不思議の国のブラックウッド卿
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1

昔々ある所に、大胆不敵で凛々しい探検家がおりました。
彼は何処へ行っても、人間のいない土地、獣も足を踏み入れない場所を旅しました。

2

旅の途中で、彼は沢山の物語を集めていました。

3

ところが、それを語り聞かせる者が一人もおりません。

4

これに気付いて探検家は悲しい気分になりました。
これはどうも好ましいものではないぞ!

そこで彼は、自分が一番得意な事を始めました。
友達を探す旅に出かけるのです。

5

ある日、彼はリンゴの山の上に座る三匹の子豚に出会いました。
「こんにちは、子豚諸君。私の物語を聞きたくはないかね?」 彼は訊ねました。

「要らないや」と子豚たちは言いました。
「そんなもの、リンゴ農家との取引には使えないからね」

6

「しかし、私にとっては価値のある物語なのだ」 探検家はそう答えました。
「それで僕らがリンゴを貰えないなら、いったい何の役に立つ?」 子豚たちは一斉に叫びました。

7

そこで探検家は場所を変え、興味を持ってくれそうな誰かと物語を分かち合うことにしました。

8

彼は大きな木に巻き付いた蛇に出会いました。
「こんにちは、蛇君。私の物語を聞きたくはないかね?」 彼は訊ねました。

「必要ない」と蛇は言いました。
「私はあらゆる物語を知っているが故に」

9

「しかし、まだ話してもいないのだよ」 探検家はそう答えました。
「知は力であり、私は多くを知っている」 蛇はシュウシュウと舌を出しました。

10

そこで探検家は場所を変え、話を聞いてくれそうな誰かと物語を分かち合うことにしました。

11

彼は岩のてっぺんに留まっている鷲に出会いました。
「こんにちは、鷲君。私の物語を聞きたくはないかね?」 彼は訊ねました。

「要らないね」と鷲は言いました。
「俺様の財宝には、お前自身の方が相応しい」

12

鷲は翼を広げて探検家を追いました。
探検家は森中を走り回り、一番暗い隅っこに逃げ込みました。
探検家は今までそこを訪れたことがありませんでした。

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彼は一人きりでした。彼は怯えていました。

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「何故、誰も私の物語を聞いてくれないのだろう?」 彼は森の木々に訊ねました。
「世界中の陸と海を旅して集めた物語を、私は誰かに話したい!」 彼は叫びました。

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「私がそのお話をお聞きしましょう」
そう答える声がありました。

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探検家が振り返ると、笑顔を浮かべ、帽子を被った、大柄で背の高い優しそうな男がいました。
「私、チェスターと申します。あなたの物語をお聞きしたい」と彼は告げました。
「本当かね?」 探検家は訊ねました。

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「勿論ですとも。どうぞこちらへ! お茶でも飲みながら、私にお話を聞かせてください。
子供たちや他の者たちにも語り聞かせてください、素敵な物語が大好きな者ばかりです!」

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こうして、探検家とチェスターは大の親友になりました。
探検家は彼やワンダーワールド™の少年少女たちに物語を語り聞かせました —

少なくとも、彼がそこを立ち去らなければいけない日が来るまで。

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何と言っても、新しい物語の無い探検家ほど退屈なものも無いからな!

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