アイテム番号: SCP-857-D
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 不可能。便宜上、SCP-857-Dが顕現したと疑われる物理的存在はサイト-████にある█████博士のオフィスの施錠されたガラス張りの棚に保管しなければなりません。常時Webカメラを設置し、保安担当職員 (もしくはそのような人間) が監視しなければなりません。収容という観点からすれば、この最低限のセキュリティも無意味であるようです。施設にとどめおくのを妨げる無駄であろう試みに、尊敬に近いものを持って観察しなければなりません。█████博士のオフィスが使用されていない場合職員はWebカメラに代わりSCP-857-Dを直接視認するためにこれを役立てることができます。SCP-857-Dに関わる強迫観念にかられた人間は実体に接近する精神的特徴、つまりいわゆる「探求」を持つことに留意する必要があります。不安であるならば錬金術師に確認を求めてください。
SCP-857-Dであると疑われる物体を研究・宗教・個人的理由で使用したいと願う人間は[編集済]に申し出てください。摩擦を避けるため宗教団体は異なる日にちに予定しなければなりません。大規模な団体ならば棚を十分な収容スペースのある部屋へ移動し、活動が終了次第█████博士のオフィスへ返還することになります。SCP-857-Dは他の物理的対象物に転移するのを防ぐため常時監視されなければなりません (上記参照)。監視担当者が不審な振る舞い、体調不良、爆発あるいはそれ以外のSCP-857-Dの被曝による芳しくない影響を見せ始めた場合、その人間の遺体を撤去し最寄りの医療施設へ物理的 (そして適切ならば) 精神鑑定のために輸送します。認可されたとして、既になされているため解雇は無用です。この理由から、SCP-867-DはSCP-293から十分距離を置いてください。
SCPの担当職員他誰であれ現在SCP-857-Dの顕現したものとは別の物理的実体に顕現したと判断した場合、措置857-032によって確認しあらたな実体に置き換えなければなりません。古いSCP-857-Dは廃棄するか、研究、記念のために保管、ないしこれを要求する宗教団体・個人へ寄付することになります。記録 (補遺857-01) に様々な顕現の形態を残します。
説明: SCP-857-Dの概要は様々な宗教的結社の、主に文献による情報源から帰着したものです。SCP-857-D自体は単一の実体ではなく、現実を産み出すユング心理学的な原型であることが発見されるまでこの存在は学者たちを困らせました。SCP-857-D概念は無常であり物理的実体から実体への転移するため、その外見、挙動、所在位置に関する意見は様々な枝分かれを見せています。現在、SCP-857-Dであると主張され、それに似た挙動を示した物体はいくかありあます。それらのいくつかは時としてSCP-857-Dを顕現させていたのかもしれません。これらが将来SCP-857-Dになることがないかついてもなんら証拠がありません。 (注: このような形式で論じるには英語は多くの点で役不足ですが、このような議論の言及に役立つギリシャ語・アラム語を十分理解する財団職員は僅かです)
SCP-857-Dの顕現は特定の物体に限定されず、同時に単一の物体に限定されることもありません (確認されている範囲では)。現在のところ、盛り皿や大釜、石など、液体を蓄えたり、食べ物を供したりするための品物に顕現する傾向があります。宝石の散りばめられた水瓶のように華美なものや、石の器のような質素なものにも顕現することがあります。盛り皿や大鍋、石やさらにかけ離れたことには火柱や燃え盛る茂み、あるいは明るい光線のような白光としても顕現するため、厳密な規則はありません。[編集済]研究員は第9等科学クラスでこの特殊な顕現を観察したと主張しています。彼が正気かは議論中です。
SCP-857-Dの最初の顕現は歴史上の人物であるイエス・キリストと使徒たちが最後の晩餐で用いた盃だと広く考えられています。これはおそらくアリマタヤのヨセフの手に渡り、結果彼がSCP-857-Dの顕現した物体の最初の所有者となりました。この盃はどのようにしてか、キリストの磔刑の際にも現れ、ロンギヌスの槍 (現在はSCPとされずオーストリア、ウィーンのホーフブルク博物館に展示) による聖痕から滴る血と体液を集めることに使用されたとされています。磔刑あるいは最後の晩餐はSCP-857-Dによって発生した出来事であると考える者もいます。ユング心理学的な原型ではあるとすると、SCP-857-Dは常に存在しこれは単に最初に (ただし以下を参照) 文献に残された顕現であるだけというのがよりもっともらしいです。(ギリシャ語でより意味をなす記述であることを再掲。)
