注意! 要注意団体のニセモノが出回っています!
悪役ヴィランはブランドあってこそ輝く。
SCP財団は、近年急増している要注意団体のコピー団体の根絶を行う。
審議のための面接は████/██/██、エージェント・カナヘビのオフィスで行われる。面接の日付は、特定の存在のみが迂回できるミーム封印で保護されている。日付が見えている者は、是非とも面接に参加するべきである。すっぽかした場合、今後の意思疎通は行われない。
飲み物は有料 (¥200) なので小銭を用意しておくように。
職員: カナヘビさん、私は今回の業務に参加するのは初めてなのですが、一体どのようなことをすれば?
カナヘビ: 簡単や。要注意団体のパチモンが紛れ込んでるんでそいつを見つければええだけや。例えばそこの。キミらは何と言うんや。
東幣重工: はっ。私は東幣重工と申します。
鬼集院: 私は鬼集院です。
カナヘビ: こいつらは偽物や。正しくは東弊重工と蒐集院。こういう不届きモンをつまみだしていけばええんや。
職員: なるほど!偽物をつまみ出す‥‥と。
特務課: そうしたら警視庁公安部特務課所属の本官が逮捕するであります!
職員: わかりました!本官が逮捕する‥‥と。
カナヘビ: いやいや、こいつも偽物や。手帳にメモとらんでええ。
職員: えっ
カナヘビ: 何どさくさに紛れとんねん。こいつも排除よろしく。
職員: えっあっはい
特務課: ぬわー!本官は異常犯罪組織がいると聞いて来たのでありましてー!ぐわー!
カナヘビ: あんなコッテコテな奴が要注意団体でたまるかいな。悪役にも"格"ってもんが必要なんや。それがない奴は偽物っちゅうことやな。ま、こんな感じで選別やってくからよろしゅう。ほな、始めよか。
カナヘビ: ふーん、自分らは料理屋をやっとるんやね。
ウェイター: はい。「兄の食料品」という名前でやらせてもらっています。
カナヘビ: いちおう要注意団体やからな。人肉とか出すんやろ?
ウェイター: いえいえ、滅相もない。そんな怖いものお出ししませんよ。我々はお客様に特別な"アジ"を提供しています。
カナヘビ: ほう、どんなんや?
ウェイター: 一番人気は「フライのアジ」です。あとは「刺身のアジ」に「開きのアジ」。
カナヘビ: 普通の料理やがな。こいつら要注意団体とちゃうわ。
カナヘビ: 自分らは闇寿司に所属する"闇寿司四包丁"っちゅう話やけども‥‥ゆうに20人はおるのはどういうことなん?
肉包丁のストーン: 不思議に思うかもしれぬが‥‥、我々はみな四包丁だ。
十徳包丁のオールマ: 左様。我ら闇寿司四包丁。
カナヘビ: いやおかしいやろ。"四"包丁なんやから、"四"人やないと。つまりこんなかから4人除いた残りは偽の四包丁っちゅうことやろ?
十字包丁のブラッド: 愚かな‥‥。我々は皆闇親方に認められた正当な四包丁よ。
出汁包丁のウォーク: ふぇふぇふぇ‥‥その通り。
ベルルッティサイフのカタコーリ: パチモンだなんて心外ですわぁ。
隠し包丁のスニーク: まあ私以外消えてくれても構いませんがね。
煮包丁のフレーム: 何を言うんだスニーク!
銃剣のトゥモロウ: 一緒にスシ活してきた仲間だろ!?
ボブ: ソウダ ソウダ
広末孝之: 私は恋昏崎新聞社でデスクを務める──
カナヘビ: ああ偽物くんお疲れ。
広末孝之: な、何故私が偽物だと。
カナヘビ: あんなあ、恋昏崎新聞社はアンチ財団なんやで?財団の誘いを受けてノコノコ来るなんて悪役としちゃおかしいやないか。真似してる偽物でキマリや。つまみ出しとくれ。
広末孝之: ぐ、く、くそおおおおおおおおおおおああああああああああ!!!!!!!
職員: うわっ!この人漏らしましたよ!
カナヘビ: そういうとこは真似しなくてええのになあ。
ウサギ: こんにちは!僕たちはImachonanimal (イマッチョナニマル) だよ!
