脅威存在データベースエントリ
脅威ID:
KTE-7883-Velveteen-Grey — "ウシャブティの蘇生者"
認可レスポンスレベル:
3 (中度脅威)
概要:
KTE-7883は、北緯27°38′、東経30°53′に位置し、エジプトのエルハグ・カンディール近郊の未知の墳墓にある19体のウシャブティ像1を指す。各像の大きさは132cmで、通常のウシャブティ像とは異なり、地面から取り除くことは不可能である。炭素14同位体による年代測定では紀元前1340年頃に作成されたと推定されるが、像の上部にあるラピスラズリの痕跡は比較的最近になって付けられたものである。
KTE-7883の所在する墳墓には、アテン神を表す複数の彫刻や、アクエンアテン2の治世中に仕えた数人の廷臣のミイラが収められている。この墳墓の最も有名な点は、墳墓内の碑文の大部分が強制的に削除されていることで、アメンホテプ3世の廷臣たちの名前はダムナティオ・メモリアエ3を受け、複数あったアメン神の表現は、急造したと思われる粗雑な方法でアテン神のものに置き換えられている。恐らく、アメン神信仰に基づき作られた墳墓が、アテン神の信者によって奪われて作り直されたものと思われる。
墓の上には、1987年に作られたジッグラト4が存在する。これは石で作られており,複数の空間的不協和を呈している。特に、太陽の光が入射する角度からしか見ることができず、太陽が地平線上に18°以下の位置にある夜明けと夕暮れ時にしかアクセスできず、夜には見ることができない。周囲の土壌が不安定なため、他のルートからの侵入は不可能であり、墳墓に入るにはジッグラトを通るしかない。
KTE-7883の周辺では、様々な考古学者のグループの失踪が報告されており、その調査を専門とする地元の様々な勢力も存在している。そのため、この地域はその異常な活動を監視されている。
PSYCHE部門記録
超脅威調査 特別オブザーバー: "タシェリト" 811497322/8NF
概観: 超立体的な構造で3次元現実空間上には、高さ45mの四角錐ピラミッドとして映し出される。 AKASHA5スキャナーによると、内部の間取りは非ユークリッド的なパターンを示し、多数の通路やエリアがトロイダルトポロジー6の下にあることが判明している。
ドローンを使った探索の結果、複数の部屋を循環的に横断できる通路や、別の階面に自由落下できる"窓"、内部の鏡像につながる入口、さらには観察者の"複製"を見ることができる領域が存在することが判明した。しかし、内部の面積は有限であり、10台以下の偵察用ドローンを使って、2時間程度で内部を網羅的に探索し、アクセスポイントをマッピングすることが可能である。
太陽が見えなくなると、内部構造が急激に変化し、AKASHAシステムのオペレーターは「万華鏡の中が急速にねじれるのを見ているようだ」と表現した。この再編で内部に取り残されたドローンは回収できず、MIAとされている。
超脅威痕跡: ジッグラト構造の各反復において、構造の「下」にある墳墓にアクセスするための特定の兆候を発見可能である。それは複雑なパターンに従っているが、常時、少なくとも1つの実現可能な解が存在する。この墳墓内で、アスペクト放射7が通常とは異なる測定値を示す19個のウシャブティ像が発見された。単にARadを蓄積しているのではなく、それを運用しているようであり、自律的な「操作」が見られた。
様々な光学フィルターを使って観察した結果、この像は、それらが「見ている」墳墓の中の死体を蘇生することが確認されている。蘇生体は完全で、皮膚に強い発色の灰色と茶色の色素があることと、目が明らかに青いトーンであることを除いて、異常は見られない。日中、墳墓から出てきた彼らは、地面に儀式のように幾何学的な相似形パターンで、水を循環させる運河のような構造物を作り始める。これは、死体蘇生時のエネルギーの残渣から制御された方法で生成されたものである。ジッグラトと同様、これらの存在とその周辺の構造物は、ある特定の角度からしか見ることができず、通常の方法では発見することができない。
推奨されるレスポンス/要請: 構造のトポロジー的な構成は、それを大衆から隠すことを容易にしている。しかし、偶然発見された場合に生じる問題を事前に解決しておく事で、第二任務(隠蔽)を確実に果たすことが出来るだろう。午前中、構造物の1km西側に交通路や飛行機のルートを迂回させ、日没後にそれらを東側に変更することができる。この方法は、人員やリソースが少なくて済むというメリットがある。
