイーラー、サイト-41が攻撃を受けている。対抗不能。」ホイーラーは勢いよく立ち上がり、メッセージを視界に入れる。彼女はカメラの方を向き、はっきりと「私は大丈夫。計画は覚えている。」と発言し、収容チャンバーの外へ走り出す。

ホイーラーは廊下を疾走し、薬剤局へ向かう。周辺でサイト-41の構造崩壊が発生する。彼女の背後で天井のタイルがはがれ落ちる。イヌと同程度の大きさの蜘蛛型実体がタイルと共に落下し、ホイーラーを追いかける。実体は突然足をもつれさせ、壁に衝突する。もう一匹の蜘蛛型実体が天井の穴から落ちる。

スミス: こいつらか。オーケー、最初の奴のスレッドは掴んだ。相当混乱した状態になっているはず。

二匹目の蜘蛛は突然に球状に丸められ、動きを止める。

クーパー: げえ。 蜘蛛は嫌いなのよ。

三匹目が落下し、よろめきながらもホイーラーを追う。

マーネス: こいつは捕まえた。抵抗しているな。

クーパー: 何かに噛まれた。ちょっと待って。私はライリー・クーパー。12の時に弟の顎にバスケットボールを当てて歯を折った。私はライリー・クーパー。大丈夫。

デサイ: スレッドを探っているんだな。僕も補助する。

残った二匹の蜘蛛は突然折りたたまれ、球状に丸められる。更に十数匹の蜘蛛が天井から落下し、それに続いて上階から雨のように瓦礫が降り注ぎ、実体群を襲う。

クーパー: 一網打尽よ。

デサイ: 大したポルターガイストを持ってるじゃないか、新人。

クーパー: 本当に腹が立っているのでね。

映像は激しく切り替わり、レヴェナント-3は薬剤局に辿り着いたホイーラーに追いつく。画面端から黒い触手状のノイズが成長し始める。

デサイ: 情報環境が整合データを腐食し始めています。直に映像が途切れます。可能な限り維持はしますが。

ホイーラーが薬剤局に入るとともに、ドアの後ろに隠れていた女が注射器を持ち、不明瞭な言葉を発しながら急接近する。ホイーラーは素早く後ろに下がり、向けられた腕を首元から逸らす。

クーパー: させるか!

重い薬品棚の振動によって固定用のボルトが外れる。棚は部屋の真ん中に向けて倒れ、薬剤局職員の頭蓋骨を砕き、床に圧し潰す。ホイーラーは後ろに倒れ、床に体を打ち付ける。彼女は職員の死骸を見て身震いし、立ち上がり、保管室の中で最も厳重に隔離された領域へ移動する。

マーネス: 私の予想が正しければ、彼女が目的の物を手に入れるには三要素の認証が必要だろう。

スミス: アレがそこら中の情報を食い散らかしている今となっては、セキュリティシステムも無事じゃないでしょう。スキャナーが生体認証をこなしてくれるかも怪しいのでは。

マーネス: うちのチームがあれをデザインしたのは幸いだったな……私も入ろう。マリオンは私のアンカーで、システムが彼女を忘れることはない。彼女が私を忘れない限りは。

デサイ: 保証は出来ませんよ、ボス。

マーネス: あの中にある物を使えば、彼女は死ぬまで何も忘れられない。

Ω—Ω

職員らは死体と瀕死の人間に紛れ、緊張病の症状を見せながら床の上で胎児のように丸くなっている。ホイーラーは職員らの脇を通り過ぎる。他の映像では生きた職員が本能のままに理解不能な言葉を唱え、奇妙な文様を自身や他者に刻み付けている。ホイーラーは壁に浮かぶ血の矢印に従い、感染者のいない通路を辿っていく。

スミス: 次に右へ曲がってブロックCへ。

クーパー: 了解。

スミス: クソ!崩落している。エリア11がおしまいだ。全く通れない。

デサイ: そうなると彼女は武装にありつけないか。

マーネス: 何とか出来るはずだ。クーパー、北方向の壁を崩せ。そこを通ればエレベーターに辿り着ける。

マーネス: 考えてみれば、あそこに彼女の役に立つ物があるかもしれない。

ホイーラーが交差路に近づくとともに、進行方向の壁がはがれ、明かりの無い収容庫が露わになる。暗闇の中で、何列もの標準収容ロッカーが静かに並んでいる。

マーネス: ゾイー、彼女に灯りが必要だろう。

スミス: そうね。そして私には音楽が必要よ:

新たに生じた入口の付近の埃は目に見えて集まり、融合し始める。数秒後にはエクトプラズムを思わせる曲面が次々と生じ、数十個にまで増加する。実体は蛾の形状に収束し、仄かに光を発しながら、鋼壁に空いた穴の中へ足を踏み入れようとするホイーラーの周りを飛び回る。

デサイ: 中に監視カメラが無い。映像は無しだ。あの倉庫は設計にも載っていないのか?何であんな所に?

マーネス: アンシンカブルズから引き継いだSafeクラス収容室だ。失われ、長らく誰もが忘れていた。一人、私を除けばだが。

マーネス: クーパー、中まで手が届くか?

クーパー: おそらく、少しなら、はい。

マーネス: 三列目、右から二番目のロッカーだ。番号は23-19-32。一組だけの暗証番号、随分とシンプルな時代だったものだ。

クーパー: 出来たわ!あの中には何が?

マーネス: 高エネルギー部門から掠めたものだ。宇宙人由来の"焼却器"だと思われていたものが、実際はターゲットを他の職員に認識されない反ミームワームに変えるものだと判明してね。彼らの記憶を消去し、SCP-7381を持っていたことすら忘れさせた。

エリア09の壁の一部が閃光と共に白い蛆虫の大群に変化し、ホイーラーは穴を通り抜ける。全てのフレームの四分の一以上が揺れる触手状のノイズによって妨害されている。

マーネス: 時間通りだ。

デサイ: 奴らの意識が整合化しているようです。エレベーターの周りに集まっていた四、いや、六人が互いを切り付けるのを止めました。ただそこで待っています。

スミス: 迂回路は無いね。突き切るしかない。

スミス: 以前よりも酷くなってる。手を中に入れられて、表面のほんの一部を除いてただの指人形になったみたい。今、脱落処理を試している。全て繋がっているけれど、何の意味も持っていない。言語的に意味が無い……ただ構造だけの……規則性が……意味が無い。

クーパー: やってしまえばいい。所詮は肉の塊よ。

ノイズ越しに辛うじて見える映像は、エレベーターの正面に切り替わる。待機していた人間の一人が突如発火する。男は悲鳴を上げながら目の前の女に衝突し、そちらにも火が燃え移る。さらに三人が内出血と臓器不全により一人ずつ倒れる。ホイーラーが角の向こうから現れた時には、一人だけが残っている。彼女は赤いパイプの集合体が二本並んだ銃で男に狙いを定め、胴体の四分の一を蛆虫の山に変化させる。彼女はエレベーターに突入する。

エレベーターの内部はノイズによって殆どが見えない。古びた死体が、壁に書き殴られた"Grey is here(グレイはここに)"という言葉の下でうなだれている。ホイーラーは独り言を発しているように観察される。エレベーターの降下が始まる。

デサイ: ボス……症状が酷くなっている……もう僕は

スミス: 診断を受けた後にしばらく休暇を取ったことを覚えている。リチャードはもちろん知っていたけれど、イータ-11の他のメンバーには誰にも伝えなかった。ヘレンにさえ言えなかった。確か、ポートランドに言ってチャーリーに会ったと思う。コーヒーを飲みながら話して、二人で泣いた、でも理解出来ない。どうして彼に?彼を止めるんじゃなかったの?もう思い出せなぐかはくするえり

スミス: あぁ。シグナルが聞こえてきたかもしれない。

スミス: ねえサントス、このスレッドを見てみな。貴方の自尊心の全て、人間関係の全て、そして使命感の中を捻じれながら通過して、再び戻ってくる。こんなちっぽけな子供時代のトラウマを、痛みに耐えながら、人生と死後の間ずっと守ってきたのかい?ぐちぐちと後悔を引きずってはいけないと母親に教わらなかった?それをループさせるのがどんなに簡単なことか、フィードバックが貴方を切り開いてしまうように。

デサイ: 父さん!父さん!実力テストを覚えてる?僕95点を取ったんだ!

