ハンソン・ペリーと蟹肉の損失


誰にとっても金曜日は悲惨な週の終わりだったが、ハンソン・ペリーはそれをお気に召していた。
(Tales of the Mosaic – 350語)

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テッセラ

ハンソン・ペリーと蟹肉の損失

発電所の脇では毎週金曜日、終業時刻になると未使用の冷却液が配管にどっと流し込まれ、逆巻く川がコンクリート造りの堤防を決壊させ、紫色の水が通りに押し寄せていた。川の本来の流れ方とはまるっきり違うのだが、防壁の補強作業を担ってくれる者は一向に現れず、川沿いの道路は正式に放棄されていた。

一マイル圏内には誰も住んでいないことになっていたが、もちろん浮浪者や麻薬中毒者にも寝床は必要だったので、毎週金曜日の濁流は必ず一人か二人の不用心なふさぎ屋を搔っ攫って、下水管の中にねじ込んだり、排水格子に押し付けたまま溺れさせたりした。おかげで通りには水が溜まりっぱなしになり、地元の人々は半フィートほどのねばつくゴミと泥を搔き分けて歩き、月曜日の午後にようやくやって来た市職員が死体を引き上げて水抜きをするのが常だった。

誰にとっても金曜日は悲惨な週の終わりだったが、ハンソン・ペリーはそれをお気に召していた。

彼にしてみれば、川の氾濫は恵みだった。赤殻蟹たちが堤防を越えて排水管に流れ込み、寄り集まって鋏や脚をもつれさせた塊になっているので、誰でも (野宿者の死体が一つか二つあるのを気にしなければ) 簡単に捕まえられるからだ 。

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バケツ一杯の蟹は硬貨十五枚、二十枚で売れる。つまり、週末はローストビーフとクリームポテトの食事を堪能し、ジャスミンロールを添えた蜂蜜紅茶を嗜み、ネオンが白みゆく空に面して色褪せるまで、閑談しながらトレッスル通りのバーで梯子酒ができる。

やがて、目を覚まし、蟹肉の売り上げが消えているのに気付いて憮然とする日曜日。大慌てで小銭を搔き集め、どうにか乾いたパンを買って質素な夕食を済ませると、眠りの浅い夜を過ごす。そして不毛な月曜日の朝には、何の教訓も学ばず、不満を一層募らせて、死体集めに訪れた清掃班に虚しく悪態を吐くという為体であった。

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