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私の色を塗りつぶして
SCP-4319原作のTale
著者: AlanDaris
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翻訳責任者: Tetsu1
翻訳年: 2024
著作権者: AlanDaris(アカウント削除済)
原題: Losing My Colors
作成年: 2019
初訳時参照リビジョン: 25
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/losing-my-colors

静かな足音が階段に響き渡る。ローラは、アパートの部屋に向かってゆっくりと階段を上る。疲労困憊で、ただベッドにもぐりこんでぐっすり休むことだけが望みだった。だがそうするわけにもいかない。やらねばならない大事なことがまだ残っている。彼女はドアに近付いて、今日買ったゴミ袋を手から手へと渡しつつ、鍵を開けようとする。鍵が引っかかる。何度か回すのに失敗して、つい暴力的にドアを殴って鍵を押し込みそうになるが、何とか止める。そんなことすべきじゃない。それは間違ってる。
やっとのことでドアが開き、ローラは入ることができる。カーテンを開けると、ピンク色の夕日がアパートに溢れる。そこでようやく、部屋の美しさを存分に見ることができる。様々な色合いのピンクに塗られた色々な家具、これでもかと衣装の詰め込まれた衣装ダンス、鏡の前のコーヒーテーブルに並んだコスメの数々…… 彼女はブルリと震えた。それから、そんな反応をする理由がないことに気付く。ここは彼女の部屋で、こうあるべきだ。
ローラはテーブルの引き出しから、明るくキラキラした日記帳を取り出し、ページを破り取る。最初の一文を書き始めたそのとき、ふと鏡に映る自分を見る。服装が、ヘアスタイルが、化粧をしていないことが、どれも目を引く。気持ち悪い。間違ってる。直さないと。一瞬の後、服が一つずつ近くのオットマンに脱ぎ捨てられる。まずは黒のジャケット、次に正面にドクロがプリントされたTシャツ、それから青のジーンズ。ローラは衣装ダンスをよく調べて、ネックラインのある明るい赤色のドレスを選ぶ。新しい、明るいイメージにぴったり。喜びを胸に抱いて、数秒ほど鏡を見つめる。まさしくそうあるべきように。
ローラは腰を下ろし、日記に続きの言葉を紡ぎ出す。全力で集中しようとしているのに、まだ直すべき欠陥があることを思い出してすぐに気を散らしてしまう。震える手で口紅を手に取れば、笑顔はパッと明るくなる。次はパウダー、肌の不完全なところを隠してくれる。最後はマスカラ、まつげに長さとボリュームをくれる。一歩ずつ、彼女は美しく、女性らしくなっていく。
続きを書こうと日記を掴むと、ページはしわくちゃになる。手がいうことを聞かず、文字はぎこちなく、時々打ち消し線を引いて書き換えてやらないといけない。一瞬、思考が途切れる。一瞬もあればまた不完全さを思い出すのには十分。ゆっくりと、手はテーブルに横たわるヘアブラシを拾い上げる。ブラシが頭に届くより前に、手のひらにペンを突き刺してブラシを落とす。痛みに声を上げ、手をテーブルに戻してくしゃくしゃの紙に言葉をまた記す。
だがもう一つ、対処すべき重要なことがある。向こうの壁に視線を向ける。そこには、スポーツ試合での勝利を表するメダルがぶら下がっている。近くには武道の階級を示す帯もある。その隣には、これらの賞をもらったときの写真がある。今やるべきことは明らかだ。ローラはゴミ袋を一つ取ってそれを開ける。一瞬、ためらいがある。それから、メダルが一つ袋の中に入る。さらに一つ、またもう一つ。続いて帯、写真、部屋のここに丁寧に並べられたもの全部。目から涙が一滴こぼれる。でもそうなる理由はない。欠点を取り除くのが、正しいことだ。
ローラの震える手はゴミ袋を持ち上げ、脚は階段へと連れていく。次の瞬間には、袋はゴミシュートに落とされる。ローラは静かに目を拭い、自室に戻る。部屋から短いメロディーが聞こえる。誰かからメッセージのようだ。
わぁ。やったね! 今のあなたはとーーーってもかわいいよ。嫉妬しちゃいそう! まぁ、私もあなたを助けられてうれしいからそんなにでもないけどね! あなたの見た目はもう本物の女の子だね、すっごーい! 一緒にこれを達成できて、キーリーもきっと誇りに思うよ! \(◕◡◕)/
じゃあ、あなたはもう私たちの一員だし、そろそろもうちょっとお互いを詳しく知っていいいころだんえ。ありゃりゃごめん、興奮しすぎて文字が打てないや(笑)。とにかく、私たちのミーティングをやる場所の情報を送るから、是非とも参加してね。 ♡(Ξ◕◡◕Ξ)♡
またねー♡♡♡♡
携帯を横において、ローラは鏡に映る自分を心の中で評価する。ヘアスタイルはまだ工夫が必要。ヘアバンドを外し、黒い髪が肩にかかる。時間を無駄にせず、髪をとかし始める。イメージに欠陥があってはならない。何も間違ってなどいない。
髪を完璧に整え、ヘアブラシを落として自分の反射像を見つめる。やっと、全ての欠陥を取り除けた。服はどれもスタイルにぴったりで、化粧は美しさを際立たせ、新しいヘアスタイルは女性らしいイメージを完璧に引き立たせる。本物の女の子は、柔らかな手つきでペンを手に取り、日記のページにもう少し書き足し始める。書けたものに満足した女の子は、携帯をハンドバッグに入れて部屋を出る。
大きな足音が階段に響き渡る。二人の男は、部屋に向かって素早く階段を上る。数秒の後、ドアは勢いよく開かれる。男たちは急いでその場所を調べ、全ての部屋を、隅から隅まで、あらゆるタンスまで見て回る。何か重要なものを探しているが、結局見つからない。仕方なく諦めようとしたそのとき、男の一人がテーブルに置かれたしわくちゃの日記のページに気付く。
要注意人物: キーリー(仮名、ニックネームとして使用)
本名不明
女
現実改変能力を持つ人物の可能性が高い。この能力は当該PoIの女性の知人の所有する物体(家具、家庭用品、衣類など)を改変したり、付近に新たな物体を出現させる形で発現する。影響を受けた物体は典型的にはとても美しくなって女の子にぴったステレオタイプな「女の子らしい」デザインに改変される。
当該PoIは接触した女性をお助けする精神的に操作する。この影響は時間と共に増大し、被害者は数日後に自分の問題と欠陥に気付くそれに反対する能力を失う。当該PoIは自身が作成した"www.justgirlythingsblogsite.si"というタイトルのブログを通して被害者と連絡を取り続け、そこで女の子をかなり時間をかけて助けてくれて
現在15~20名がPoIの支配下にあり、恐らく以前は一般人であったが後に影響を受け 支配され もたない
影響 囚われ 思考は 抵抗 ない
…そうして、キーリーが私たちみんなを助けようとしてくれる素晴らしい女の子だと気付き、本物の女の子らしく振る舞い始め、とうとう間抜けな男の子っぽい特徴を全部取り除きました~
ローラ♡♡♡♡