アイテム番号: SCP-2801
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2801はサイト-██の標準的な湿度制御型安全ロッカーに収容します。財団にとって不利な状況でSCP-2801-1が出現するリスクを最小限に抑えるため、Dクラス職員はSCP-2801の実験への参加を許可されません。SCP-2801曝露によってSCP-2801-1の対象となった事が判明している全ての職員は、SCP-2801-1出現の観測データを最大限に得るため、任務中はオーディオ/ビジュアル記録装置を常に着用してください。出現をカタログ化するため、非番中もこれらの記録装置を使用することが奨励されてはいますが、必須ではありません。SCP-2801の実験が齎す感情的な影響のため、財団カウンセラーは実験中に対応できる状態を保つ必要があり、極端な場合には少量のクラスC記憶処理薬投与が認可されています。
説明: SCP-2801は製造元と起源が不明な船乗り用の衣装箱であり、大きさは1m×0.75m×0.75mで、全体的に松材と鉄釘で構築されています。SCP-2801の内部および外部に施されたニスコーティングの化学分析結果は決定的なものではありません。SCP-2801は、上げ蓋の内側に手で彫り込まれた短い文(補遺2801-2参照)の他には識別マークを有していません。
開かれた時、SCP-2801は常に、それを開いた人物(以下は”対象者”と呼称)にとって馴染みのある、古びた非異常性の衣服で満たされた状態になります。この衣服には対象が子供時代に保有していたアイテムが付随します ― 基本的には対象者が思春期前に着用していたと思い出せるもの、あるいは友人や家族が所有しており、対象が憧れていたことを思い出せる服です。同時に複数の対象者が開いた場合、SCP-2801は過去に殆ど相互作用したことのない人々、基本的には一度も曝露経験が無い人物の衣服を出現させます。
SCP-2801を開く行為は、対象者に強い郷愁の気持ちと、子供時代のポジティブな思い出に強く関連する香りの知覚を齎します。この香りは化学的検出が不可能であり、ビャクダン・防虫剤・パンが焼ける香り・木材が燃える香りなど、対象によって変化します。SCP-2801を閉じると、衣服と香りは即座に消え、次にオブジェクトが開かれるまで存在しなくなります。香りと衣服の組み合わせは、各対象者にとって一定のものです。SCP-2801を閉じる前に破壊または改造された衣服は、対象者が次回開いた時点で元の状態に戻ります。
SCP-2801の第二の感情的影響は、アイテムが故意に破壊または改造される度に発生します。SCP-2801が直接的な人間の介入で破損した場合、破損に責任のある全職員は強烈かつ圧倒的な後悔と罪悪感に苛まれ、同時に子供時代の、うっかりあるいは故意に親しい人物を感情的に傷つけてしまった出来事を突然鮮やかに思い出します。効果は、直接SCP-2801を傷つけた人物、およびSCP-2801への損傷を齎す命令または指示を出した人物全員に現れます。影響を受けた感情の激烈さは、対象者がSCP-2801のある場所から退出すると減退していき、完全に沈静化するまでには1週間かかります。SCP-2801への損傷と看做される正確な要素は完全には理解されておらず、SCP-2801担当スタッフに齎される負の影響のため、この実験は行われるべきではありません。
SCP-2801-1は、SCP-2801を開いて、そこから生成された彼ら固有の衣服と相互作用した対象者に、異常な能力と衣服が一時的に顕現する事象を指します。SCP-2801-1事象は極端な肉体的または精神的苦痛を伴う期間に起こるものです。多くの場合は対象者の生命や生活が即時の危険に曝された際に発生し、対象者がこの危険を過ぎ去った出来事として知覚するまで持続します1。