建造物を建てた/作ったのが何者であるかは判明していない。見出された聖櫃や内在はこの地域の奇跡術師の集団のものとは一致しない。Andromeda Sesame8に潜入中のスパイから情報を得るか、我々のコンサルタントを訪ねるべきである。
KTE-7883によって生成された構造物の構成は、何か大規模な奇跡論的儀式の準備を示している可能性がある。このセクターのAKASHAユニットの支援を得て、構造物の経過をすべて観察・記録することを提案する。臨界量に達した場合には、直ちにPHYSICS部門に連絡する。
PHYSICS部門記録
2012/6/6、ジッグラトの内部を調査し、その脅威度を評価するため、隠密での偵察活動が行われた。

19:01、日没前に工作員"コンアチェ"が撮影したジッグラトの写真。
AT/ST探査報告 (デブリーフ) 関与した評価/排撃班:
AT-717 - "エーゲ海の田舎者"
提出した工作員:
"コンアチェ" 41661314/717
任務(場所/目的):
16:40にジッグラトの周辺を認識。17:42から19:06の間にジグラット内部へのミッションが計画された。この時、太陽の角度の関係で、このエリアから出ることは不可能だった。邪径技術による内部の次元分析。アーティファクトと作動エネルギーの奇跡論的分析。
遭遇報告/敵対存在の概要:
内部は、新王国時代9の建物の典型的な建築様式を示しているが、しばしば強制的に連結された複数の建築物であるように見えた。VERITASスキャナーによって、複数の壁を通して自分のコピーを見ることができた。真っ直ぐな廊下で自分の背中を見ることもできた。ダイクストラ次元計量器を用いて、墳墓の位置する「基部」へのルートを発見する事ができた。それは、ヒエログリフの断片が除去され、石棺は開かれて空になっており、冒涜されているように見えた。ある絵が他の絵の上から描かれており、太陽の円盤は全ての絵に描かれていた。
石棺の近くには、強いアスペクト放射線を発する像がいくつか存在した。 1.1 キロキャスパー、トパーズ、シャープ、タイト。サンプルの採取を試みたが、不可能だった。道具が壊れてしまったので、研究室のために詳細な分光分析と、いくつかのフィルターを使った写真撮影を行った。複数のウィスプビーコンを残し、退却時の位置を監視した。幸いなことに、帰り道は元の場所と変わらず、日没前にユニット全体が脱出に成功した。
ジッグラトは夕暮れ時には見えなくなってしまったが、我々はエーテル光学フィルターを使って遠くから観察した。何もないように見える場所から数体のヒューマノイドが現れ、地上の構造物を作っていた。工作員"ダン"は彼らの1体を捕らえようと思い麻酔弾を発射したが、この麻酔弾はその頭を通過してしまい、明らかなダメージはなかったという。彼らのエーテルフィールドから、彼らは同じ意識を共有しており、自分の意志を持たないことがわかった。敵対しているかどうかはわからない。そのうちの1体が、偶然にも数秒間、私たちをじっと見ていた。その目は青く、像の上に乗っているラピスラズリの小片を思わせた。
結果:
夜中にビーコンの表示がおかしくなり、夜明けまで次元計量器が異常な値を示すことが多く、本来の位置とは異なる位置を示すようになった。構造物を循環している水のサンプルを回収して分析することができた。この水は明らかに実体を持たないものであったため、追加の無力化は行われなかった。
職員状況:
最良
結論/提言:
痕跡は研究所に送付した。我々は脅威に関連する歴史の重要性を考慮し、メンバー組織であるプル・アンク・ン・アブ10から取り得る行動方針について助言を得るよう最高司令部に依頼した。また、ICSUTや、対立組織から取得した、関連する可能性のある奇跡術師の集団についての情報も必要である。彼らが何をしているにせよ、準備する時間は十分にあったはずだ。
PSYCHE部門記録
KTE-7883の調査結果についての、プル・アンク・ン・アブの構成員であり、ヘカ11であるハールーン・クヌムによる分析とコメント。
アクエンアテンの生涯とその業績については多くのことが語られてきました。彼の大胆で危うい改革運動は、成功すれば古代エジプトとそれに続く文明の歴史を根本的に変えてしまうものでした。現代のエジプト学者たちは、なぜこのようなことが起こったのかをいまだに疑問に思っています。
