
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
イツモシヅカニワラッテヰル
サウイフモノニ ワタシハナリタイ
── 「雨ニモマケズ」より引用
現在、PoI-1933は既に故人であり、本人に対する監視の必要はありません。しかし、PoI-1933が遺した著作は世界的に有名であり、その知名度の高さから回収もしくは隠蔽の実施は事実上不可能であると見なされています。このため、著作に関連したアノマリーの収容違反が常時発生する危険性が存在します。また、未発見の関連アノマリーが複数存在する可能性も考慮すべきです。
── 「要注意人物ファイル #1933/01」より引用
永久の未完成これ完成である
── 「農民芸術概論綱要」より引用
「PoI-1933」とは何か?簡単に言えば、財団が日本の文学界における著名作家・宮沢賢治氏をこともあろうに要注意人物に指定してしまった、その産物あるいは証明に他なりません。
PoI-1933が指定された世界において、財団は複数のアノマリーについてPoI-1933が生前執筆した文学作品と何らかの関連性を有していると認識しています。作品に登場する空想上の存在が実際に存在したり、収容されているアノマリーの一部が生前のPoI-1933と面識があったり…といった具合です。財団が「確保・収容・保護」するべきアノマリーが明らかに「作品」のモチーフとして組み込まれている。財団は強い懸念を抱いたに違いありません。なぜこのような事態が発生してしまったのか?財団はある程度の推論を立てているようですが、PoI-1933が既に故人であることもあって確かな結論は出ていないようです。
他の作家の作品においても、関連性が認められるアノマリーは例が無いわけではありませんが、PoI-1933の場合はその頻度が他の作家と比較して有意に高く、財団にとっては何も対策を行わない、という訳にはいかないものでした。財団は短くない議論の末に、既に故人であるにも関わらずPoI-1933を要注意人物として認め、PoI-1933に関連する情報やアノマリーについて研究する専用チームを立ち上げ、現在に至ります。
そんな経緯で誕生したPoI-1933が関わったと思われるアノマリーとはどのようなものなのか?財団はどのように対応していくのか?是非お楽しみ下さい。