私は黒の女王のリリー。
黒の女王のムラサキと申します。お手柔らかに。
黒魔導士のローレイ。よろしくね?
黒の女王・クリムゾンレッドだ。さっさと始めよう。
ベースライン
まず彼女を何と呼べばいいだろうか?いくつも名前があるからな。リインカーネーションの魔女、100万回死んだ少女、終末の預言者、使徒アルマ、世界因果律、死兆星の生まれ変わり、グリム・ルーパー、ミズ・K-クラス…………。随分と御大層な名前が多いのですわね。後で言及があるだろうが彼女は宗教絡みになることが多いようでな。それで崇拝されるような名前を付けられることが多かったのだ。蛇の手に彼女を紹介させたら、概観までなかなか行かなそうね?
さて、彼女の特異性についてだが主に2つある。1つ目は彼女は前世の記憶を有して別のタイムラインで産まれること。いわゆる「転生」とかいうやつか。人種も国籍も様々だが、性別は女性で固定されている。一応共通した特徴として、左手の甲に星型のあざができるみたいね?
そして2つ目の特異性。彼女は、14歳の誕生日までに必ず亡くなる。そしてその世界も滅亡する。捕捉させてくれ。「世界の滅亡」とは主にヒトと呼ばれるある星に文明を築いた種族がそれまでの文明を存続できなくなるような破壊的な効果を受けることだ。これはヒトが全滅してもいいし、地球が爆破してもいいし、タイムライン自体が消滅してもいい。財団が言うところの「K-クラスシナリオ」ってやつね?彼女が生まれるから世界が滅ぶのか、世界が滅ぶから彼女が生まれるのか。彼女が死ぬと世界が滅ぶのか、世界の滅びに際して彼女が死ぬのか。その因果律は定かではない。
必須条件
先程リリーが言ったように彼女と世界滅亡には因果関係があるが、それが必要条件か十分条件かはわからねぇ。他の必須条件はないの?特に無かったと思いますわ。彼女はあらゆるタイムラインに生まれる可能性がございましたの。
実用性
いわば彼女は"世界終焉辞典"だ。あらゆる世界の終わりを自身の目で見ている。これほどまでに世界の終わりに詳しい人物はいないだろう。後は彼女が観測されたタイムラインはもうすぐ滅ぶっていうのがわかるとかかな。まぁ向こうからコンタクトでもとってくれない限り見つけるのは困難だが。
傷つきやすさ
耐性自体は普通の少女と一緒だ。殺せば死ぬ。ただ、転生による長年の年の甲は侮れない。もはや普通の人の手で簡単に死ぬことはないだろう。倒せなくとも14歳になるまでほっとけばお陀仏ですわ!いやまぁそれはそうなんだろうが、なんというかこう……。
実例: タイムライン A-191
彼女が覚えている最も初めのタイムラインだ。ここでは「アルマ」という名前の普通の少女だった。ちなみにこの「アルマ」という名前は彼女も気に入っていたようで、他のタイムラインでも幾度か名乗っていますわ。彼女は本当に何の力も持たないただの少女だったのよね?普通に生まれて、普通に生きて、そして14歳の時、世界は終わった。大国同士の核戦争だそうだな。愚かにもこのタイムラインの人類は自ら滅びの運命を招いた。あまりに若い死だ。大人になって恋をして、みたいな普通の少女が憧れることはできず生涯を終えた。
実例: タイムライン B-011:
で、次のタイムラインですわね。最初気づいた時はさぞかし驚いたことでしょうね。死んだはずなのに全く違う世界、存じ上げない男女が自身を「ベス」と知らない名前で呼ぶのですから。そして訳も分からず自身の身の上を白状してしまった彼女の話を、このタイムラインの両親はそっくり信じたのですわ。ふーん?両親は鉄錆の果実教団と呼ばれる宗教団体に属しておりましたの。核兵器で滅んだというキャッチーな記憶持ちなんですもの。担ぎ上げられて彼女の意思もなく教団に利用される一生になりましたわ。戦争で理不尽に亡くなり、生まれ変わって新しい人生を歩めるとこであったのにこれとは同情を禁じ得ないな。最後には神格存在の召喚儀式のために生け贄にされたそうですわ。体を引き裂かれ臓物を引き摺り出されそれはそれは惨たらしい死体に。ちなみにその後、世界を救うためにと思って召喚した神格存在が暴れ出して、このタイムラインの人類は滅亡させられたみたいね?皮肉だな。
実例: タイムライン C-359:
今度は自身の記憶は決して明かさず、うまいこと普通の人生を歩もうとしたそうだ。このタイムラインの人間はちょっと特殊で他のタイムラインに比べ肉体の成長がちょっと早いんだ。だから10歳くらいの頃にはもう成長しきった姿になった。あら、喜ばしいことね?そうだな。それに思考も成長してるんだ、これまでのような死は今回は避けられると思ったかもしれねえが、やはり世界は滅びて彼女も死んだ。何があったかというと、天才科学者2人が作ったナノマシンがミスって人間を皆殺しにしたんだとさ。一応アンドロイドは生き残っているんだっけ?そうそう。まぁ普通の人間社会が滅亡してんのには変わりねぇ。
実例: タイムライン D-071:
いっそのこと自身を頂点とした宗教を作り世界を支配しようとしたときもあったようだな。14歳がリミットであるからなかなか体制を整えるまでは行かなかったようだが、このタイムラインはそれが成功したタイムラインだ。で?どうやって世界は滅んだ?異常なニンジンが無限に増殖を始めて世界を埋め尽くしたことによる。ハハッ、わけがわからねぇ。彼女の行動は別に世界滅亡と関係していないのですわよね?苦労して作った宗教がニンジンに押し潰されるのはちょっと不憫ですわ。
実例: タイムライン E-071:
諦めて自殺を繰り返した時期もあったそうですわ。このタイムラインなんか物心ついてすぐベランダへダッシュ。この数年後巨大隕石で文明崩壊するんですから世界からしたらまぁたまったもんじゃないですわ。
実例: タイムライン F-359:
このタイムラインは……侵略系の滅亡だな。寄生型の異星人が地球に襲来し、世界人類を乗っ取っていった。寄生されると目が紫色になってグロテスクな尻尾が生えてくるんだってよ。彼女は寄生される寸前にどうにかヒトとして死ぬことが出来たそうだ。
実例: タイムライン G-503:
この世界は彼女が生まれた時点で既に滅びかけ。いわば彼女が世界最後の1人だったみたいね?食料がなくなったくらいであっさり自殺したわ。
実例: タイムライン X-313:
幾度となく生まれ変わり、そして大人になれないまま死ぬ。このような呪われた自身の運命になかば諦めていたころ、彼女にとって最大の転機が訪れる。このタイムラインで、彼女はギアーズの娘として生まれるのだ。彼女もアリソンだったわけね?その通りだ。
我々もこの図書館に辿り着いた時、様々な感動があったことだろう。同時に自身の困難がありふれたものであるという絶望も。だが彼女に課された試練は多彩な黒の女王たちをおいてしても非常に稀有なものであった。とはいえ繰り返される滅びの運命に閉ざされた世界から能動的に抜け出せたこと、それだけでいかにこの図書館が輝いて見えたことか、分かるだろう。ギアーズへの思い入れが無いだろうから見てる世界は違うだろうが、確かに感動する気持ちはわかるぜ。しかし結局アリソンとしての彼女も14歳になる前に死んだ。元の世界を離れ図書館に逃げても彼女は数奇な運命により死亡するし、元の世界は終焉を迎える。けれど図書館への道を知ったことで転生後もここへ訪れることが可能になった。実は、わたくしも結構彼女にはお世話になりましたわ。彼女は死の螺旋から抜け出す方法を求め、図書館中の文献を読み漁り、いくつもの魔法を身に着け、様々な世界を歩き回り続けた。時間はいくらでもあったのだ。最初こそ世界を救うための魔法や大人へと成長する薬なんかを探していたようだが、なかなかうまくいかない。しかし最終的に彼女はとある現象の存在を知ることになる。
そして彼女は自殺を繰り返すようになった。そのタイムラインが条件を満たすかどうか確かめては、兆候がないとすぐに自殺を行う。まるでソシャゲのリセマラね?条件っていうのはなんなんだ?まずは財団が存在すること、そしてO5-4──ダニエルが極度に死を恐れるようになること。……あぁ、なるほどそういうことか。?
実例: タイムライン Z-997:
ここが最後のタイムラインだ。彼女はようやく所望の世界に辿り着いたのだ。この世界は滅ばなかったの?いやこれまでのヒトとしての在り方は完全に滅んだ。引っかかる言い方ね?彼女が14歳になる数日前、この世界では人が死ななくなった。正常なヒトはいなくなり生と云う苦しみに囚われることになったが、このタイムラインの彼女も死ななくなった。とうとう彼女は14歳を超えて生き続けるという念願を叶えたのだ。しかも彼女にとっては元々死んでも別の生が始まっていたので、死が終焉してもほとんどデメリットは無いと言っていいな。しかし……死が無くなったとはいえそれは世界が滅亡したと言っていいのか?一応文明はある程度は残っているわけだろ?それは彼女自身も賭けではあったようだが、実際はこの通りうまくいった。他のタイムラインで述べているようにヒト以外が文明を保持するものやヒトが変容するものは世界崩壊に入るようであるしな。特異性なんてRPGの設定みたいにかっちり決められたものじゃないんだからね?
私は……彼女が望んだこととはいえあの生き地獄が到達点なのは納得できませんわ。結局生き続けるのは変わらず、成長して老いて死ぬという普通の生涯を送りたいという願望は叶っていないじゃないですの。それはそうかもしれないが、悠久の時を過ごした彼女の心境を我々が推し量るのは烏滸がましいだろう。けど……。それでも気になるのなら、彼女から6兆年越しの成人祝いパーティーの招待状がちょうど来ている。行って聞いてくればどうだろうか?ま!それはめでたいことじゃございませんの!駆けつけますわよ!私も行っていいわよね?黒の女王みんな誘っていこうぜ!盛大に「記念日おめでとうございます!」って祝ってやるんだ!