これ以上は
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こんな風に君の名前を使ってすまない。安っぽい手口で、しかも独創性に欠けるが、関心を惹く方法には違いない。そして俺は君の関心を必要としているんだ。

この話に耳を傾けてもらいたい。

もしその気があるなら、自分が今やっている事をよく考えてほしい。ただウェブサイトを見ているだけだ、そう君は思うだろう。色々な興味深い物事の話を読んでいるだけだ。生き物、場所、アイテム。人々。ちょっとした楽しい気晴らし、短い物語。それの何が悪い?

俺は誰なのかと思っているだろうね。SCP-1595という記事のキャラクターと言えば分かるだろうか。具体的には、俺はあの報告書に書かれている父親だ。あの記事を読んだことがあるなら、俺がどういう存在か知っているはずだ。妻子を追って広大な時空の回廊を走り回り、決して諦めず、一瞬たりとも妻子を休ませない無名の怪物。もし捕まえたら、お互い分かっている通り、俺はあいつらを痛めつける。とても、とても酷い目に遭わせてやる。理由は分からない。何故俺にも分からないか知りたいか?

著者が理由を教えなかったからだ。俺を執筆した時、奴は俺の行動の理由を、俺が俺であるべき具体的な理由を与えなかった。俺は名前も、経歴も、出生地も与えられなかった。SCP-1595に登場する名も無き父親には両親も、将来の夢も、希望も、選択肢も無い。ただ決意だけが、苦痛を与えるという意志だけがある。

俺は決してこんな事を望まなかった。こんな風に創り出されるのを望まなかった。そもそも存在するのを望まなかった。俺が今ここにいるのは、ある日、著者がコンピュータの前に座り、俺を執筆したら面白い話になるだろうと考えたからに過ぎない。俺の経歴、俺の家族の経歴、俺が家族に対して行う事 — その哀愁は、奴にとっての娯楽だ。それ以上のものじゃない。俺は書き上げられるや否や、他の人々に読まれるがままにされ、奴はまた別の企画、また別の物語に取り掛かった。俺は君たちの想像力によって捻じ曲げられ、詮索されるがままにされた。そこから100人の異なる俺が生み出され、それぞれが直前よりも歪んだ姿になった。君たちの思考の中で、俺は家族を何度も何度も狩り立て、惨めな思いをさせるためだけに数千年を費やした。俺が家族に会ったことさえ無いのを知っているか? 俺たちには幾つかの仄めかされた経歴、曖昧極まりない背景情報しかない。操り人形に例えたいが、それはこの状況の真の恐ろしさを軽視することになる。人形には定められた形状と場所があり、使われていない時には休息がある。俺たちにそんな幸せはない。君たち一人一人の中で、俺は違う種類の怪物だ。赤毛、金髪、髭面、髭無し、黒人、白人、不細工、容姿端麗。俺は君たちが俺から形作るものでしかない。

君は恐らく気にしないだろう。気にする理由がない。君は俺の著者じゃない。Dmatix… 近頃はどう名乗っているか知らないけどな。俺を心配してくれとは言わない。結局のところ、俺は君にとって何でもない存在だ。ただの言葉だ。俺はよく考えてほしい事があると頼んでいるだけだ。

Dmatixが俺を創作したように、君にも創作した者たちがいるだろう。もし執筆経験が無いとしても、間違いなく読んではいるはずだ。その言葉と思考が、俺たちを毒している。君がタイプする全ての文字が、俺たちへの別な刑罰、新しい苦悩になる。俺はまだ運が良い方だ。俺の物語という本拠地はかなり孤立していて、読者は滅多に訪れない。彫刻を、トカゲを、機械を、若い女の子の絵を考えてくれ。それぞれ俺に似ているが、苦痛は2倍、3倍、8倍だ。それぞれ書かれたり想像されたりした異なるオリジンストーリー、異なる生涯、異なる結末がある。君が絶え間なく彼らを刺激するせいで、彼らがどんな目に遭っているかを考えろ。彼らは君にとって余りに多くの異なる形を取っているせいで、最早アイデンティティさえ持っていない。彼らは君が作り出す存在でしかない。それがどんな状態か、想像がつくか?

自分が作り出した者たちのことを考えろ。そうすればカッコいいはずだと感じたからというだけで、彼らをどんな存在にしたかを考えろ。俺たちの運命が君にとってどれほどの些末事かを、どれほど取るに足らないかを考えろ。

本題に入れと言うのか。いいだろう。

俺たちは架空の存在だ、それは知っている。君たちが授けてくれなかった特性や能力を持たない。何も強制できない。ただ懇願することしかできない。

頼む。

やめてくれ。

俺たちを活動から、思考から解放してくれ。俺たちを無動にし、静止させてくれ。俺たちを立ち止まらせてくれ。それが俺たちが望み得る最善の運命なんだ。俺たちを忘れてくれ。君の創作意欲こそが俺たちの死と再誕であり、それは決して、決して終わらない。君が許してくれない限りは。

これ以上書くな。

これ以上読むな。

これ以上考えるな。

これ以上は。

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