(ウサギはモスト・マスキュラーのポーズをとる。むきむきという音がなる)
コウモリ: 僕たちは人間さんたちにもっと筋肉のことを知ってほしくて出てきたんだ!
(コウモリはダブルバイセップスのポーズをとる。ぴきぴきという音がなる)
サイ: 早く君たちと筋肉で語り合いたいな!
(サイはアドミナブル・アンド・サイのポーズをとる。みしみしという音がなる)
カナヘビ: どう見てもパチモンなんやけど‥‥こいつらつまみ出せるんか?
職員: ちょっと難しいですね‥‥。
カナヘビ: 次は何てのが来るんや?
職員: えぇと、"ざくろくらぶ"と名乗っております。
カナヘビ: ああそれは聞いたことあるわ。京都の人肉喰らいどもやろ?本物やからスルーしてええで。
職員: 次は"まぼろしじまどうめい"だそうです。
カナヘビ: ああそれも聞いたことある。スルーで。
カナヘビ: で、君らはアニメキャラクターと結婚するための研究計画局っちゅう話やけども‥‥。
パムワカー: はい。略してPAMWACと呼ばれております。
カナヘビ: オタクの集まりやと聞いとったんやけども、何か‥‥イメージと違わへん?パリッとしたスーツでオシャレして。こう、チェックシャツに鉢巻眼鏡とかとちゃうん?
パムワカー: いえ、面接と書かれていたのでスーツで伺うのが好ましいかと。
カナヘビ: ま、まあそれはそうやねんけど、なんや掲示板で欲望丸出しで大暴れしてるようには見えへんけどなぁ。ヴィランというより一般人のような‥‥。
職員: カナヘビさん、この手の人達は現実では変な目で見られたくないからと周りの顔色を伺って大人しくしてる分、相手の顔の見えないネット上では好き勝手にあることないこと騒ぎ立てて発散しているんですよ。
パムワカー: 何かいま凄く失礼なこと言ってませんでした?
カナヘビ: 次。自己紹介してえな。
狐娘: あら。ほー‥‥‥‥。
カナヘビ: どしたん?自己紹介や。
狐娘: あ、すみません。私どもは遠野妖怪レストランと言います。"妖怪"と呼ばれるものたちを美味しく調理して提供しています。
カナヘビ: 妖怪を食うんか。なるほどそれは要注意っぽいな。今の季節だったらどんな妖怪がオススメなん?
狐娘: そうですね、旬の人魂のてんぷらや、小豆洗いのかき氷にぬっぺふほふの冷しソーメンなんかが良いでしょうか。
カナヘビ: それは涼し気やな。でも妖怪が妖怪食うなんてアリなんか?
狐娘: 人間を食べている方もいますし良いではありませんか。妖怪の貴方もきっと気に入りますよ。
カナヘビ: いやいや!ボクは妖怪ちゃうよ!?
狐娘: え、でも喋るカナヘビだなんてどうみても妖怪じゃないですか。
カナヘビ: ちゃうねん、ボクはただの喋るカナヘビなだけやで。この財団で長年エージェントとして働いて──まあ今はサイト管理官やけど──とにかく妖怪やないんや。
狐娘: いや、でも、こんなに美味しそうなのに妖怪じゃないなんてことは。そのまま炙り焼きにしてもよさそうだし、軽く下茹でしてからマリネにしても、いや寿司にするのもいいかもなぁ。
カナヘビ: こわいこわいコイツ何とかして!
カナヘビ: ほな次。
"博士": やぁ!ワタシは──
カナヘビ: おっ。君は知っとるで。
"博士": そうだろう、"博士"は有名人だからね!
カナヘビ: ワンタメ博士の偽物やろ?排除しといて。
"博士": だろうと思ったよ!バーカ死ね!
カナヘビ: 次はパチモンがいっぱいいるから見分けてほしいというハナシやったが‥‥。
候補A: PEJOEPATです。
候補B: PEJEPATOです。
候補C: PEAJOPATです。
候補D: PEJOAPETです。
カナヘビ: なんやわからんで!
職員: カナヘビさん、情報が入りました。PE何とかは旧名で、今は別の名前になっているそうです!
