時絡の提言
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酩酊区画

DA-061内部


特別収容プロトコル: SCP-001-JPは規模の極大さおよびその特性により、現在まで効果的な収容または一定範囲内に制御する方法はありません。酩酊区画が小規模である場合に限り、カバーストーリー”大災害”を流布し付近への立ち入りを禁止してください。

酩酊区画内への探索を行う場合、人員はアルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子が正常型ホモ接合体である人間に限定し、適切な装備が支給された小隊が結成されます。探索途中に離脱した隊員はKIAとみなし回収はされません。また酩酊区画内に存在する実体との接触は極力回避されます。

SCP-001-JPはGoI-008(“酩酊街”)と強い関連性があるとして、酩酊街関連オブジェクトを使用したSCP-001-JPおよび酩酊街に関する調査が認可されています。複数のオブジェクトとGoIに関する情報の含有および情報漏洩による計画妨害の危惧のため、Lv5クリアランスを有する職員および指名された職員のみが本報告書全体へのアクセスを行えます。各オブジェクトに対する関連情報を閲覧するためには、オブジェクト担当者の許可を得て対応する対抗ミームを摂取してください。

(追記) SCP-001-JPのNeutralizedへの再分類が検討されています。新たなSCP-001-JPの発生がないか、観測は継続されます。

説明: SCP-001-JPは世界全土において発生する空間異常です。SCP-001-JPが発生した空間(以下、酩酊区画、あるいはDA1)は常に夜間に固定され、大気からは燃焼範囲にある高濃度のエタノールが検出されます。内部では一切の通信・GPS信号が遮断されます。また、酩酊区画内ではSCP-001-JP発生以前には存在しなかった道が出現しており、GoI-008(“酩酊街”)の存在する異空間へ続いていることが確認されています。

酩酊街は当初SCP-823-JPを初めとした複数のアノマリーから発見される手紙によってその存在が示唆され、それらアノマリーの起源としてGoI-008に指定されました。その後SCP-743-JPの発見により、"酩酊街"と呼ばれる大規模居住区を有する異空間が存在することが判明しました。"酩酊街"と我々の存在する次元を繋ぐポータルや双方通行性中間空間はいくつか発見されていますが、酩酊街からの敵対行動がみられなかったため財団は原則的に不干渉体制を維持していました。そのためSCP-001-JP発生以前の財団が有する酩酊街に関する情報はごく僅かなものでした。

酩酊区画に存在あるいは侵入した人間は健忘症や無気力、運動機能や判断力の低下を覚え、回避行動や現実逃避を好んで行うようになります。時間経過とともに症状は悪化しそのためこれまで有効な装備なしに酩酊区画に侵入した人間の帰還率は1割を下回っています。また、酩酊区画内に存在する人間および物体は外部にいる人間に対し微弱な反ミーム性を帯び、滞在時間が増すほどその反ミーム性は増加します。このため酩酊区画内で喪失した物品および人員の回収や把握が困難となっています。酩酊区画から離脱した場合この反ミーム性は失われます。

酩酊区画内には複数の異常物体や異常存在の実在が確認されています。これまで収容されている酩酊街関連オブジェクトに類似した存在のほか、現存していない書物2や生物3などが発見されています。また発見された異常存在にはいわゆる妖怪や魔物、付喪神などといった呼称をされる存在に類似している例も多く報告されています。SCP-001-JP発生当初、酩酊区画内で多くのアノマリーが確保されましたが、それぞれの研究および特別収容プロトコルの制定がSCP-001-JPの研究を遅らせることとなったため、酩酊区画からの回収は特にSCP-001-JPおよび酩酊街に関与すると考えられる物体のみに制限されました。これまで回収されたアノマリーの一覧は別紙に記載されています。

酩酊区画は生成時からその範囲を拡大します。SCP-001-JP発生時の面積はおおむね40,000m2程度ですが、現在確認されている中で最も拡大した酩酊区画は1,200,000 km2に及びます。これまで確認され酩酊区画に指定されたエリアのリストを以下に示します。

酩酊区画図示

酩酊区画を図示した一例。

酩酊区画の消去や拡大の抑制方法は発見されておらず、現在のSCP-001-JPの発生頻度や酩酊区画の拡大速度を考慮するに10日以内のXK-クラス世界終焉シナリオの発生が想定されます。オブジェクトは財団の最優先対処事案としてSCP-001-JPに指定され、酩酊区画内の調査やそれに要する装備の開発のためにあらゆるパラテクノロジーの利用が認可されます。

