'スマートヘクス' (SMR82/H0EX3/4DNV9)

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SMR82/H0EX3/4DNV9
状態 販売中
需要
価格 契約ごとに12000-18000英ポンド/15600-23400米ドル
入手可能性 無制限
識別名 スマートヘクス
説明 スマートヘクスは悪魔実体との取引に特化した一連のスマート契約書テンプレートである。スマートヘクスの契約書式に関係者全員の真名とその他全ての関連情報を入力するだけで、悪魔の署名者は奇跡論的に束縛され、人間の署名者が契約内容を履行した時点で、自らもその契約を履行せざるを得なくなる。スマートヘクスは人類及び/または神の法律について最低限の知識しか持たない顧客にとって最適な商品である。
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
初期報告書
筆者 アイリス・ダーク 日付 3月1日、2018年
重要度 識別名 スマートヘクス
我が社の電気奇跡サーバファームのバグが全て解消された後、私は自然と、これをダーク・ウェブ以外でどんな事に利用できるかを考え始めました。そこで、私自身が発明し、ダーク・エナジー・オペレーティングシステムとダーク・マター・ソフトウェアスイートで使用している奇跡的コード、darkrunesを用いた異常ブロックチェーンを作ることにしました。

テックチームが既に承知している通り (他の多くのスタッフもそうであってほしいのですが) 、ブロックチェーンとは言わば暗号化されたデジタル台帳で、主にビットコインなどの暗号通貨の取引に使用されます。異常な暗号通貨の作成というアイデアも検討してみましたが、そのマイニングに要するエネルギー量は、普通のコインファームがやかんか何かのように見えるほど莫大なものになるでしょう。

代わりに、私はスマートヘクスの開発を選びました。これらの契約コードは、プロメテウス・ラボが開発したホフマン携帯型電気奇跡ユニットと同じような仕組みです。スマートヘクスのソフトウェアは、必要な儀式を電気奇跡ハードウェアの内部でエミュレート可能であり、真名が入力されている限りにおいて、人間、悪魔、その他大半の知性体を合意された契約条件に拘束することができます。

技術的には人間同士の契約にも使えますが、最も好まれるのは人間と悪魔の契約でしょう。悪魔は人間側の焦りや無知につけこみ、未読または理解不十分な契約書への署名を急かし、途方もない対価を請求する一方でそれに見合うものを提供することは滅多にないという悪名を轟かせています。

スマートヘクスを使えば、人間は自分がどんな契約に合意し、引き換えに何を得るかを正確に把握できるのみならず、悪魔と対等に交渉する力を持つことができます。各契約書に含まれる“ヘクスチェッカー”が内容を自動的にチェックし、エラー、矛盾、抜け穴、潜在的に不公平な取引などが検出されれば、契約の執行前に指摘してくれます。

ソフトウェアは私個人が書いたものですが、スマートヘクスの法的な面は、A-78xD ユナイテッド・エイドロニック・コレクティブ (法務部) がHr'asm'Kal (妖魔界連絡員 兼 製造部門副主任) とエスクワイア・ダーケ (共同経営者 兼 錬金術/オカルトコンサルタント) の協力を得て仕上げました。エイドロニック・コレクティブの専門知識は我々の領域と妖魔界の双方で認められており、Hr'asm'Kalと同族の関係は引き続き良好で、ダーケ氏はかつて大魔王デビル本人を (正確には地獄大地領アンダーヴァストの帝王ですが、大した問題ではないです) 交渉で言いくるめた経験があるので、私はスマートヘクスがあらゆる期待を上回る商品になりそうだという満足感を抱いています。

私は発売日に胡散臭い吉日を割り当てるのが好みなので、スマートヘクス契約はアイズ・オブ・マーチから利用可能になります。

以下のファイルが開かれている: SMR82/H0EX3/4DNV9
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
第二四半期売上高レポート、2018年
SMR82/H0EX3/4DNV9
送信者 Hr'asm'Kal 受信者 アイリス・ダーク
スマートヘクス契約の売れ行きは順調だ (売上高は添付ファイルにある) 。悪魔契約には珍しくも、リピーターになった顧客さえいる。

