KTE-1505-Corona
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1505

財団の施設に降下するKTE-1505-Corona

脅威ID: KTE-1505-Corona "スター・アステロイド"

認可レスポンスレベル: 1 3

概要: KTE-1505-Corona (以後、"対象"と称する)とは、棘皮動物の海星目と類似した生体的特徴をもつ生物である。総数は約4200体程度で、上空350km付近の低軌道上に浮遊している。定期的に太平洋に建設された財団の施設に緑色の光を帯びて降下する。個体は最大で全長80cmのものが確認されている。

交戦規定: 財団との協定によって交戦は禁止されている。協定には各種の隠蔽は財団によって保証されることも明記された。対象はデブリ群として偽装されているため、破壊すると混乱が発生するだろう。

附則1: 2023/7/7に対象は一個体の周囲に集まり始めた。その個体は全長5mであり、確認された個体の中でも最大のサイズである。財団は集合体(KTE-1505-Corona-massと認定。以後、"mass"と称する)の落下への対策として演算プログラムを用いた空中確保を予定している。

附則2: 2023/10/3にmassは突如崩壊した。当時massには全個体の内の約半数が集合していた。対象は太平洋沖に落下し、GOCと財団の共同で全て回収された。しかし、massの中心に存在していた最大の大きさの個体は確認されなかった。

その後、対象の死体を検査したところ、全ての個体の体細胞が欠損していることや魔術的な痕跡があることが分かった。状況証拠から、周囲に集まった個体群は中心個体へ向かってアスペクト放射を行い、中心個体はテレポートし他の個体はバックラッシュによって死亡したと推測されている。

中心個体に取り付けられていた装置がケンタウルスα星系に存在する惑星(以後、S17α星)の軌道上で位置情報を発信していることが確認された。以降、対象はGOC星間部門が取り扱うこととなった。

PSYCHE部門の記録

以下は無人探索機オグン1によるS17α星への探査記録である。これは概要をまとめたものであるため、詳細な情報については附属資料を参照せよ。

2025/11/3 12:00 国際統一奇跡論研究センター、ロンドン本部で起動。

2025/11/6 03:50 多数のテレポーテションを繰り返しS17α星より約4000km地点に到着。

2025/11/6 05:52 周回軌道上を約2時間かけて公転しながら惑星表面を撮影。赤道上のある地点(KTE-1505-Corona-pointと認定。以後、"point"と称する)で対象が集合しているのを確認。対象を観察し続けるために同期軌道上に移動。

2025/11/6 06:24 赤道に対して約21度の角度である同期軌道上に到着。観察を開始。

2025/11/7 12:24 一周の自転を終えた。視認できるだけで約22000体の個体ができ、一分に平均3体が降下しているのが確認されている。また、降下する範囲が地球のものよりも広く、地球の個体と生態が違うことがわかる。地上の探索を行うため高度を下げる。

2025/11/7 12:49 オグンより小型ロボットを投入。オグンは同期軌道状に帰還し、観察を継続。

2025/11/7 13:13 地上に着陸。大気組成は地球に近しいものであることが確認された。気温はマイナス30.2℃を記録。周囲は雪原が広がっており、地形的な起伏は小さい。先ほど降下が確認された地点への移動を開始。

2025/11/7 13:34 降下地点に到着。周囲は窪地になっており、対象が多く降下していることがわかる。中心部に白い体毛で覆われている四足歩行の生命体(S17α-αと認定。)が4体おり、3体は体長1.5mほど、1体は体長2mほどである。S17α-αが行動を起こすまで待機。

2025/11/7 14:21 対象の降下を確認。小さい3体のS17α-αが対象の下へ向かい噛みついた。発声によるコミュニケーションとみられる行動をした後、2体は元の場所に戻り、口に咥えた1体は北東へ向かった。追尾を開始。

2025/11/7 14:46 他のS17α-αとすれ違う際に発声によるコミュニケーションとみられる行動が行われる。

2025/11/7 15:02 洞窟に到着。持ち込まれた対象が集められていると思われる一角があり、同様に対象を置いた後、洞窟の外へ向かった。そのS17α-αには発信機がとりつけられた。洞窟内部には大きい個体と1m以下の個体が多く存在している。そのため小さい個体が成熟していないS17α-αだと仮定すると、大きい個体が"メス"の役目であり、この洞窟は育児・防寒のための巣であると考えられる。また、対象を捕食しているS17α-αが確認されたため、先の個体は食糧を巣に持ち込む"働きアリ"のような役目を持つと考えられる。洞窟内の探査を継続する。

