結城博士の日常
「三島君、ちょっと買い物行ってきてくれないかな」
言いながら、結城は助手の三島へメモを渡した。
「僕が了解するのは確定なんですかね」
まあ行きますけど、と三島はメモを受け取る。
「なんです、これ」
「三島君て下着付けない派だったっけ」
「いや付けますよ。そうじゃ無くて、え、下着ですか? 僕が下着買いに行くんですか?」
「行ってくれるんでしょう?」
「いや、だって、男が女性用下着を単独で買いに行くのはちょっとハードル高いでしょう?」
「さすが三島君だよね。高いハードルを軽々とくぐり抜ける!」
「それ褒めてるのかな。だいたい、なんで下着なんですか。実験で使うんですか?」
「泊まり込みだったから、替えの下着がもう無くなっちゃったんだよね」
「洗濯して下さい」
「洗濯するのに替えの下着が必要なんだよ三島君」
「ああ、はい、そうですか。しかし僕が行くよりも、女性研究員に頼むとかの方がいいのではと思いますよ」
「女性研究員は小間使いじゃないんだよ?」
「僕も小間使いじゃないですよ博士」
「助手だからね。しかたないよね」
「どんな超理論ですか」
「そんなにいやかなあ」
「イヤですよ! これ喜んだら相当変態ですよ」
「三島君、変態さんじゃない」
「いや、いやそれは、否定しませんけど」
「ご褒美あげるから」
「マジですか」
「大マジだよ。なにがいい?」
「それはアレですか。その、アレです」
「ああ、うん。アレもアレです」
「YES!!!!!」
「どんなのがいいのかな?」
「そうだなぁ~ あ」
「え?」
「これアレだ。録音されてるパターンだ。あとで職員向け掲示板に晒されるパターンだ」
「勘がいいね」
「三回目ですからね。さすがに学習しますよ」
「でもご褒美は本当だからね?」
「その言葉を待っていた。それでは行ってきます!!」
足早に研究室から出る三島。
机の上に残される、買って欲しいものメモ。
「これはご褒美抜きかなー」
ページリビジョン: 3, 最終更新: 10 Jan 2021 15:57