案の定、大物どもは誰もこの手の契約に興味を示さなかった。真名をあっさり明かすつもりがないのに加えて、古風な連中だからプロセスをデジタル化する気にならないらしい。奴らにしてみれば、血で署名した羊皮紙以外は全て屑なのだろう。

しかし、小物となると話は違ってくる。大物が考慮に入れなかった顧客を掬い上げる気満々だ。スマートヘクスのおかげで、誰もが自分たちが何に合意したかを把握し、それぞれの然るべき取り分を得られる。そして幸福な顧客たちはリピーターになる。

我々は、悪魔との血の盟約の、持続可能なビジネスモデルを見つけてしまったのかもしれない。
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
インシデントレポート 01
SMR82/H0EX3/4DNV9
筆者 ジム・タリー 日付 7月13日、2018年
昨夜、グリニッジ標準時の午前3時、直径9フィートの炎の輪が突然サーバファームに出現した。どうやら妖魔界に通じるポータルだったらしい。幸い、反対側から何も出てこないうちに保安システムが検知して、サーバが悪魔祓いを自動エミュレートし、封鎖した。

あと、そのせいで消火システムが作動した。

午前3時から4時にかけて、俺はこの種のポータルが建物の内部や近場で19ヶ所開いたのを確認したが、全て数秒以内に自動悪魔祓いされた。ポータルがかなりしつこく出現を繰り返したあたり、タルタロスの誰かさんが俺たちを襲撃するつもりだったとしか思えない。恐らくスマートヘクス絡みだ。

俺はディア大学で悪魔学を専攻してたから、召喚されてない悪魔が俺たちの領域にポータルを作れるのは特定の時間帯、つまり13日の金曜日の魔女の刻ウィッチングアワーだけなのを知ってる。俺たち人間がその時間帯に力を吹き込んでしまったからだ。迷信を食う悪魔にしてみれば実質的なハッピーアワーだな。

良いニュースは、奴らが次にこういう荒業に踏み切ることが可能なのは11月1日の午前3時、つまりハロウィンの夜だと確実に分かるってことだ。俺たちには準備期間がある。ただ、今回上手く行かなかったせいで、次回の攻撃はもっと激しくなるだろう。

その前に外交的な解決を図るのがベストかもしれない。
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
メモ 01
SMR82/H0EX3/4DNV9
送信者 Hr'asm'Kal 受信者 アイリス・ダーク、全ての幹部連絡先
つい今しがた匿名の敵手との話し合いを終えたが、我々のスマートヘクス契約は、彼の第二四半期の収益を相当削り取っていたらしい。

彼だけではない。我々のせいで、数多くの高位堕天使が取引先を小悪魔たちに奪われている。どうやら奴らは、商売敵の悪魔を一人ずつ追い詰めていくより、問題の根源を断ち切るのが最善の解決策だと判断したようだ。

私が集めた情報をまとめると、万聖節前夜の魔女の刻が訪れると同時に、総勢一万人の呪わしき悪魔軍団が我々の奇跡論的な防御を圧倒し、全ての持ち株を灰燼に帰せしめ、我々を一人残らず地獄へ引きずり堕とすだろう。

当日は重要な予定を入れないようにカレンダーにメモしておけ。
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
インシデントレポート 02
SMR82/H0EX3/4DNV9
筆者 ジム・タリー 日付 11月1日、2018年
さてさて、俺たちはまだ全員ここにいるぞ。