補遺001-JP.1: 酩酊区画における現実強度

全国現実性強度観測網"Kant-NETs"のアーカイブより、日本国内におけるSCP-001-JP発生点はクラスF以上の現実性希薄領域であったことが判明し、日本国外での発生点でも同様の傾向が見られています。また、SCP-001-JP発生後では酩酊区画全域でクラスF現実性希薄領域となっていることが確認されています。そのためSCP-001-JPは現実改変による発生が有力視されていますが、クラスF現実性希薄領域の強度では集団現実改変事象を起こすためには500以上の表層意識群が一致しなければならず、現実改変能を持つオブジェクトもしくは現実改変者の介入が推測されています。


補遺001-JP.2: 酩酊街に関する情報収集

セキュリティコード495
ミームセキュリティ:歩みし道のり




補遺001-JP.3: SCP-001-JP発生元に関する考察

サイト-81BDでモニタリングを行っていた複数の睡眠中の被験者から同一の異常な脳波を検出したと同時に、サイト内に設置されていた改良型高分解能カント計数機が急激なヒューム値の極小化を記録しました。その直後SCP-001-JPが発生し、サイト-81BD全体が酩酊区画となりました。異常な脳波を検出した被験者は自身の生活に対して強いストレスや疲労を訴えており、また、検出時同様の夢を見ていたことが考えられます。

この事例を受け他酩酊区画内での現実改変痕跡を調査したところ、解析可能な全ての酩酊区画でSCP-001-JP発生時刻に現実性希薄領域の瞬間的なヒューム極小化が発生したことが明らかになりました。この極小化したヒューム値では数人程度の表層意識が合致することで集団現実改変事象が可能とみられています。よって区画内に存在した複数人の夢を同一に操作された結果、集団現実改変事象が発生したのではないかと推測されています。またヒューム値の変化および精神影響を起こすための現実改変痕が微弱ながら残存しており、得られた固有ヒューム変動パターン5から改変の原因を調査中です。


補遺001-JP.4: 酩酊街に関する情報収集2

セキュリティコード1922
ミームセキュリティ:隣墓に留まる夢




補遺001-JP.5: SCP-001-JP発生元に関する考察2

蒐集院所属を名乗る人物から匿名での通報があり、PoI-8108(“日奉柊”)に関する文書および資料が送付されました。PoI-8108(“日奉柊”)は"酩酊街"内に存在する酒場の女店主と同一であると考えられ、資料によると"酩酊街"の管理人である可能性が高いとみられます。文書に付属していた資料にはPoI-8108のものとみられる過去の超常現象記録が記されていました。記録に残されていた地点では現実改変痕が発見され、先述の酩酊区画での固有ヒューム変動パターンと一致が認められたため、SCP-001-JPはPoI-8108によるものと判断されました。


補遺001-JP.6: 日奉柊に関する情報収集

セキュリティコード975
ミームセキュリティ:過ぎ去りし一瞬




補遺001-JP.7: プロジェクト "Murder The Snow Queen"

SCP-001-JP発生元であるPoI-8108が"酩酊街"内にいることが有力となったため、"酩酊街"侵攻を行う以下のプロジェクトが計画・実行されました。


プロジェクト
"Murder The Snow Queen"

LEVEL 5/001-JP CLASSIFIED

凍結中

概要: 本プロジェクトはSCP-001-JPの抹消を目的としています。対酩酊街用試製記憶補強剤および対抗ミームを摂取した機動部隊ち-0(“白馬の王子”)により、酩酊区画に侵入、地区“雪の酒場街”へと侵攻し、SCP-001-JPおよびGoI-008(“酩酊街”)の根源であるとされるPoI-8108(“日奉柊”)の確保を行います。確保が困難であるとされた場合、部隊長判断によりPoI-8108の抹殺を行うことが許可されます。


作戦計画詳細 - 別紙参照





補遺001-JP.8: Bakkhosクラス分類

プロジェクト"Murder The Snow Queen"における"酩酊街"への侵攻および酩酊区画内での調査から、これらの領域において我々の世界から消滅あるいは死亡し忘却された存在が現存していることが確かとなりました。