2025/11/7 16:24 洞窟内部には234体のS17α-αが存在していた。しかし、対象以外の貯蓄がみられないため完全に食糧を対象に依存していると考えられる。"メス"のS17α-αが単独で洞窟の外へ出たため追尾する。また、先のS17α-αにつけられた発信機は先の降下地点より位置情報を発信した。よって個体1体ずつに持ち場が決められていると考えられる。

2025/11/7 17:09 別の窪地に到着。他のS17α-αは存在しない。行動を起こすまで待機。

2025/11/7 18:42 対象の降下を確認。S17α-αは仰向けになり、腹部に対象が乗る。接近するとS17α-αの腹部には対象の開口部と類似した器官が存在しており、その内部に対象が精液を流し込んでいるように見える。暫くすると対象は腹部から降りて、強力なアスペクト放射の発生と共に消失した。S17α-αは仰向けになったままである。観察を維持。

2025/11/7 20:15 腹部の若干の隆起を確認。開口部は閉じられている。

2025/11/7 21:56 腹部が五芒星状に隆起する。開口部からは体液が漏れ出す。

2025/11/7 23:24 開口部が大きく開き、微力なアスペクト放射が発生する。腹部が通常の状態に戻る。S17α-αは気絶している。小型ロボットは観察を継続している。

2025/11/8 03:21 地球で確認されたものよりかなり大きいmassの形成を確認。オグンは観測を継続している。

附則4: 2026/6/3にS17α星のmassが崩壊した。消失した個体は前回のものとは違い1体ではなく53体であった。中心個体に取り付けられていた装置は地球の軌道上にて位置情報を発信していることが確認された。このようにして一度に大量の個体がテレポーテーションが可能であるという性質を考慮してレスポンスレベルを3に引き上げ、S17α星周辺個体の粛清を目標とすることが決定された。粛清にあたっては隠蔽の必要性が存在しないため、高度な技術の必要はない。しかし交戦における武具を搭載した無人機がGOCの技術でS17α星が向かうことは現在も不確定な要素を孕んでいるためPTOLEMY部門による研究が進められている。

附則5: PTOLEMY部門による働きかけもあり2028/9/21にGOC-財団間宇宙協定2の改定を行った。改定内容は情報取り扱い要項や技術共有についてである。財団外宇宙支部とGOC星間部門は大きな衝突も無く活動できているため問題なく執り行われた。超光速航行含む奇跡論を利用した特殊技術は共有されないため、有人太陽系外航行船についてはGOCがより早く完成すると見られている。協定書の全文は附属書類に記載されている。

附則6: 太陽系外無人航行機サンドラが完成し、対象の粛清が2030/4/5に行われた。大型爆弾の一斉投下によって完了され、食糧源を失ったS17α-αは南下し温暖な地域へ向かう様子が二週間後の4/21に確認された。残存個体の粛清のため無人探索機は観察を継続している。

PTOLEMY部門の記録

セクター-213所属、ウィリアム・ルーク主計下士官の書類によるAOD(Armaments Used in Destruction、破壊に使用された兵器)報告

需品課-AOD-1505
番号 指定 機材名 数量
1 TanGenT-ESB GOC太陽系外無人航行機 サンドラ 1
注: この任務が初めての航行であったが目立った問題もなく航行を完了した。
2 +1Gen-DBU 爆撃ユニット-12-S-大型拡散爆弾 150
注: 脅威存在を爆撃し粛清することは成功したが、過剰な量であったことは否めない。

附則7: 2031/2/3にS17α星で約1m程の個体の出現が確認された。粛清から現在までに地上で発生したとみられている小型の個体が確認されたこともあったが、これほど大型の個体は初である。無人探索機による検査は強い魔術的痕跡を示した。よって、この個体がまた別の惑星からテレポーテーションを行ったと考えられるだろう。脅威を根絶するためにも地球においてまたmassが形成された場合に備えなければならない。

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