仕事中のデートは厳禁
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サイト19の講堂をかねてから満たしている、冷たく容赦の無い静寂は、ステージ上をコツコツと横切る革靴の音によって破られた。

集会で良い知らせがもたらされることはまずありえない。それは複数の大規模な方針転換の通告であるか、地球上の全生命に差し迫る脅威についての通告であるか、あるいは―最悪の場合だが―O5評議会によって提起された一般職員達を"助ける"ための施策の通告であるか、これら3つのうちの1つを意味していた。

ほとんどの場合、これらは最終的に短期間の改善よりも長期間の害をもたらした。この事実はギアーズ博士がステージをゆっくりと横切っているという事実もありさらに人々を苛立たせた。

彼は歳をとった男性にありがちな、足を引き摺った歩き方をしていたが、背筋は傾くことなく真っすぐ伸びていた。

彼は演台にのぼり、事前に用意した三つ穴バインダーのノートを腕の下から取り出して開いた。
演台の端にある装置の1つを操作し、ライトを暗くした後、後ろのプロジェクターを作動させた。

「O5からの新しい通告をお知らせします。」

ギアーズは言った、彼の声は依然として平坦だった。

即座に、空気が部屋の外へ出ていったように見えた。
約600人のクソ野郎どもが拳を握り締めている、大半はあきらめから頭を低くうなだれていた。
ギアーズがプロジェクターのボタンを押すと、最初のスライドが表示された。

「これは標準的な、クラス3プラスチック製液体収容ボトルです。」

体の向きを変え、身振り手振りで壁の方を向くよう促しながら、ギアーズは話し始めた。そして再度書類を見下ろした。

「最近、これらの道具の間違った使用方法による勤務中の事故が頻発しています。我々はこれらの思い違いを正すために尽力している最中です。認可された物質ならどんなものでもこの中に収容することが出来ると、書き留めてください。正しい使い方をリストアップした業務連絡はサイト全体に通達され―」

静かな咳払いが前列から聞こえ、わずかに手が上がった。人々が座っている男性に注目する。彼らの大半は何者かがギアーズの邪魔をしたことに対するショックと、当面の施策が保留されているようだという安堵の狭間にいた。

白衣とシャツの前を正さずに、その男性は立ち上がった。

「ギアーズ博士。邪魔をしてしまい申し訳ありません。私はブリッジといいます。私は貴方に完全に明確にしてもらいたいことがあります…その…あれはただのペットボトルですよね?」

しばらくの間ギアーズの無感情な顔がブリッジを見つめた。そして、彼はゆっくりと頷いた。

「はい、ブリッジ博士。これは標準的なクラス3プラスチック製液体収容ボトルです。」

「そうですね。」

ブリッジは同意した。

「ですがそれは…ただのペットボトルです。そうでしょう?Euclidクラスの脅威を収容する特別な仕掛けも、あれのように変わったものも、何も無いでしょう?」

ギアーズは一瞬動きを止め、横を向いた。そしてブリッジの方に向き直った。

「一般的に言えば、そうです。」

「では…私たちは…ペットボトルの不適切な利用のために、ここに招集されているということですか?」

彼は続けた。

ギアーズは眉をひそめなかったが―誰もが知る限りでは一度もしたことがない―彼は近づかないと気づかない、と言われるような方法で目を細めたのであろう。

「はい。」

ギアーズは言った。

ブリッジはわずかに頷いた。

「博士、何度もすみません。ただ、ペットボトルの適切な使用法の説明の前に…不適切な使用法の説明をすることは可能ですか?」

ギアーズは再び彼のメモに目を通し、ブリッジに向き直った。

「ブリッジ博士、使用の際の適切な手順を調べることにより問題が緩和されることを保証しましょう。」

「そうですね。」

ブリッジは同意を示した。

「しかし、1つのオブジェクトの教訓としてこの事例を取り扱うのは良いことでしょう。もし私が…ええと、つまり、私の思うところでは。」

彼は言った。

「すみません。」

ギアーズは一瞬動きを止めた後、聴衆を見下ろした。

同意を示す頷きがいくつか見受けられる。数秒後、彼は全ての紙の順番を入れ替え、再び目を通した。そして何回かボタンを押した。スライドの見出しが切り替わってゆく、'適切な物質'、'満たす方法と空にする方法'、'じょうごとあなた'。
そして、彼は最後のスライドで止めた。

講堂の端のどこからか、静かな悪態が響く。

コンドラキ博士―ついさっきまで姿が見えなかったが、座席に少し沈んだ状態で座っている―はギアーズが彼に視線を向け、再びスライドに目をやったのを見て起き上がった。

「あんたらのほとんどは見たことあるだろうが…。」

コンドラキはぶつぶつ呟き、壁の方を向いた。

「さて、」

ギアーズが話を始める。

「得体の知れないオブジェクトや物質をボトルに挿入することは予期せぬ結果を招きます。とりわけ、サイズの大きすぎる物を中に入れれば後で取り除くのは至難の業でしょう。一般的なケースでは医療行為が必須となります。幸運なことに、この行為による長期的な損傷は引き起こされません。」

聴衆は居心地が悪そうに体をもぞもぞさせている。半分はとても心配しており、残り半分は笑いをこらえていた。静寂が深まり、少し経った後、ギアーズは演台のボタンを押した。

「この角度から見ると、圧力がかかっているのが分かります…」

ギアーズはもう一度ボタンを押し、話を続けた。

「そしてこの角度から見ると、腰がわずかに緊張しており、多くの医学的な懸念に繋がる可能性があることに気付くでしょう、」

ギアーズは付け加えた。

「サイト7の医療スタッフによってそのような事件に伴うリスクが説明されたパンフレットが作成されました。明日には各自、メールによってコピーを受け取ることが出来るでしょう。」

「んなこと知るかよ、ふざけんな。」

コンドラキは不平を漏らした。

「あんの野郎…」

クレフがコンドラキを軽く肘で小突く。

「まあ、今より悪くなることは無いだろ…」

彼は言った。

「そして今、」

ギアーズは話のまとめに入った。

「ここに説明が収録されたビデオがあります。もし貴方が…」

彼は目を細めメモを見た、確認のためもう一度。

「…ペットボトルにペニスを詰まらせた場合、何をするべきか。」

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