インシデントI.J77.82
評価: +4+x

インシデントI.J77.82

関連SCP: SCP-253

序文: ██/██/████、財団はエボラ感染を口実に病院全てを隔離する重大事件に気付きました。病院で異常な電磁気現象が報告されたため、報告は非公式チャンネルを通じて財団に送られました。他組織が関わっている可能性を考慮し、財団は状況を調査するために█████████████████████████を送りました。1800時、機動部隊の侵入部隊は██████████████病院に侵入しました。

サイト調査概要: 病院の外観検査で異常は示されませんでした。試しに望遠鏡で窓を覗くと病院のホールに起源不明の人型が動いているのが見えました。

電磁スペクトル検査によって病院がEMエネルギーを放っていることが示されました。信号を分析すると29.2から45.1秒の間続くエネルギー・パルスが示されました。このパルスの後、2.3から11.2秒の間放射が停止します。パルスのエネルギーは主に3つの帯域に集中していました ― 82%はSHFラジオ周波数帯、11%はELFラジオ周波数帯、7%は1.2THzを中心とした帯域にありました。SHFパルスは初めはサイト調査部隊の衛生リンクに干渉しましたが、回避方法は素早く実装されました。

IRスペクトルは建物内の温度がおよそ摂氏40℃(華氏100℃)で、温度に一致した放射線スパイク波を示しました。

振動調査は確定的でないことが判明しました。


音声記録:

記録開始██/██/████@18:02:03
A57:建物の電力が切れている、よな。
A34:おっと確かめよう。建物は送電網から物理的に切り離されているようだ。
A57:なんで明かりがまだ点いているんだ?
G01:我々は推測するためにここに来たんじゃない ― この現象の原因を見つけ出し、外へ出ることが目的だ。
A29:ああ、それにしてもここは暑い。
G01:インテリ共は予測していたがな。我々の活動は疲労、過熱による脱水を防止するために制限されている。
A12:みんな感じるか? 床が何かおかしい……。
G01:どういう事だ?
A12:調査許可を願います。
G01:A57、A34、周辺部を調査し、異常がないか確認しろ。
(中止)
A34:異常なし。
A57:異常なし。
G01:調査を許可する。
A12:移動中に数種類の振動があるようだ。
(123秒間会話なし)
A12:んー……断続的だ。30から40秒振動が続いた後に5から10秒振動が止みます。
G01:了解した。我々は建物内のより深部へと向かっている。

付録: 電力が喪失する前、調査により建物が実際には送電網に電力を送っていることが示されました。

建物内で大勢の人影が動いているのが確認されているにもかかわらず、サイト外部の振動センサーは少しの振動も検知しませんでした。

記録開始██/██/████@18:12:42
A29:10時の方向に接触者を確認!
A48:俺もだ!
G01:敵意は見られないな……観察しよう。
A29:なんてこった。奴らの顔はどうなってんだ?
G01:外に出る時にサンプルを採取しよう。今は1階の調査を終了し、2階へと進もう。A12、ログは?
A12:接触者の検査。対象は人のように見え、いくつかの……全てが成長したように見えます。接触者は1箇所に残っているが、前後に揺れています。彼らの目は吹き出物で覆われているため強膜だけ確認できます。
G01:A34はどうだ?
A34:部屋は空で、乱雑しているように見えます。いくつかのベットは……茶色い流体で覆われています。この流体は床にも確認されます。
A12:ほとんどの……接触者上部にある電灯は他より明るく見えます。

付録: 調査サイトの破壊と殺菌の要請があったため"茶色い流体"のサンプルは採取できませんでした。

記録開始██/██/████@18:16:42
G01:我々は階段を登り2階へと続く扉を開こうとしている。A34?
(深い打音がログから聞こえる)
A34:廊下に照明はありません。ほとんど真っ暗です。懐中電灯を点けます。ああ、嘘だろ。
G01:何を見た?
A34:奴ら……そこら中に居やがる。廊下は奴らだらけだ。奴らは……音を鳴らしているようだ。
(深い、うつろな呻きがログから聞こえ、音は大きくなっている)
(ここから先、ログに幾らかの歪みが聞こえる)
G01:……-い却。た-……
A34:奴らちかづ……
G01:も……れ……退却するんだ!
A34:ク……が。
(背景音は歪み続ける)
G01:もう一度言うんだA34。電波障害で聞き取れなかった。
A34:奴ら俺に触れやがった。
G01:受付に戻り再編成しよう、A34。君を任務から降ろす。
A34:了解しました。再編成のた-
不明:[判別不能]
G01:もう一度言ってくれ? 聞けなかった。
不明:[判別不能]
G01:A34?A34、応答するんだ!
G01:部隊! 手信号で役割宣言しろ。
A12:A12戦闘。
A29:A29戦闘。
A48:A48戦闘。
A57:A57戦闘。
G01:G01戦闘。
(中止)
G01:了解。A34は戦死。我々は受付まで戻る。

記録開始██/██/████@18:20:27
A29:なんだ?
G01:A29、何かあった場合はログに説明しろ!
A12:受付の前に茶色い流体で覆われています。言葉が綴られています。"先祖より"いくつかのシンボルが同様に存在しており、知性の徴候を示しています。A48が撮影しています。
A57:6へ! 奴らが来ます!
G01:防御態勢をとれ!ドアに向かうことは可能か?
A57:複数の接触者がその方向にいます。我々に接近しているようには見えませんが、揺れるように動いています。
G01:そこから退却しよう。A12? 問題か、A12?
A12: (静寂) 奴ら顔に何かしています。
G01:何を言っているんだ……そんな。A48、あれを撮影しろ。
A48:メスを使っています。待ってください、あれは歯のネックレスか?
A29:クソが、クソ、クソッタレが。
(銃声)
G01:射撃を止めろ! ペルチャンド、射撃を止めるんだ! エリック! メモ: エリック・ペルチャンドはA12です。
(ログの歪みが強くなる)
A12:すまない。本当に申し訳ない。
G01:[判別不能]
A34:[判別不能]
A57:[判別不能]
A12:これを見つけたら公表してくれることを望むよ。
(すぐに大きな爆発音がし、その後ログは途切れる)
A29:自分を撃ったのか!?
G01:問題ない。奴らは近くまで来ている。外に出るぞ。武器をしまえ。
A57:了解しました!
(37秒静寂)
不明:先史時代、生命の本質は暗闇に存在していた。子孫たちはそれに背を向けた。今、全てが本質へと戻ろうとしている。

付録: これ以降のログのサルベージは出来ませんでした。A29、A57、G01は病院から脱出しました。感染者が数人建物から逃げ出そうとしているのが確認されたため、殺菌プロトコルが数分後に実行されました。

侵入部隊の生き残った3人は隔離され、彼らからSCP-253のサンプルが採取されました。処置は施しましたが、誰も5日以上生き残ることは出来ませんでした。

A48は退却中に見失い、残念なことに彼のカメラは回収出来ませんでした。予備無線プロトコルが使用されていましたが、病院の歪曲効果によりインシデントI.J77.82で集めた多くの写真が断片的になりました。

A48とA34の死体を発見したが、ひどく焼けていました。A12と身元確認ができる死体は回収されませんでした。他の人間の死体も発見されたが、SCP-253の痕跡は見つかりませんでした。殺菌サイトはSCP-253の痕跡を完全に消し去ったと判断し、財団管理になった6ヶ月後に事案報告書が公開されました。


インシデントI.J77.82 終

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。