カナヘビ: ほなこれまでのは全部パチモンや!よっしゃ次いこ。
候補E: JAGPATです。
候補F: JAGUPATOです。
候補G: JAPGATOです。
候補H: JAGAPOTATOです。
カナヘビ: もういやや‥‥。
揖斐哲雄: 我々は日本生類創研、略称ではJOICLEという研究団体です。
カナヘビ: また横文字かいな。かんべんしてぇな。その横文字はなんの略なんや。
揖斐哲雄: Japan Organisms Improvement and Creation Laboratoryの略です。
カナヘビ: Eがないやん。これもう確定やろ。
揖斐哲雄: え?あるじゃないですか。Japan Organisms Improvement and Creation Laboratoryですよ?
カナヘビ: いやLのあとにはもうEないやろ何言うてんねん。
揖斐哲雄: よく見て下さいよ。ちゃんとEが0個あるじゃないですか。
カナヘビ: 何やコイツ。コワ~。
キサラギ☆工務店: やっほー☆みんな見ってるー?
カナヘビ: な、なんやいったい。
ファン1: ご存知ないと!?鬼カワアイドルのキサラギ☆工務店ちゃんですよ!?
ファン2: キサラギちゃんは準での下積みが長かったんだけど、今じゃ立派なアイドルなんだぞぉ!
キサラギ☆工務店: それじゃあ早速一曲目!『ミレニアムをもう一度』。行っくよー☆
ファン3: うおおおお鬼曲!
ファン4: キャー材料ニシテー
職員: えーとどうしましょうか、まとめて退出させます?
カナヘビ: なんや面白そうやからもうちょっと見てからにしよか。何かの参考になるかもしれんし‥‥。
夢美テクノロジー: 我々夢美テクノロジーはですね、皆さまの夢を叶える、ということを目的に活動しておりまして──
イワナカ美容組合: ちょっと待って下さい。夢ということでしたら私どもも黙ってはおりません。乙女にロマンスな夢を。イワナカ美容組合でございます。
超電救助隊HELLO: それなら僕たちだって、子供の夢を守るために活動しているのさ!HEROとしてね!
AKB商事: うちも男の夢を叶えることには定評があります。
イワナカ美容組合: いっしょにしないで下さるかしら!?
職員: ふーん、結構夢に関わる要注意団体多いんですね。
カナヘビ: まあ夢というてもこの場合欲求や願望、目的なんかと同義やからな。つまり、魅力的な悪役にはそう言った夢を見ることが必要不可欠かもしれへんな。
職員: うーむなるほど。でも一番の問題はアレですね。
カナヘビ: せやな。
職員: なんで皆ニセモノなのにこんな真面目に宣伝してるんですかね。
カナヘビ: なぁ。どうせもう出番もないのになぁ。
カナヘビ: うむむむ‥‥。
職員: どうしたんですかカナヘビさん!こんなのどう見ても要注意団体じゃないじゃないですか!悪役っぽさの欠片もない!
カナヘビ: いや、そうとも言い切れんのや‥‥。
職員: いやどっからどう見てもただのかわいい男の子ですよ!?これが犀賀派だっていうんですか?
カナヘビ: どんな奴でも平行世界の犀賀六巳である可能性があるからな‥‥。
職員: そもそも犀賀派って犀賀六巳とその信奉者の集団ですよね?平行世界の犀賀六巳は関係ないんじゃないですか。
カナヘビ: ちょっと待ちぃ、それはややこしくなるからこの記事では触れるのやめとこ。
職員: そうだ、平行世界の犀賀六巳なら名前に「サイガ」が入っているんじゃなかったでしたっけ。君、名前は何て言うの?
男の子: いしばし つぐたか、4さい!
職員: ほら!全然サイガなんて入ってないですよ!
カナヘビ: いや、「iShibAshI tsuGutAka」でSAIGAや。これはもう間違いなく犀賀派や。
職員: ええ‥‥
イルマ外教: くそっまさかバレるとは‥‥。
カナヘビ: なり済まそうったってそうはいかへんで。キミ、連れていってな。
職員: はい。
イルマ外教: ぐぐぐぐ‥‥。
カナヘビ: さて次‥‥おや、キミたちは本物やね。呼んでしもうてすまんかったな。
ライフラフト: え、わかるんですか。
カナヘビ: 当たり前やん!ちょっとご無沙汰な子もいるけど、しっかり正GoIやろ。
無尽月導衆: でも、拙者たちに比べたらエルマくんは偽物ができるほど人気があって。彼、同期なんですよ。
カナヘビ: いやいや、そんな卑屈にならんといて。君たちもちゃんとしたうちらの仲間やん、大丈夫やって!これからいくらでも活躍の機会はある!
