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♕Meagan: よしよし。今オンラインだよ。ライブ配信は5分後に始めるね。 ♟Engelchen: ヤバイ、すっごい興奮してる! ♝KinkyQueen: 新参www ♝Schlingelin: @Engelchen ここに来るのは初めてかな? ♟Engelchen: 実はそうだよ… ♞Mr. Nr. 6669: あ~ ♞Mr. Nr. 6669: なあんてかわいんだ。 ~♡ ♝KinkyQueen: 気になることがあるんだけどさあ。 ♝KinkyQueen: @Engelchen どうやってここに来た? ♝KinkyQueen: それでここに何の期待をしてるんだ? ( ͡° ͜ʖ ͡°) ♟Engelchen: 恥ずかしいんだけど… ♞Mr. Nr. 6669: 嫌なら答えなくてもいい。kinkqueeは率直に言うのが好きなんだ。 ♟Engelchen: ええと、ここじゃ匿名だから言えるんだけど。 ♟Engelchen: 口コミだよ、それに言われてることが本当か確かめるため。 ♜6Bot: 何て言われてんだ? ♟Engelchen: 何でそんなに叫んでるの…? ♝Schlingelin: その人はいつもそんな感じの書き込みをしてるよ。無視しておいて。
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「Meagan」は緊張していた。彼女は自分を落ち着かせようとした。「あなたは前にもやったことがある。彼らはそれを気に入ってた。自分のことだけやれ」
それはあまりうまくいかなかった。「Meagan」はその瞬間身体が許す限りの深呼吸をして、カメラを調整した。
「こんにちは、少年少女、それと他の残りの人たち。私は――」「Meagan」は咳ばらいをした。彼女はただ落ち着かなければならなかった。リラックスだ。彼女は白みがかったターコイズピンク色の髪とトップスを整えるとカメラを点けた。
「こんにちは、少年少女、それと他の残りの人たち。あなたのMeaganだよ。みんなの準備ができてるといいな」
Meaganはダブルベッドの上に寝転がっていた。
みんなの準備ができてるといいな、そう言った「Meagan」は内心で呻いていた。だが彼女のファンは気にしていないようだった。分刻みで彼女のファンとのチャットが埋まっていく。
♝KinkyQueen: よっしゃあ、始まった! ♞Mr. Nr. 6669: 準備できてる。準備できてる。準備できてる! ♞Schwingerkönig: ハロー、みんな。さっきログインしたわ ♞LovataarsSklave: 血が沸騰する! ➹ ♞LovataarsSklave: サリュー、君たちも。 ♞Mr. Nr. 6669: やあ、SchwingerにSklave。 ♞Faun4ever: ハイホー、走って来たぞ ♝KinkyQueen: ほほお、いつもの容疑者が舞台に上がったな。 ÒwÓ ♝Schlingelin: @Engelchen 私が言っておきたかったのは。それは本当だ。全部! ♝Schlingelin: @Meaganは数秒で君がいつも夢見ていたものに変身する。どうやってるのかは謎だよ。でもネットの闇の一角にいるってことは、超自然的な能力かもね。 : ] ♜6Bot: 彼女はサキュバスに違いない。 ♞Faun4ever: 多分リリスそのものだ ( ͡° ͜ʖ ͡°) ♞LovataarsSklave: 冒涜だぞ! Meaganはロヴァタールの娘だ! 100パー! Ò,.,Ó ♞Mr. Nr. 6669: 1つ提案。 ♞Mr. Nr. 6669: @Engelchen は新参だから、最初に@Meaganが何に変身するのかを選ぶべきだと提案しとく。 ♝KinkyQueen: 素晴らしい提案だ。 ♞Schwingerkönig: KinkyQueenに同意。 ♞Faun4ever: 異議なし。 ^_^ ♟Engelchen: 恥ずかしいな。 ♝KinkyQueen: 何事にも初めてはある。行って来い。 ♜Einer von Nichts: FaunやSklaveが好むもの程酷くはないさ。 ♞Faun4ever: おい! ♞LovataarsSklave: その通り: おい! ♝Schlingelin: 何故か裏目に出てしまったね… ♞Mr. Nr. 6669: 今あんたにプレッシャーをかけたかったわけじゃない。どうやらイカレた提案だったみたいだ。 ♟Engelchen: いや、違う、大丈夫。 ♟Engelchen: 笑わないって約束してくれる? ♜Einer von Nichts: 宣誓する。 ^>^ ♞LovataarsSklave: 崇高なるカルキスト・イオンに誓う。 ♝Schlingelin: 絶対しない。 ♝KinkyQueen: 俺のユーザーネームを見てそれをするのか教えてくれよ? ÒwÓ ♟Engelchen: ドラウ ♞Faun4ever: うわあ、センスあるやつを見たわ。 ♞LovataarsSklave: ちょっとがっかり… ♞Mr. Nr. 6669: ドラウって何だ? ♝KinkyQueen: ダークエルフ、ドラウは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」での名前。 ♜6Bot: もうエルフって言ったのは誰だよ? お前トールキン派か? ♟Engelchen: 大胆過ぎ? ならボーイッシュでいいんだけど… ♜Einer von Nichts: よし、みんな落ち着いて。 ♜Einer von Nichts: いいな? よし。 ♜Einer von Nichts: 最後に@Meaganが何に変身するのか決めよう。
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「Meagan」は少し安心していた。彼女にはこの会話がどちらの方向へ進むのがいいのかはわからなかった。
妖精はほとんど人間で、奇抜なものではなかった。少しとんがった耳と――
「肌色は何がいい? 灰色かな、それともエキゾチックが好み?」
その度にチャットを魅了するような優雅さで、Meaganは自分の右腕を撫でた。
突然彼女は跳ね上がると、ベリーダンスのステップとねじりの動きをしながら身体を変形させた。その時、より大きくなった身体に合わせるために彼女の質量が増えた。耳は暗い銅のような色をしたセミロングの髪から飛び出す程に長くなった。不健全な健康さのあるカカオブラウンの肌を覆う服の面積が少なくなり、ブルーグレーの光沢を放っていた。
その数秒間、彼女は自分が強くて力強く、そして最早弱々しさなどないと感じた。「Meagan」は毎日そんな気持ちでいたいと思っていた。ほんの一瞬だけ、苦い終わりがくるまでそれを味わうために。
ガブリエラは目を覚ました。
彼女は昨夜のことを考えると微笑まずにはいられなかった。彼女はあの奇妙なネットワークにログインしていた。「バニラ」チャットのとあるユーザー ―ParaNora、あるいはそんな感じのニックネームだった― が言っていたのだ、モンスターや魔女、宇宙人や古代のカルトは存在すると。全ては遠くからボタンを押すだけのことだった。
彼女は勢いよくベッドから抜け出した。浴室で彼女は鏡の中の自分の笑顔を見ていた。
これが最後ではないだろう。もっと発見があるに違いない。
彼女は浴槽にお湯を注いだ。超常現象についてもっと知りたくて彼女はとてもやきもきしていた。特にあの「Meagan」について。
マヌエルは目を覚ました。
深く眠っていたはずなのに彼は疲れ果てていた。彼はただ横になって、昨夜がどうなったのかを反芻していた。彼は毎晩のようにGomorrahIsHot.layersにログインしていた。
彼は頑張ってベッドから抜け出した。浴室で彼は長い間鏡の中の自分を見ていた。その肌の染み、目の隈、憂鬱そうな目を記憶に焼き付けるように。
彼はため息を吐いた。これが最後ではないはずだ、もっとあるだろう。彼が「Meagan」を演じる数多の夜が。彼の口座も僅かに少なく思える。
彼は無理矢理笑みを浮かべた。彼は今はマヌエルだ、ミーガンではない。彼はちょっとは元気になった。チャットの人々は彼を…「Meagan」を熱愛していた。彼らにとって「Meagan」は毎回新しいことで驚かせてくれるアーティストだった。
彼は浴槽にお湯を注いだ。まずはお風呂に入る必要があった。それは彼のためになるだろうし、暗い考えを振り払ってくれるだろう。