ほとんどの社員と同じように、俺も昨夜は念のため教会で過ごしたから、何処から説明すべきか100%は分かってない。

Hr'asm'Kalとタルタロスの交渉が決裂した後、2人のダーク (片方はダーケ) さんは避けられない攻撃に備えて準備し始めた。ダークさんは電気奇跡コンピュータにエミュレートさせる儀式を数多く書き上げた。儀式的には1001人の奇跡術師に相当するって言ってたが、一体どうやってそんなのを数値化するのか俺にはさっぱりだ。電気奇跡サーバはスマートヘクスの基盤だから、妖魔界の奴らに狙われるだろうと考えて、堅牢な倉庫に移した。

年上のダーケさんは、今まで見たこともないほど高いアキヴァ値の聖水を、いっそ笑えるほど大量に仕入れて、俺にそれを消火システムに仕込ませた。

ダーケさんはそこにいたんだ、あの建物の中に。この目で見た。彼は俺に話しかけた。シュールな体験だった。

とにかく、ダーケさんは神聖な塩を持参してて、そいつで戦略上の侵入ポイントに障壁を張ったり、メインフロアに塩の迷宮を作ったりしていた。塩の結晶はかなりデカいから、聖水を撒いても簡単には押し流されない。ダーケさんは建物の周りにも塩で境界線を引いたが、わざとボトルネックとして小さな隙間を開けた。妖魔界の奴らはどっちみち境界線を突破するんだから、動きを1ヶ所に絞り込むのが一番だと言っていた。

カーターさんは、2人のダーク (ケ) さんとはお互い犬猿の仲なのに、意外にも魔除け結界グリッドを刻み込んだ高容量ベリリウム銅弾で狙撃手をやると志願した。どうやら妖魔どもが自分の首に懸賞金を掛けているのが少々気に食わないらしい。

襲撃前に建物からは職員と非代替性資産 (電気奇跡サーバ以外) を退避させたから、当時の倉庫内にいたのは2人のダーク (ケ) さんとカーターさんだけだった。3人とも詳しく語ってくれるムードじゃなかったんで、俺は監視カメラ映像を見直して何が起きたかを繋ぎ合わせようとしてる。

ダークさんは、ダーケさんが奇跡結界で防衛体制を敷いたパニックルームを司令塔にして、彼女自身が電気奇跡コンピュータを調整できるようにしていた。悪魔祓いは科学よりも芸術に近いから、これだけ異常で大規模な状況では、ボットが正しい呪文を展開してくれるとは期待できない。

昨夜の午前3時、何処からともなく湧き出した濃霧が倉庫を包み込んだ。財団や連合が割り込んできたら、悪魔どもの有利にはならないから、襲撃を隠蔽したかったんだろう。

奴らは霧の中の全方位から出現し、全員が物理形態を取ってやがった (その方が悪魔祓いしにくいし、物理的な危害の度合いも高まるんだ) 。数えてないが、流石に1万人はいなかったと思う。数百人ぐらいに見えた。とりあえず666人だとしておこう。

悪魔軍団はまず境界線を攻撃し始めたが、塩を突破できずにいた。ダークさんは建物の内外に霊的発光エクトルミネセントプロジェクターを設置してたから、奴らが前線を破る前から悪魔祓いを開始できた。スピーカーもあって、大音量である種の詠唱を流してた。あれは混沌の舌カオスタングかもしれない。何であれ、悪魔どもはその詠唱を嫌った。

だが、奴らもすぐに境界線の隙間に気付いた。最初は罠かと疑って躊躇したようだが、詠唱とエミュレートされた儀式のせいで既に疲弊し始めていたから、進むか退くか選ばざるを得なくなって前進した。

最初に倉庫に踏み込んだ悪魔は、眉間に1発ズドンと喰らい、煙と灰に包まれて消え失せた。カーターさん、これを読んでるかは分からないが、あんたは大した射撃の名手だよ。

見張り台のカーターさんと、制御室のダークさんとで、最初の10分ぐらいはかなり効率的に悪魔を祓ってたが、どうしたって祓うよりも早く侵入されるようになってきた。塩の迷宮は奴らを一斉に祓える場所への誘導に便利だったが、それでも十分じゃなくて、聖水の放出を開始した。