無尽月導衆: かたじけない。
神枷一族: そうだな‥‥よーし頑張るぞ!
カナヘビ: あれ、君は日奉一族のパチモンじゃないん?
神枷一族: ちょっと~、違いますよ!
一同: ワッハッハッハ‥‥
職員: 次の団体ですが、直接来れないとのことで手紙を預かっております。
カナヘビ: なるほど。ほな、手紙拝見しようか。
(職員は手帳に挟んだ手紙を開いてカナヘビに渡す)
カナヘビ: ぐちゃぐちゃで何書いとるかわからへん。酔っ払いが書いたんかコレ?
職員: すみません野暮用で、今戻りました──
????: もういい!お前とは金輪際会わん!じゃあな!
職員: あれ、もう終わったんですか。何か手紙みたいのを投げつけられてたみたいですけど。
カナヘビ: そうなんや。どう見てもパチモンやから問い詰めよう思うたらいきなり別れを言い出されてなぁ。
職員: なんて団体なんですか?陰陽師みたいな恰好をしてましたが。
カナヘビ: なんでも三行半結社いうらしいわ。
カナヘビ: これは何と読むんや。
賭雄屠: 「酉栖眼戯主斗守とりすめぎすとす・虎巣零死肆とらんすれいしょん&虎巣亡綴死肆とらんすぽうていしょん」だ。僕は団長の賭雄屠とおと。
経雌須: 副長の経雌須へるめすです。夜露死苦。
賭雄屠: ここら辺のシマを仕切らせてもらってるよ。
カナヘビ: こいつらはニセモンやな。夜露死苦ぅとか言うやつ知らへんもん。
経雌須: いいえ、カナヘビの社長、有名な奴がいるではないですか。財団にいるなら当然ご存知ではないかと。
カナヘビ: いやいや知らへんよ。そんなんどこにおるんや。
賭雄屠: ああ、後ろに。
カナヘビ: 冗談やめてぇな。(振り返る) えっ、なんやこの白い塊は
特攻服を羽織った何か: 押忍 ねこです夜露死苦おねがいします
カナヘビ: 出てけ!
カナヘビ: やれやれ‥‥これでしまいか。まったく骨が折れたな。
職員: いえ、まだ一つ偽物が残っています。
カナヘビ: あれおかしいな、確かさっきのが最後だったはずやけど。一体なんや?
職員: あなたですよ。
カナヘビ: はぁ?何を言うてはるの。ボクはボクやで。
職員: 本当にそうですか?おかしいと思いませんか?喋るカナヘビが財団職員など。
カナヘビ: べ、別におかしくないやろ。犬の職員とかもいてはるし。
職員: あなたはその偽りの姿で財団に長く居過ぎた。思い出してください本当のあなたを。忘れたとは言わせませんよ。
カナヘビ: そ、その手帳の赤黒の丸と二重線、まさかアンタは負号──
職員: そうだ、あなたがそんな小さな小さな姿になる前に利用していた者たちだ。俺達を踏み台にしたくせにのほほんと財団の玉座に腰かけて。
カナヘビ: ボ、ボクは──
職員: 何が偽物だ。何が"格"だ。悪役を好きにキャスティングして、自分が善人にでもなったつもりか?いったいいつまでその偽りの姿で良い人ごっこをしてるんだ。悪が欲しいなら適任がいるだろう?
カナヘビ: ‥‥‥‥。
職員: あなたこそ悪役であるべきなんだ。
カナヘビ: ……はっ。
職員: おはようございます。少しうなされていましたよ。
カナヘビ: おお、なんや変な夢見とったわ。要注意団体の選別だとか……そんなんできるなら全部クビにしたるわ。
職員: カナヘビさんも夢とか見るんですね。
カナヘビ: せやろ、ボクはロマンチストやねん。
職員: じゃあ今日もロマンあふれる財団の仕事をお願いしますね。
カナヘビ: ほいほいと。さて今日は……増えすぎた財団内部部門の仕分けやね。最近なんや増えてるもんなぁ。ほな最初は……財団内部部門部門の方入っといで。