SCP-2304(記録用:Automatron / オートマトン)
アイテム番号: SCP-2304
オブジェクトクラス: Euclid Safe 我らの家。ただ一つの家。巣。彼らの生育する場。
特別収容プロトコル: SCP-2304は現在の場所から移動できないため、元の場所のまま収容されています。SCP-2304-1、-2、-3は、3人の警備員からなるチームによって12時間ごとに常時監視されます。SCP-2304-4は、SCP-2304の頭蓋部分にある中型の住居に収容され、抗うつ薬の使用が許可されています。
事前承認されたひと瓶のアルコール飲料が毎月、その詳細が分からない形でSCP-2304-4に提供されます。SCP-2304-4にこれらがどこで製造されたかを決して教えてはいけません。
説明: SCP-2304は、ノルウェーの████████に所在する、部分的に地下に埋没している人間を形どった構造物です。SCP-2304の入口は地上に残っている構造物のみです。入口は壊れかけたサイロに似ており、顔の輪郭を表している落書きが全面に描かれています。内部へ続く扉は金属製で、覗き穴とノッカーが取り付けられています。覗き穴を覗くと、扉が少し開いている時でも構造物の背後にある風景が見えます。 真ではない。内側はけしてそうあったことはない。
内部は異質かつ出鱈目な建築的特徴から成り、外観が示唆するよりも遥かに広いものでした。SCP-2304内の時計は実際の日付とは関係なく、一貫して7月の日付をランダムに表示します。
階段が上方に続いているように見え、次に水平、斜め、垂直方向に分岐し、いくつかの廊下の合流点に達するまで約10メートルの長さがあります。SCP-2304内のいくつかの廊下は、蒸気通気孔を備えた金属パネルで構成されています。 廊下と連絡通路は階段と同様の特性を示し、局所的な重力場を含んでいることが示されています。
SCP-2304全域において96bpmの微かな鼓動音が聞こえます。この音の出所はまだ分かっていません。
SCP-2304-1は、SCP-2304の胸部にある小さな部屋です。外部からのマッピングにより、この部屋がヒト女性の乳腺と類似する設計であることが明らかになりました。 SCP-2304-1の天井には排出口が一つ存在し、液体の水銀が常に滲み出ています。時折、SCP-2304-1からオルゴールの音が聞こえることがあります。SCP-2304-3個体は、摂食のためにSCP-2304-1の周りに集まることが知られています。
SCP-2304-2は、地下およそ90mに位置する広い領域です。SCP-2304-2付近のエントランスホールは、著しく形状が変動的であり、移動や回転が記録されています。SCP-2304-2は成人女性の子宮に似ています。SCP-2304-2の天井には大量の電気ケーブルと生物の肉が存在し、それらから伸びている大きなガラスパイプからSCP-2304-3が産み落とされます。SCP-2304-2全域において、常に不鮮明な低い雑音やうめき声が聞こえます。
SCP-2304-3は、SCP-2304-2によって製造される様々な異なる生物であり、大抵は家庭内にありふれた物体の形をしています。SCP-2304-3は様々な金属材料で構成されており、内臓を一切欠いています。これら個体は、"口部"に付いている小さな吸引チューブを用いて摂食を行います。SCP-2304-3は知性の兆候を示さず、小さな子供のような支離滅裂な泣き声を発します。個体群はSCP-2304-2内で形成され、侵入者を見つけるためにSCP-2304の下層部を巡回します。
SCP-2304-4は、全身がケイ素と水銀の複合体で構成された男性の人型存在です。SCP-2304-4は話しかけられれば会話に応じますが、妨げられなければ一人で研究することを好みます。SCP-2304-4の技術知識は人類の現行技術とは大きくかけ離れており、未だ実証されていない複数の科学分野に関する高度に発達した知識を伴います。
補遺-1: 無人探査車はSCP-2304のマッピング任務を課され、SCP-2304-1、SCP-2304-2を目録化し、43体のSCP-2304-3を記録しました。SCP-2304全体に監視カメラが設置されました。監視カメラは、SCP-2304-4が探査車を掴み、SCP-2304-4の住処に持ち帰る様子を撮影しました。機器が損傷する前に、SCP-2304-4が探査車へ一杯のワインを差し出している様子が記録されており、これは予期せぬ出来事であったと考えられています。
補遺-2: SCP-2304-4への公式インタビューが行われました。
回答者: SCP-2304-4
質問者: ジョルジュ・ルーイク博士
前書: SCP-2304-4の食事中にインタビューが要求されました。インタビューはSCP-2304-4の住居のリビングルームで行われました。
<記録開始>
ルーイク博士: こんばんは、SCP-2304-4。座ってもいいかな?
SCP-2304-4: ああ、もちろん! 僕のことはヒューゴと呼んでくれ! (パントリーに向かう)コニャックは好きかい? ちょっと前、今朝に母が持ってきてくれたんだ!
ルーイク博士: いいや、結構。君の母親がどんな人か聞いてもいいかな?シャルドネを注いでくれないかな?
SCP-2304-4: ああ、シャルドネだね…母さんのことが聞きたいのかい?彼女は下の階に住んでるよ… あと時々僕のための食料を手に入れてくれて、通りの向こうの店からワインを持ってきてくれるんだ。はいどうぞ、ジョルジュ。通りの向こうの男がアルトワからこの素晴らしいワインを持ってきたんだ。 きっと君も気にいるよ。
ルーイク博士: ありがとう。さて、メインコースは何かな…?
SCP-2304-4: 仔羊のロースト、スイートクランベリーソース掛けとマッシュルームのソテーだよ。楽しんでくれ!母さんは僕のために材料を手に入れるのに手間取ってるんだ。だけど、彼女はやりくりして…
ルーイク博士: おお、これは美味しそうだ。さて、本題に入ろうか。君の研究はどれくらい進んでる?