このため遺失した物体や死者の回収が可能であるとして、"酩酊街"をThaumielクラスオブジェクトとして利用するプロジェクトが進行しています。"酩酊街"に存在する死者の総数は明らかとなっていませんが、SCP-001-JPに伴い"酩酊街"が消失した場合現存する死者および今後死亡する人間の行方が不明となるため、ΩK-クラスなどを含む様々なK-クラスシナリオの発生が想定されています。

SCP-001-JPの発生を抑制できず範囲が全世界にまで拡大した場合、生者と死者が同世界に存在することとなり死という概念の変化が予期されます。その性質のためSCP-001-JPは分類委員会によって確立されたBakkhosクラス6に分類されました。


補遺001-JP.9: 日奉柊に関する情報収集2

セキュリティコード1681
ミームセキュリティ:ドードーは見つめていた




補遺001-JP.10: プロジェクト "Befriend The Sleeping Beauty"

日奉柊が眠りについている場所を特定するため酩酊区画の範囲を分析していた結果、日本の長野県に周囲を酩酊区画に囲まれ孤立しているスポットが発見されました。このスポット内を調査したところ、地形にPoI-8108の固有ヒューム変動パターンを有する現実改変痕が残存していました。地面の掘削を行った結果地中に空洞が見出され、内部でPoI-8108が発見されました。PoI-8108は青と白の和服を着てコールドスリープ状態にあり、現実改変により10歳程度の容姿と体機能を保持していました。SCP-001-JPのさらなる影響拡大の停止のため、以下のプロジェクトが計画されました。


プロジェクト
"Befriend The Sleeping Beauty"

LEVEL 5/001-JP CLASSIFIED

達成

概要: 本プロジェクトはSCP-001-JPの抹消を目的としています。SCP-001-JPおよびGoI-008(“酩酊街”)の根源であるとされるPoI-8108(“日奉柊”)を現実改変によるコールドスリープから覚醒させます。覚醒後のPoI-8108は確保され、酩酊街の制御を目標に収容が行われます。PoI-8108の抵抗が見られ、かつSCP-001-JPによるK-クラスシナリオの発生が避けられない場合部隊長判断によりPoI-8108の抹殺を行うことが許可されますが、酩酊街消失による影響が不明であるため極力回避が推奨されます。


作戦計画詳細 - 別紙参照





補遺001-JP.11: 酩酊街の終焉

PoI-8108の死亡確認後、酩酊区画の境界が喪失し、現実性の希薄や夜間の固定が解消されました。同時に現実改変による影響が無くなったことで空気中のエタノールを原因とした爆発や火災が発生し、大半の酩酊区画だった地域は焦土と化しました。陸地の焼失総面積は地球の陸地の10%に達しています。酩酊区画の多くが居住地域であったことから、世界各地のインフラは致命的なダメージを負っています。元酩酊区画内にはSCP-001-JP発生後行方不明となっていた人間が発見され、爆発から生存した人の保護が行われています。生存者はアルコール血中濃度が昏睡期に達する値を示しており、医療処置がとられています。

SCP-495-JP、SCP-743-JP、SCP-1922-JPなど酩酊街へのポータルとなりうるオブジェクトの無力化が確認されました。酩酊街の管理者であったPoI-8108が死亡したことで酩酊街が消滅したためと考えられています。酩酊街に存在していたとされる異常存在の流出は確認されておらず、また、迷い込んだ人間の行方は明らかになっていません。

酩酊区画の消滅および発生元であるPoI-8108の死亡から、SCP-001-JPのオブジェクトクラスをNeutralizedへ変更する申請が提出されました。


補遺001-JP.12: 現実世界

意識を取り戻した生存者たちが自殺を図っています。このため生存者には記憶処理が施されていますが、対象者が膨大なため記憶処理剤の供給が間に合わず、昏睡状態を保持する対策が取られています。また、全世界で自殺者数や精神疾患患者数が増加しているという統計データも報告されており、SCP-001-JPおよびGoI-008(“酩酊街”)の無力化と関連しているか調査が行われています。SCP-001-JPのオブジェクトクラス変更は審議中です。


補遺001-JP.13: 最後の手紙

セキュリティコード823
ミームセキュリティ:酩酊街より




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