思ったより効いてなかった。悪魔どもの皮膚は煙を上げ始めたし、明らかに苦しんでたが、身動きが取れなくなるほどじゃない。

その時、ダーケさんが両手に赤熱した焼きごてを携えて参上した。

彼は超人的なスピードで塩迷宮の縁を駆け抜けながら、向こうの注意が苦痛で逸れてるのを利用して、奇跡結界の焼きごてを押し当てては即座に祓い、周囲の悪魔から攻撃される前にダッシュで逃げた。焼きごての鉄が冷えてくると、ダーケさんは元居た場所へと姿を消し、熱したばかりのをまた1組持って舞い戻ってきた。

塩迷宮をできるだけ乱さないように努力はしていたが、やがて大混乱の中で線が崩れてしまい、悪魔どもは倉庫を自由に移動できるようになった。奴らはカーターさんを見張り台から叩き落として八つ裂きにしやがった。幸い、ダークさんがすぐに彼の魂を悪魔から保護する儀式をエミュレートしたから、すぐに新しい肉体で帰って来れるだろう。

電気奇跡コンピュータがクラッシュしたのはこの時だった。

ありとあらゆる儀式をエミュレートしてたから、そうなる可能性は初めから念頭に置いてたが、まだウィッチングアワー終了までにダークさんを保護する結界を十分突破できる数の悪魔が居残ってた。悪魔どもの大騒ぎのせいで音声は聞き取れなかったが、エスクワイア・ダーケはコンピュータを捨てて逃げるように、ダークさんを説得しようとしていたように見える。でもダークさんはそれを拒否すると、代わりに余った塩で直径9フィートの魔法円を描き始めた。2人は向かい合って座り、呪文を唱え始めた。

俺はこの天使祝詞っぽい儀式が具体的にどういうもんなのか分からないが、とにかく悪魔どもが結界を突破した時、魔法円が炸裂してある種の現実改変衝撃波を放出し、建物内と近辺にいた全ての妖魔界実体の物理形態を非実体化させた。それで全てが終わったから、きっと奴らの精神を地獄に送り返したんだと思う。

結論から言うと、襲撃によって永久に失われた職員はいなかったし、倉庫に及んだ損傷は簡単に修理できるし、他の拠点は何処も標的になってない。電気奇跡コンピュータはもう再起動されているんで、できる限り早急にロンドンのオフィスに戻すように手配する。
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
メモ 02
SMR82/H0EX3/4DNV9
送信者 アイリス・ダーク 受信者 Hr'asm'Kal
タリー氏の報告に補足したい事項があります。

私が妖魔界実体たちに行った奇跡エミュレーションは単なる悪魔祓いではなく、タルタロスへ強制送還された悪魔一人一人の真名を暴き出し、記録しました。非常に喜ばしいことに、この情報はサーバのクラッシュで失われておらず、今や我々は匿名の敵手氏に仕える軍団のうち221名の真名を把握しています。

これらの名前をスマートヘクス契約に入力して、攻撃者たちを私の命令に従わせるのも詩的正義というものでしょうが、私はむしろ今後の攻撃をどう防ぐかに関心があります。

必ず、我々がこの情報を掴んでいることを匿名の敵手氏に知らせ、悪用されたくなければ、暴力であろうとなかろうと、二度と我々の業務に干渉するなと伝えてください。もしそのような事があれば、我々は彼自身の部下悪魔を差し向けますし、我々への更なる攻撃は十中八九、より多くの部下たちの真名を我々が掴む結果となるでしょう。

宜しくお願いしますね。

P.S. 今回の事件で一番奇妙なのが何だか分かります? 地獄が直々に我が社を廃業させようとした後でも、私の立場はまだザッカーバーグよりマシだと思うんですよ。
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合
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