SCP-2304-4: ああ!最近とても躍進的な発見をしたんだよ!あの分子配列上の42番目の分子鎖ではアマコース粒子が4個欠落していることが分かったんだ!これは素晴らしい発見だと思わないかい?だからナキシウム鎖の関連項目にメモして、一覧表に書き加えたんだ、それから… おや?置いてきぼりにしちゃったかな?
ルーイク博士: ああ、いや…まったく素晴らしい発見だということは理解しているよ。でもナキシウムの配列が何だったか忘れないようにもう一度言ってくれないかな?
SCP-2304-4: ディナーの後にメモのコピーを渡そうか… もうちょっと分かりやすくしたものを。
ルーイク博士: おお、ありがとう!デザートは何かな?
SCP-2304-4: ああ、残念だけどデザートは無いんだ。母さんが食材を手に入れられなくてね。大変な時期なんだ、君も知っていると思うけど…?
ルーイク博士: 催促してしまって申し訳ない。だけどどうして君が出かけて、自分自身で食材を手に入れないんだい?
SCP-2304-4: ああ、僕は外に出られないんだ、君も知っているように… 僕の現状が家の外に出向くことを許してくれないのさ…
ルーイク博士: それで…?
SCP-2304-4: それに、母さんは僕たちを取り囲んでいる。 母さんは僕たちを作り出す。 母さんは僕にとって世界の全てなんだ。
<記録終了>
後書: ルーイク博士はその後、住居から退出し、SCP-2304-4のメモを研究員に渡しました。 現在、利用可能な情報について分析しています。
補遺-3: SCP-2304-4への追加インタビュー。
回答者: SCP-2304-4
質問者: ジョルジュ・ルーイク博士
<記録開始>
ルーイク博士: ヒューゴ、おはよう!
SCP-2304-4: やあ、ジョルジュ。どこにいたんだい?残念だけど食べるものは何も用意出来てなくて-
ルーイク博士: 大丈夫、ここに来る前に食べたよ。顔を見せなくて申し訳なかったね、一般の科学会議があったんだよ。休暇にパリに行ってきて昨日帰ってきたところなんだ。
SCP-2304-4: パリ?
ルーイク博士: ああ、フランスの素敵な街さ!いくつか川もあって、古く美しい建物がたくさんあるんだ!私と私の妻は…
SCP-2304-4: 君の…奥さん?
ルーイク博士: 申し訳ない。本題から逸れてしまったね。君は一人で寂しかったろうに…
SCP-2304-4: ふん!そうでもないさ。母さんは大勢の仲間を作ってくれているし、時々猫に会うために下の階へ行くこともある。見知らぬ人と出会うのは良いことなんだろうとは思うけどね。写真を持ってきてくれないかな?パリや君の奥さんの…
ルーイク博士: ああ、えっと… 考えておくよ。じゃあ、もっと重要なことを…
SCP-2304-4: ああ、そうだね!僕の研究のことだね…どこにいったかな?ああ!これだ!
ルーイク博士: それは何だい?
SCP-2304-4: ある種の透明な障壁を作る方法を研究しているんだ、この家で使う用のね…これはその設計図だよ。気をつけてね、まだ母さんには見せていないんだ!
ルーイク博士: (設計図は一般的な板ガラスの窓に似ている)おお、ええと… 興味深いね。こんな革新的なものは今まで見たことないよ!
SCP-2304-4: これを使って部屋の外にある玄関が見れたんだよ!まるで母さんと一緒に外にいるみたいなんだ!こんなに素晴らしいことはないよね!
ルーイク博士: 確かに、本当に素晴らしいね。他に新しい発見はあるかい?
SCP-2304-4: 他に?ああそうだ!空間周波数に関する理論も出来上がったんだ!
ルーイク博士: 君の研究が私にとってどれほど重要なものなのか言葉に出来ないよ!ええと… 残念だけどそろそろ戻らないといけないんだ… すぐにまた訪ねるよ!
SCP-2304-4: 写真のことを忘れないでくれよ、ジョルジュ!
<記録終了>
後書: ルーイク博士はSCP-2304を退出した。SCP-2304-4住居の入り口から出た後、ルーイク博士は下の方から磁器の割れるような音が聞こえたと報告しました。SCP-2304のノートについては現在研究中です。
インタビュー終了から間もなく、SCP-2304-4はうつ病の徴候を示しました。対象はSCP-2304から外出し、フランスのパリに訪れて恋愛を体験したいという欲求を述べています。ジョルジュ・ルーイク博士は現在、インタビュー中の職業規則に反する行動やSCP-2304-4との外部についての情報共有についての審査を待っています。
補遺-4: ルーイク博士がSCP-2304の研究チームから解任された後、SCP-2304の入口で小さな紙片が発見されました。これはドアの下の隙間から差し出されたものであると推測されています。
一緒に連れて行ってくれ
補遺-5: SCP-2304へのインタビューがアナイス・ザイア博士によって予定されていました。しかし、SCP-2304-4の住居へ向かう道中で、ザイア博士はSCP-2304-3の集団によって攻撃を受けました。攻撃の間、SCP-2304-3は叫んでいるような音を発していました。ザイア博士は2名の武装警備員の支援によって救助されたものの、前腕と顔に大きな傷を負いました。その後、ザイア博士は長期的な水銀摂取の症状により死亡しました。
補遺-6: SCP-2304の入口は突如封鎖され、SCP-2304内の監視機器の通信が途絶えました。SCP-2304内へ再び立ち入る試みはこれまで成功していません。