真実はこうです — アテン神を唯一神として採用することは、宗教的な慣習だけでなく、エジプト社会のあらゆる側面に影響を与えていたのです。そしてその方法は、我々がようやく垣間見る事が出来たものです。それは太陽の光を通すための開かれた神殿というだけではなく、女神マアトのイメージで表現される奇跡エネルギーを通すための一連の手続きであったのです。
マアトは、宇宙の真理や正義の概念を表していたアスペクト放射の一種ですが、イスフェト12を秩序立てて構築的な力に変えるための、厳格で構造化された形態です。私たちは、マアトは太陽光に自然に含まれている、よく定義された形のエーテルエネルギーであり、神殿などで「精製」されなければ無害であることを発見しました。
しかし、マアトはその構造とそれを使う奇跡術師の認識との間の複雑な関係に反応します。私たちは、ある1つの文化の中に、そして、人間の心の中に、非常に多様な神々が存在すると、それに伴って現実の解釈が無数になるために、取り扱いが難しくなると考えています。単一の神の場合、マアトの管理は1つの側面に集中します。例えば、アテン神の場合は太陽の円盤です。このことは、アクエンアテンの経験豊富な改革を説明することができますし、なぜこの特定の神が必要なのかも説明できます。
最も印象的なのは、「拝一神教下のマアト」と様々な鉱物の間の奇跡論的反応です。私たちは、マアトの光線がラピスラズリと相互作用すると、興味深い分子変化が発生することを発見しました。適切な顕微鏡装置で観察すると、アンクのヒエログリフに非常によく似た粒子の「クラスター」が、常に有機物の方向に向かって発生します。これらのクラスターは、死んだ生物の失われたカーを再構成し、完全に「生き返らせる」とまではいかないまでも、彼らを蘇生する可能性を秘めています。
太陽と連動しているマアトは、地球の磁気圏の影響を強く受けますが、KTE-7883では非常によく集中していることがAKASHAを用いた調査で明らかになりました。ジッグラトがアンテナの役割を果たし、太陽や地磁気の影響パターンを調整することで、前例のない程の伝導を可能にしています。
マアトは建設的なエネルギーですが、他の形での使用を妨げるものではありません。私たちは既に地元でマアトを試験しており、その特性を適切に測定されたバックラッシュとシンクに転化することが可能です。私たちの侍者の1人が、このテーマについて、ICSUTで修士論文を発表しています。連合の他のメンバーとも話をしましたが、KTE-7883はこの奇跡エネルギー源の研究に最適な場所であるという結論に達しました。
PTOLEMY部門記録
108評議会投票報告書: KTE-7883占領地を、奇跡論と邪径物理学の研究に利用することについて。
投票報告 K-7883-01 | ||
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提議: | プル・アンク・ン・アブ | |
承認 | 拒否 | 棄権 |
84 | 11 | 13 |
77,78% | 10,19% | 12,03% |
結論: KTE-7883に対する非破壊的検査が承認され、構造物の復元後、規定の加盟団体によって利用される。 |
プル・アンク・ン・アブの2人のメンバー(コードネーム: アネジヒブ、ブネブ)が率いる排撃班4101 - "アクエンアテン護衛団"を2つの隊に分けて派遣することが決定された。ラピスラズリを用いた実験により、高密度のパルス状のサイオニックエネルギーが拝一神教下のマアトに干渉し、蘇生を逆転させることが発見された。4101-エイブルは遠距離支援を行い、4101-ベイカーはヘカであるブネブと共にジグラットに入り、KTE-7883を無力化することになった。
セクター77 需品課曹長 ダゴベルト・ケレタロによる、AOD (破壊に使用された兵器) 報告
