飯落の提言
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SCP-001-JP

アイテム番号: SCP-001-JP

オブジェクトクラス: Anomalous Keter Apollyon Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-001-JPはサイト-8101地下にある500×500×30mの特別収容室に、低危険物収容ロッカーに入れた状態で保管されます。収容室内への立ち入りはO5評議会の承認が必要です。

特別収容室内には発電機、ブライト=ザーションヒト科複製機(BZHR)、クラスA〜Eの記憶処理剤、心停止を誘発する薬物、その他プロトコル・ヴェルダンディ遂行のために必要な設備全てが使用可能な状態で設置されます。

特別収容室内のデータベースには、現実性(Hm値)学、神学、生物学、物理学、その他財団の把握している異常存在への対処法となりうる情報全てが保管されます。

特別収容室内には、ベリリウム銅、テレキル合金、純水、塩酸、その他複数の金属・合金・化合物が保管されます。

特別収容室内の点検及び設備のメンテナンスは週に1度選抜職員により行われます。メンテナンス終了後、メンテナンスの関係者にはクラスA記憶処理を行います。

説明: SCP-001-JPは█████社製のアナログ式壁掛け時計です。数字や目盛りの表記はありません。分解の試みはオブジェクトの破壊耐性により失敗しています。

SCP-001-JPの秒針は最も近くにいるヒトの心拍数と同期した運針を行います。1周にかかる時間は変わらないため時刻のずれは発生せず、短針、長針に影響はありません。この挙動は電池を取り外した状態でも行われます。

SCP-001-JPと心拍が連動していたヒト(以降“SCP-001-JP-A”)に心停止が発生した場合、SCP-001-JP-Aの心機能の回復とともに、SCP-001-JPを設置した室内を除く基底現実上の存在及び非存在が全て静止します。例外として、SCP-001-JP-Aを除くヒトは壁面内部に存在していても静止します。

SCP-001-JP-Aは静止している物質を移動させることが可能ですが、移動させるには直接力を加える必要があります。そのため、家電製品や生命等のSCP-001-JPが直接供給できないエネルギーを前提としたものを作動させることはできません。また、影響範囲内の物質であっても、SCP-001-JP-Aが摂食等で栄養分として体内に取り込むことで影響範囲外になります。これはSCP-001-JP-Aから分裂した全ての細胞は同様に影響範囲外になるためで、ブライト=ザーションヒト科複製機(BZHR)等によるSCP-001-JP-Aの複製体も同様にSCP-001-JPの影響範囲外となります。

SCP-001-JPによる基底現実の静止は、動体の心拍の恒久的停止により終了します。そのため、不死者などこの条件を満たすことが出来ないヒトが動体となることはTKクラス-世界静止シナリオを誘発します。

SCP-001-JPは発見当初「ヒトの心拍数と連動する秒針を持つ時計」としてAnomalous分類され、サイト管理官の希望によりサイト-8181管理官室に設置されることとなりました。しかし、2019/03/31 23:50にサイト-8181管理官室で発見された平林サイト管理官の死体とコンピュータ内に残されたログからオブジェクトへの再調査が行われました。SCP-001-JPによる基底現実の静止が発生した原因は平林サイト管理官の急性心不全と推測されます。

その後財団忠誠度の高い職員による追加実験によって異常性の詳細が判明したため、それをもとに報告書の作成とプロトコル・ヴェルダンディの作成が行われ、オブジェクトは001-JPエントリに登録されました。

補遺1: SCP-001-JPの異常性をK-クラスシナリオ発生前に使用することで、 世界終焉を大幅に遅延し、対応の猶予とする“プロトコル・ヴェルダンディ”の作成とSCP-001-JPのThaumielクラス分類が行われました。以下はその内容です。

プロトコル・ヴェルダンディ概略

このプロトコルは、K-クラスシナリオの発生時にSCP-001-JPを使用して対処するための手順です。

プロトコル・ヴェルダンディの遂行を許可される職員は1年に2度O5評議会により選出されます。選出基準は以下の通りです。

  • 家庭を持たず、両親を亡くしている。
  • 財団に5年以上勤務している。
  • 降格処分・謹慎処分を受けたことがない。
  • 財団の保有する技術・機器に対する充分な知識がある。
  • 直近の財団忠誠度テストで高得点を記録している。
  • 異常性を持たない。

選出された職員はサイト-8101に異動となります。これにより、現在サイト-8101に存在する職員の5%はプロトコル・ヴェルダンディのため選出された職員です。K-クラスシナリオ予測時、選出職員にはこの報告書のアクセス権限が与えられるとともに、この報告書を含むプロトコル・ヴェルダンディに関連する資料全てを送信します。

以下に手順の概略を示します。詳しい情報はこちらから参照してください。

  1. サイト-8101地下室に入り、SCP-001-JPを壁面に設置し、ロッカーに保管されている薬物を自身に注射し、心停止を誘発する。
  2. 基底現実の静止を確認したら、特別収容室内に存在する物資及び資料の全てを用いて、K-クラスシナリオの回避を試みる。人員が不足している場合または自身が寿命を迎えた場合、BZHRへ皮膚膜を入れ、自身を複製する。以下は一例。
  • AK-クラス:世界終焉シナリオへの対処: 化合物ENUI-5の全世界散布、またそれに類するミームエージェントの作成。
  • CK-クラス:再構築シナリオへの対処: シャンク/アナスタサコス恒常時間溝を始めとする空間に影響を与える技術による現実の“再構築”。
  • SK-クラス:支配シフトシナリオへの対処: 静止中に全ての新支配種を終了する。
  • XK-クラス:世界終焉シナリオへの対処: 原因となる要因の破壊等での解決。

3. K-クラスシナリオの回避に成功した場合自殺する。これはBZHRによる複製体も含む。

プロトコル・ヴェルダンディは最低でもBZHRの耐用年数である200〜300年以上、K-クラスシナリオ発生の引き延ばしが可能です。



自身が死ぬことが確定していても、世界のため暗闇の中1人戦い続けることができる職員など限られている。平林管理官の最期はそれを証明したといえる。諦める事は、普通のことだ。

だが、限られていても確かに存在はするのだ。そして、選出された職員たちはそうであると信じている。

これから任務に就く全ての職員に向け、管理者の言葉を引用する。

人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない

暗闇の中で死ぬまで戦い続けよ。我々に諦める事は許されない。

- O5-1

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