
現在のSCP-2722の外観図。より詳細な地図作成作業が進行中です。
アイテム番号: SCP-2722
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2722が存在するL4ラグランジュポイント付近のリサージュ軌道上に、財団軌道研究施設(FORC)-04が設立されました。財団のスパイはSCP-2722が発見できるほどL4やFORC-04に近い場所を通過する全ての宇宙船がミッションのデータを適宜変更または削除することを確実にするため、全世界の宇宙計画と連絡を取ってください。前もって妨害した宇宙船が偶然SCP-2722を発見するリスクを最小化するため、職員の移動時を除いてオブジェクトのアルベドプレートが展開された状態を維持してください。地図作成の取り組みを支援するため、数基の軌道監視衛星を転用し、SCP-2722付近の軌道に再配置しました。
SCP-2722を探索および研究する目的で、軌道機動部隊(以下OTF)のOTF मा-7(”ラマの修理工”)およびOTF मा-12(”旅人”)がFORC-04に配属されました。OTF मा-12はSCP-2722の内部の地図作成と有用な銘文の分類の任務を負い、一方OTF मा-7は回収されたSCP-2722の技術の分析を請け負います。
SCP-2722-1の効果は伝染しないと考えられていますが、潜在的な拡散のリスクを最小化するためにSCP-2722やFORC-04のごく近辺を離れる全ての職員に対してクラス-C記憶処理と標準的な対抗ミームが施されることになっています。
説明: SCP-2722は部分的に完成した宇宙船であり、現在はL4ラグランジュポイント付近の軌道上に位置しています。船は現時点で全長が25.3km、最大点における幅が6kmですが、一部が未建造の状態であるため最終的な寸法は不明です。SCP-2722の外装のほとんどは伸縮性が高くアルベド値0.03の一続きのグラフェンプレートに覆われており、発見防止手段として機能しているようです。このプレートが吸収する熱をSCP-2722がどのようにして調節しているかは現時点では分かっていません。外部のプレート上にある目立った印は、未知の象形文字が使われている647m大のブロック体の文字列のみです。SCP-2722-1(後述)は通常この文字列を「正常性維持機関によって建造された船: 団結号」と翻訳します。
オブジェクトの外装上における宇宙ゴミの蓄積から、この船が最低でも1億5000万年の間現在の場所にあることが示唆されています。この軌道の安定性を維持している方法は未だ不明です。オブジェクトはいかなる大型の隕石の衝突や激突も全く受けたようにはみえませんが、湾曲プレート上に僅かながら小隕石衝突による損傷の跡があります。
SCP-2722は広範な文化、社会的存在によって建造および再建造された結果、船体の形状が「パッチワーク」のような独特の外観になったとみられています。船に取り付けられた部品の多くはモジュール性が最大に、かつ変更が容易になるように設計されており、最低でも4回船体を完全に分解して全く別の形状に組み立て直した形跡があり、再建造前のある時点で内部の凄まじい爆発によって破壊された可能性もあります。
SCP-2722の内部空間の大部分は船のメイン部分から分離されたモジュール群に覆われており、分解または改造のために準備していたと見られています。このモジュールには生活空間、武器配置、多様な種類の発電施設、推進システムが含まれ、体積は2m3のものから11km3のものまで存在しています。現在ではSCP-2722の最初の船体は、単純な固体燃料ロケットから高度に発達したキセノン推進装置まで36種類の推進システムに適合することが知られています。単独の推進システムのうち最大のものは船尾付近に搭載されている連続した8枚の重強化皿型アーマープレートで、核パルス推進ドライブの「プッシャープレート」の部品を構成しているとみられています。SCP-2722は45種類に分類される発電システムによって動いており、そのほとんどは従来型の核分裂、核融合概念の派生物です。長い年月が経過しているにも関わらず船の発電システムが持続、機能している理由は現時点では不明です。SCP-2722の技術と回収された人工物に関するより詳細な情報は文書2722-मा-7A、回収されたものを参照してください。
SCP-2722-1は、SCP-2722もしくはSCP2722のあらゆるオリジナルの部品の半径27.8km以内に持ち込まれた文字に対する人間の知覚を変化させるミーム的媒介効果です。SCP-2722-1は書かれた言語に対する理解を変化させ、SCP-2722-1の全ての人間は見せられた文章のどの箇所の意図も理解できるようになります。この効果は意味の理解までしか及びません。自身が知らない言語で書かれた単純なメッセージを見せられた被験者はメッセージの意味を正確に理解することができ、正確性は平均して95%を超えましたが、書かれた文字に対応する音素については全く理解を示しませんでした。SCP-2722-1を媒介した理解は本質的に抽象的であるため、SCP2722-1を通した文章の翻訳は各個人の土台によって変化します。
SCP-2722-1により、SCP-2722内で発見された膨大な量の文字の翻訳が可能となっています。この文字は主に表面への落書きや銘文という形で書かれています。ほとんどのメッセージは未知の部隊による探索中に残されたと見受けられ、概してSCP-2722の機械の性質と機能についての技術的な解説や説明書、あるいは総括的な勧告という形をとります。現在までに銘文は351種類の全く異なる言語と筆跡で発見され、総数はそれより遥かに多いと考えられています。長い年月が経過していることを考慮すると、どのようにして銘文が損なわれずにいるのかは不明です。
最初のブリッジまたはコントロールセンターであったと見られる場所に設置された50cm×50cmの真鍮の銘板に書かれたメッセージは特に重要なものです。このメッセージは後期シュメールの楔形文字に見た目が似た言語で書かれており、SCP-2722のかつての監督者からのものであると主張しています。メッセージはSCP-2722内で発見された彫刻画の一つです。
文書: SCP-2722 ブリッジの銘板