需品課-AOD-7883-2 番号 指定 機材名 数量 1 0Gen/GenAlt-CHIΨ シャイタック インターベンション mod.33/シャイタック Ψ.408 弾薬 12 注: 4101-エイブル ユニットはPTAH13端末を携行し、4101-ベイカー ユニットの援護を行った。 2 +1Gen-WSN3 広域スペクトル非侵襲性神経学的中和剤 1 注: アネジヒブとブネブは、AT-4101への接種に成功した。 3 GenAlt-MRPT 多目的・再利用可能 携帯タリスマン 20 注: AT-4101の全員が、ヒエログリフでアメンとイスフェトの名を刻んだアミュレットの形でこれを携行した。他の神々の名前の存在は、周囲の特定のゾーンの可視化に必要な、拝一神教下のマアトのデコヒーレンスを発生させた。 4 +1Gen-WSH2SG 広域拡散性硫化水素グレネード 8 注: 奇跡術師の無力化に使用。最も効果的。 5 Gen0/GenAlt-SCIHW 自然発火誘導注射兵器 8 注: 奇跡術師の無力化に使用。効果的。 6 +2Gen/GenAlt-DUAT 空間跳躍アポーテーション用汎用端末 8 注:: 4101-ベイカーにより、最終退避手段として採用された。副作用なし。
PHYSICS部門記録
KTE-7883に関する作戦後の報告。
7883 フィールドレポート NO. 3 我々は、不可知論的タリスマンがジッグラトに入るために必要な安定性を与えてくれると信じていた。4101-エイブルが外で蘇生者たちに対処している間に、我々は構造物に入った。しかし、その構造を研究する間もなく、術師たちに見つかってしまった。
場の状況は我々の作戦にとって不利に働いた。四方八方から射撃を受け、カバー率は十分ではなかった。男が狭い廊下に向かって銃を撃つと、同じ弾が天井から落ちてきてバーナードに当たったのを見た。他の部屋の縮小版につながる窓も存在した。秘密はなく、相手の狙いは全てお見通しという状態だったが、残念ながらそれは我々にも当てはまることだった。我々は数的に不利で、何が起こるかわからない混乱した空間にいた。だから、ガスを投げた。
安全な範囲は存在しなかったため、取るべき戦略は素早く移動し、状況が片付くまで部屋に留まることだった。混乱した迷宮の中を少しずつ進んでいった。私は、他の者が気づかないようなマアトのわずかな痕跡を追い、次々と術師達を無力化していった。我々はすぐに、内部の混沌とした空間を利用できることに気づいた。今でも覚えているのは、ある術師がジャックを撃ったが命中せず、その同じ弾が後ろからそいつの首に当たったのを見たことだ。
墓にたどり着くまでには数時間かかった。こんなにも狭い場所で、どれだけの冒涜があったというのだろうか。像、そしてアテン神を表すあらゆる物、名前や太陽の円盤の彫刻に、マアトが強く集中していた。石棺があり、ミイラが収められていた。それらは、リネンで覆われ、心臓以外の臓器を持たない死体であった。歪んだ顔をしていた。近くの村では時々、住民が行方不明になったと報告されている。
棺の上で、3人の術師がラッピングされた遺体に対して儀式を行っていた。"口開け"の儀式14の変異した物だろう。その肉体は既に死んでいたが、その顔が歪んでいるのが分かった。彼の感覚は、来世を想う為ではなく、計画に従うために目覚めさせられたのだった。彼らはアテン神を招来せんと試みていた。その為、周囲に作られた太陽の封印を利用し、かつて生きていた身体のカーで満たされた水を通し、彼らの目的のために太陽のマアトを得ていた。
正確な射撃で儀式を中断させた。必要なのは魔法の呪文ではなく、工作員の狙撃スキルだった。ウシャブティを破壊しようとしたが、ハンマーが跳ね返り、破壊不可能だと分かった。私たちは、マアトを打ち消し、これ以上の蘇生を発生させないために、周囲に携行していたタリスマンを置いてきた。4101-エイブルは、蘇生者と封印を片付けたと連絡してきたが、我々は避難できなかった。墓の上では、ジッグラトが想像するだけで頭が痛くなるようなねじれ方をしていた。アポーテーションの許可を得て、15分後に退避した。
歴史は幾度も繰り返す。熟練した奇跡術師であったアクエンアテンは、自分の治世にこれをやろうとしたが、神々は彼を罰し、彼の都市と人々に災いが降りかかった。現代の我々は天災ではなく、炎と酸とで介入する。
- 工作員 "ブネブ" - 排撃班4101 - "アクエンアテン護衛団"
作戦の17日後、ジッグラトはKTE-7883の場所から消失し、22km離れた別の墳墓の上に再出現した。
<GOC最高司令部によりレベルQ機密指定>
脅威存在データベースエントリ 更新
脅威ID:
UTE-7883-L'Engle-Bosch-Black — "太陽神アテン"
認可レスポンスレベル:
3 5 (中度脅威 即時脅威)