この見方はケルト、ローマ、ギリシャその他の情報源による, SCP-857-Dのさらに以前の顕現を仮定するものと対立します。その多くはSCP-857-Dの肯定的な側面を主張します。「豊穣の角 (Horn of Plenty)」「ダグダとアヌ族の大釜 (Cauldron of Plenty of Dagda and the Tribe of Anu )」そして治癒と再生 (肉体・精神両面の意味で) の根源である「聖杯」と喩えられ、個別に名称を与えられさえしています。賢者の石 (SCP-349を参照) も同様な特性を持っていますが異なる、不変の存在です。どのような形で顕現しようと、盃から飲むことで病が消えるか、不死性を得る、あるいは両方を得ることになる (次に良くない面も記します。かの漁夫王は前者を得ることなく後者のみを得たことが疑われます) か、単に安全なもの、あるいは美味で十分な量の食料ないし求めるものと近い飲み物、またはそれら全てをもたらします。欲求される効果を可能にするために汲み取ることが必要なようです。警告: 血液や血液から作られた物体を使用する環境に置かないこと。
SCP-857-Dの良くない側面について言及するものはほとんどありません (ユング心理学的な原型でシャドウを持たないことはほとんどないでしょう)。SCP-857-Dを世界規模の悪い目的で、あるいは些細な目的で使用するという試みは致命的であり、故にEuclid分類です。この状態での効果は良くて "be careful what you wish for"1 や "may you live an 'interesting' life" で描かれるようなものになり得 (つまり呪い)、最悪の場合には都市文明、惑星全土、あるいは星の大規模破壊になり得ます。映画[編集済]での描写は多くの点で不正確ですが、適切な警告となるでしょう。
SCP-857-Dはほとんどあるいはまったく条件なく (1件を除き)、必要とされたときに顕現するようです。サイト-████の施設に存在し続けているようだという事実はここで言及するには、これは祝福されているのか、偽りなのかという哲学的すぎる疑問を要します。
SCP-857-Dはかつて利用者が「治った、治ったぞ。」と叫び逃げ出した[編集済]の廃棄されたカフェテリアで発見されました。少々の努力の末、████博士により回収され試験のため安全な研究室へ移送されました。元のKeter分類は特に予算上の理由でEuclid分類へ引き下げられました。聖杯が「なくなる」ことを恐れてのことだという噂は事実ではありません。
措置 857-032: 現在のSCP-857-Dを識別する措置
数名の訓練を受けた職員 (あるいは可能で適切な者) により遠隔監視 (つまりWebカメラ) するか対爆シールドで守りつつをSCP-857を観察するために配置します。1名のやや攻撃的なDクラス被験者をSCP-857-Dに引きあわせ, (何らかの) 悪い効果を確認します。必要ならばその後始末をしてください。ここで, 悪意のある存在, 別のSCP相当の個体, Dクラス被験者に対する, 副作用を避ける何らかの顕著な霊性, あるいは被験者が盗み出したり免疫を持ったりすることは失敗を意味します。攻撃的な被験者でさらに試験を繰り返します。性的, [編集済]両方について敏感な問題のため, 強姦や幼児虐待の前科犯を被験者に用いるのは何としても避けてください。
Expose one spiritual subject to SCP-857-D and observe results. A positive outcome is about the best we have for proof of manifestation of SCP-857-D in the test object. A negative outcome may indicate a different SCP object in play or that the second subject isn't as spiritual as originally thought. Repeat if necessary.
補遺 857-001: SCP認定以降の顕現
SCP-857-Dは当初サイト-████C棟のエントランス内にある飲用冷水サーバに関する報告によって特定されました。話が広まると暴動が発生したためこの場所は非常線を張らなければならなくなり大混乱に陥りました。次にこの冷水器の水を飲んだ人物は「魔法は存在する。」ことを発見しました。数日後3階のコーヒーポットが完全な注意持続時間やその他の利益を保証する「霊薬」を出すようになりました。これは繰り返し発生しました。いくつものグラス, コーヒーカップ, さらには大晦日の際のパンチボールなどにも効果が拡大しました。これが乱闘の最中に破壊され, 現在のSCP-857-Dが特定され, 救出され警備の下試験のため研究室, █████博士のオフィスに密かに移送され安置されました。
補遺 857-001-D:
SCP-857-Dは完全に破壊されました。