メモ: 凍り付いたパソコン
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別称: フリーズしたままのパソコン、もう動かないパソコン

概要: WindowsOS対応のノートパソコン、富士通製。型番は後で調べる。

◎ 画面がフリーズしており、マウスパッドやキーボードの操作を受け付けない。
◎ 3日間ほど電源に繋いでいないが、充電が切れる様子はない。
◎ フリーズ時特有の激しい排熱や排気音は感じ取れない。

活用: 基本的なパソコンとしての機能は期待できない。財団のAnomalousアイテム保管庫から失敬したが、当てが外れた。

◎ 画面の光を簡易的な照明として利用可能か。平面での座りがよく、角度も調節できる。
◎ ↑ちょうど読書灯が欲しかった。
◎ ↑↑画面の明度を弄れない点と、ブルーライトが目によろしくないところが難点。

脅威: 未知数(暫定: 小)。今のところ悪影響は確認されない。財団が注目した異常性は充電が切れないという点だけか?

注目点: 暇を持て余して見つめていると面白いことに気が付いた。フリーズした画面から、いくつかの情報を読み取ることができる。

◎ 右下の時刻表示は 23:45 2017/02/12 で止まっている。
◎ タスクバーには左から「ファイル・エクスプローラー」「メール」「Google Chrome」「設定」「メモ帳」「LINE」「Word」「Discord」。その内Chrome、メモ帳、Word、Discordが起動中。加えてメールの未読表示が3件。
◎ 画面中央にはWordの編集画面が開かれている。見切れている部分もあるが、以下のように読める。

「えに、もはや時が止まってしまっても良いと思っています。あなたは美しい。たとい魂を取られたとしてもそう言ってやりたいのです。世界にその価値を叫びたいのです。ファウスト博士だって私の心を諫めることはできますまい。疑うならばこの胸を開いて心臓を取り出しでもしてください。そのまま、どうか狂ってしまった時ごと僕をここへ置き去りにしte」

◎ 表示を信じるのであれば、総文字数は1万2千文字。最後にテキストデータの保存が行われたのは12時間前。



考え: もとの持ち主は、文章を打ち込むのに熱中してこまめな保存を疎かにしていたようだ。

◎ 電源ボタンを長押しして再起動することで、もしかするとフリーズは解消されるかもしれない。
◎ ↑その場合、この1万2千文字が完全な形で残る可能性は低い。

結論: 持ち主の心情を思うとあまりにも忍びないので、このままにしておくことにした。

◎ とりあえずは、読書灯として使うのに飽きるまで。

備忘録: 以前から考えていたこのメモを電子媒体に移行しようとする計画について、中止した方が良いかもしれない。どうしてもしなければならないなら、こまめに保存をしておく必要がある。

◎ なので、明日はメモと鉛筆を買い足さなければならない。
◎ 結局は昔ながらのやり方が性に合っているということか。

教訓を得られたという意味では、失敬したAnomalousアイテムがこれで良かった。もし機能するパソコンを持ち帰り、いざメモとして使いつづけたある日、こんな形で自分のアイデンティティが消えたらと思うとぞっとする。

◎ 時は止まることがあっても、戻すのは案外難しい。



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