首都圏特異集合事件から30年 怪異の今
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色褪せぬ市街劇事件 未だ怪異の分裂は続く 恋昏崎新聞社

 首都圏特異集合事件から30年が経過した。市街劇事件とも呼ばれるこの事件は、国外勢力を含む直近50年以前に出現した旧時代怪異が人間と手を組み引き起こしたもので、2017年現在の旧時代怪異たちの処遇を大きく決定付けることとなった。怪異を取り巻く現代の諸問題をまとめた。


広末
広末本体

 市街劇事件という少々愉快な呼び名は、この事件の突発性と犯行グループの行動に由来します。白昼の都市は突然暗幕めいた黒い霧に包まれ、道路上にはアクターが並びました。円寧らが使用した呪詛とは脈絡のない乱文のような、所謂"言霊"です。それを放ちながら舞い踊って怪異を支援していたと、記憶処理から逃れた超常社会市民の証言が残っています。流行り言葉でいうフラッシュモブに近いこの奇行が、市街劇の俗称を受けるきっかけとなりました。

 奇しくも、犯行グループも劇場関係者で、怪異すらも落語脚本に因縁があります。首謀者と推測されている"累"は「累ヶ淵」に登場する醜女の怨霊ですが、「累ヶ淵」は明治初期に「真景累ヶ淵」として落語に書き直されています。この段階で原型は取り払われているため、現在の"累"が「累ヶ淵」と同一の人格かはわかりません。ヒューム凝縮実体説を事実とするなら、"累"はその影響を受けた最も顕著な例と思われます。

 昭和の終わりに起こった首都圏特異集合事件は歴史の転換点と言えます。前時代的な妖怪と呪術師の集団が超常科学に打ち負けた瞬間でした。戦後、兵器利用されていた怪異は過激派組織から攻撃を受けるようになり、そこに重なったのが忘却現象です。ある者は遠野に、ある者は四国に、ある者は人に化けて東京の夜闇に隠れ潜み、戦前のような怪異が隣に座っている環境は消え失せました。そして起死回生の一手も、人間には届きませんでした。この状況が続けば、旧時代怪異は消滅の一途を辿るでしょう。これを人類の進歩と捉えるか、その進歩の弊害と捉えるか。皮肉にも、怪異の動向は怪異ではなく、人間に委ねられています。【広末 孝行】


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