クーパー: 一体どうしたの、ゾイー?

マーネス: しっかりしろスミス。お前はオメガゼロの隊員だ。死によって義務から解放されることは無い、そしてお前は少しだって満たされていないはずだ。

スミス: ゾイー・スミスは遥か昔に死んだ。私は中の主人公に成りすましていた伝記に過ぎない。あんたはごっこ遊びをするような年齢じゃないはずだ、リン。大人になれ。

デサイ: 受け入れられない。君はとにかくこの人達を逃がせば良い。あれに全滅させられる前に、僕がフェイルセーフを起動させてくる。

スミス: サントスは崩れようとしている。この男を破滅に追いやったのと同じ欠点を影が照らし、その後は成す術もない。素晴らしいと思わないか?

マーネス: スペシャリスト・スミス:CIBを保護状態にリセット: three-heirophant, two-moon, one-magician, zero-reset-zero

スミス: リン、あんたは"上位複雑性のミーム生態系"の何が理解できない?粗末なバックドアを封じるのは最初にやったことだよ。

デサイ: 貴方を嫌っていると思わせたまま死んでしまった。どうしてそんなことを?

スミス: あいつの哀しく無意味な人生がこのたった一つの小さな穴から溢れようとしている。気を付けな、あんまり近付くと拗らせた思春期が掛かってしまうよ!:p

クーパー: 鎮静剤注 ― うぅ。

スミス: ナイストライだ、ライリー。でも編集はプロに任せた方が良い。私が本物の脅威と戦ってる間、回想に耽っているんだな。

クーパー: 私に笑いかけている。どうして私に笑いかけている?

デサイ: 僕は……死んだ……僕は死んだ……理由を持って。義務の為に。義務があった、いや、今もある。僕はサントス・デサイ、Keter収容スペシャ……否、人格防衛スペシャリスト、機動部隊ω-0隊員、僕は倒れない、譬え死んだとしても。……スレッドは双方向だ、スミス。

スミス: 何?そんなこと……いつか体調を悪くした時、私は病院の機械のリズムに合わせて歌を作っていた。どうして歌詞が思い出せない?

マーネス: よく帰ってきた、デサイ。ご苦労。調子はどうだ?

デサイ: 一まとまりと言ってよい状態かと、サー。少なくとも、今は壊れそうな状態ではありません。もう一度あんな脱落を受けて消えないで済むかは分かりませんが。スミスはどうすれば?

マーネス: どうもしない。ゾイーは終わりだ。クーパーを連れてこのクソッタレな場所から退避しろ。

クーパー: そんな、駄目よ。誰も取り残させない。今度こそ絶対に。

スミス 55: お前が見える。

デサイ: サー?

マーネス: 終わりだ。マリオンは計画を持っているが、生きてそこから出てくることは無い。私はここに残ってそれを見届ける。分かるはずだ、同じことを一度してきただろう。

クーパー: 君達には私が必要なんだよ!

マーネス: 戦いは終わりだ、ライリー。どの道を進もうと、後はバート・ヒューズとマリオン・ホイーラー次第だ。これが失敗すれば、現世での戦いは厳しいものになるだろう。その時はレジスタンスが必要になる。お前はその一員になるべきだ。私はアンカーの傍にいないといけない。サントス、お前も自分のアンカーの所に向かえ。

デサイ: 了解しました。ライリー、よく聞け、今から僕の父親の所に飛ぶ。命令の通りだ。

クーパー: どうして?でも……分かった。

マーネス: 別の日に戦おう、死者よ。

<消失: デサイ S; クーパー R>

マーネス: もうマリオンからは逃れられない、蜘蛛野郎め。

55: いいや、彼女は私を捕まえていない。

マーネス: 結局お前も喋ることが出来るのか。

55: 当然だ

マーネス: 本当はそうじゃないはずだ。お前は五次元に積まれた腐ったアイデアの山だ。意味の欠けた、理解不可能な程に複雑な記号の群れに過ぎない。意味の通ったセリフなど、お前から最もかけ離れている存在だろう。それでも、お前は会話を行おうとしている。これが何を意味するか。双方向の感染か?推測するに、意味の通った何かを飲み込んでしまったのだろう。お前の中には小さな人間の形をした塊があって、お前はそれを消化出来ずにいる。ミノムだ、適応的かつ激しく自己組織化する情報系。それは拡大し、単純化し、命令を発し、止めようとすればするほど拡大を速める。違うか?