SCP-2801-1事象中、SCP-2801を開けた時に出現したものと一致する衣服が、対象者の下に、彼らの子供時代の体つきに対するものと同じ割合のサイズおよびフィット感を有して出現します2。この衣服は、顕現が終了して消失するまでは対象者の下に残ります。
SCP-2801-1顕現を受けている間の対象者は、子供時代、自分がそうであったらと常に思い描いていたものと一致する異常な能力や資質を示します。これらの資質には、優れた感覚や肉体的強さ・超自然的な力・物品や出現した実体の操作などが含まれます。対象者は自分が思い描いた能力の性質および制御法を速やかに思い出すことを実証しており、SCP-2801-1事象の終了後にもこの記憶を保持し続けます。
補遺SCP-2801-1: SCP-2801-1顕現のサンプル:
事象# | 対象者 | 顕現に至る経緯 | 出現した衣服 | 効果 |
2801-1-27 | A█████ K█████研究員 | SCP-████の下部トンネルの探査中に落盤が発生。 | 対象者の姉が所有していた緩いピンクのゴム長靴、黄色い縁飾りと白の水玉模様入り。対象者が所有していた損傷の激しい麦藁帽子。 | 身の丈3mの生命を持つ緑のウサギの縫いぐるみが即時出現。実体は対象者に与えられた全ての指示に従い、著しい肉体的強度と耐久性を発揮した。実体は瓦礫を除去し、閉じ込められた作業員6名を解放。K█████研究員を抱きしめた後、消失した。 |
2801-1-95 | H██████ v██ G██████次席研究員 | サイト-██で、三フッ化塩素の流出とそれに続く内部換気システムの火災により、現地職員の96%が無力化された。対象は当時、環境的に密閉された音響研究室で働いていた。 | 緩い黒のプラスチック製眼鏡。レンズは無く、フレームは絶縁テープで補修されていた。 | 対象者はその場のオーディオ機器を、一時的に化学物質の酸化や腐食作用を無力化する強烈な低周波音を発するように改造することが出来た。後の分析で、装置は本質的に非機能的かつ非異常であることが判明。 |
2801-1-104 | エージェントQ███-██████ L█ | オペレーション[編集済]中にカオス・インサージェンシーの工作員と交戦状態に入り、機動部隊[データ削除]に多数の死傷者が発生。 | 透明なプラスチック製の水泳ゴーグル、対象の首に結ばれた虫食いの激しい赤と黄色のタオル、段ボールとアルミ箔で構成された角付きヘルメット。 | 対象者の声は非常に増幅されるようになり、飛んできた発射体を拳で偏向する能力を実証した。異常効果により、CIユニットは退却を余儀なくされた3。 |
2801-1-387 | エージェントB██████ E███ | SCP-████のアウトブレイクと、それに続く████-1から-78までの収容違反発生によって、エリア-██に多数の死傷者。対象者は破壊された警備詰所に、他3名のエリア-██保安チームと共に閉じ込められた。 | 1970年のブラジル代表チームと一致するサッカージャージ。背中に手縫いで”E███”の記名あり。 | 1970年のワールドカップで使用されたものと一致するサッカーボールが、対象者の足元に出現。対象者はボールの完全なコントロール能力を見せ、ボール自体には損傷を与えず、超音速と思われる速度でキックすることが出来た。対象者はサッカーボールを用いて、援軍の到着までSCP-███を遅らせることが出来た。 |
補遺SCP-2801-2:
以下の文は、SCP-2801の蓋の内側に刻まれています。擦り跡は手で彫り込まれたことを示していますが、彫り込みの年代や筆跡鑑定の結果は決定的なものではありません。
愛する我が幼子よ。私はお前に世の中が安全だ、良い所だと嘘を吐くつもりは無い。だが私は、お前の内に、それを真実にするものがあると知っている。お前の子供時代は、お前だけのものだ。それを不思議に満ちた世界へ放ち、生かしてやりなさい、そしてお前の心の中に留めておきなさい。
お前が再びそれを必要とするなら、それはお前のために現れるだろう。約束だ。
愛を込めて、祖父より