55: 本当に、何て可哀そうな奴なんだ、リンよ。お前は常に、永久に遅すぎる。私はお前を二度殺し、それでもお前は最後になって再び現れる。敗北に終わった戦の数々、勝ちかけた戦もあった。三度の戦いの度に、もう少しだけの時間があれば成功したであろう策を思いつき、そして私は君が記憶を無くし、最初からやり直すのを見届ける。永遠の敗者だ。君はその運に足る人間ではない。その幸運に足る人間など存在しない。

マーネス: 誰かが挑戦しないといけない。そして一回でも成功すれば良い。

55: お前のチームを皆殺しにした。二度もだ!私はお前の人生を食らい、腐るにまかせ、そして結局はお前に止めを刺してきた。私はお前の新たなチームを狩り、彼らを食らい、ここに再び連れてきて、全体の一部としてやろう。お前がそれを見届けたら、私はお前を消し去ってやろう。お前の中に私が必要とするものは何一つ無い。老いぼれよ、もはや最後のチャンスなど残っていない!戦争は終わったのだ!ようやく!残るはマリオン一人、一人きりの部門だ!記憶補強のオーバードーズによって瀕死、地下二百メートルの場所にいて、身を案ずる者はいない、存在を知る者もいない。意味を無くした一握りの残骸だけが残り、不死の、殺されざるアイデアの一部となるのだ。

エレベーターが止まり、映像はエアロックに切り替わる。カメラはより強固にシールドされており、映像は鮮明である。ホイーラーは扉を開き、エアロックの内部に踏み込む。

マーネス: これが止めにならないとしても、お前に傷を与えたことを知っている。

(音声フィード) ホイーラー: アイデアは殺せる。

55: どうやって?

ホイーラー: より良いアイデアで。

マーネス: 全ては双方向だ。感染したのはお前も同じだ。

エアロックの複合外扉は折りたたまれ、閉鎖する。

<信号喪失>

Ω—Ω

TO: 全部隊構成員
From: サンチェス作戦監督
Subject: サイト-41の喪失に関して

セイント諸君、

極めて残念なことに、本日朝、サイト-41は反ミーム装置の起動によって消滅し、これに伴って反ミーム部門の全職員、機動部隊ω-0所属リン・マーネス隊員、同ゾイー・スミス隊員が失われた。当該領域における情報の生存は不可能となった。反ミーム部門に関するあらゆる情報はクイックから抹消され、死者たる我々のみがそれを記憶している。

多くの者がアンカーを失ったと考えられる。極めて遺憾だが、致命的な事態ではない。改めて述べよう:アンカーの喪失により、各隊員は残存する4つのドグマにより一層依存しなければならないが、それは決して生存する上で不十分なものではない。

なお、我々は極めて明確な戦争状態にあり、敗北が近づいていることもまた等しく明確である。SCP-3125がサイト-41に収容されていた事実は存在しなかった。収容チャンバーの内部は唯一3125が存在しない場所であり、それは感知されないままに侵襲に対抗する計画を組み立てる為の場所であった。我々はそのような計画が存在したのかを知らず、存在したとしてもそれを回収する手段を持ち合わせていない。

我々が侵襲の直接的な対象となるのが何時になるかは定かでないが、近年の状況の進展により、能力的に可能であることが判明している。機動部隊ω-0全隊員は高い警戒状態で活動し、自身の防衛に備えなければならない。

失踪以前のバート・ヒューズ博士が本脅威を認識していたことは明らかであり、我々よりも遥か以前にその知識を得ていたと考えられる。これが予測された事態であるならば、ヒューズ博士は戦争を勝利に導く計画を持っている可能性がある。

クイック上におけるヒューズ博士の所在は不明であり、また彼は我々の一員でも無い。彼の生死に関わらず、発見は急務である。

記憶せよ:我等は守護する聖者なり、
— アモス・サンチェス、機動部隊ω-0作戦監督

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