アイテム番号: SCP-3578
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3578はサイト-06-3のヒト型生物収容室に収容されます。当該収容室には、四方の壁に沿って計4台の監視カメラを配置しなければいけません。
SCP-3578を負傷させる可能性があるSCP-3578-A実例は、SCP-3578に開放創傷を生じさせないように、鎖もしくは適切な代替物を用いて物理的に拘束しなければいけません。物理的に可能であれば、SCP-3578-A実例が保持している兵器を各々のSCP-3578-A実例から押収します。
職員がSCP-3578に対して侵襲的な手術を実施することや、開放創傷を負わせることは認められていません。SCP-3578に新しい開放創傷が最低1ヶ所認められた場合、その開放創傷から新たなSCP-3578-A実例が出現するまで、職員はSCP-3578の収容室に入場してはいけません。
説明: SCP-3578は、ヨーロッパ系の若い成人男性に類似するヒト型実体です。食物や水無しでも生存可能であり、別な手段で栄養素を獲得していることが示唆されています。対象はポルトガル語とラテン語の言葉に理解の兆候を示しますが、既知の人間の言語で話すことは不可能です。
難解かつオカルト的な図像を描写した無数のタトゥーが、SCP-3578の全身に存在します。これらの中でも、視認可能なタトゥーの約10%はSCP-076-2の身体に見られるものと一致しており、30%はSCP-076-2のタトゥーに類似するものの、大きさ・向き・比率が異なっています。SCP-3578の視認可能なタトゥーの残りは、SCP-076-2の身体には確認されておらず、アラビア語の神学的・数学的なテキストからの抜粋で構成されています。
SCP-3578-Aは、SCP-3578の開放創傷から突出している人間の四肢および/または器具の総称です。生物学的なSCP-3578-A実例(つまり人間の四肢)は最終的には乾燥し、腐敗します。その後、新たなSCP-3578-A実例が出現して、乾燥した実例と入れ替わります。乾燥および腐敗の平均期間を測定する試みは進行中です。捕獲された当時のSCP-3578-A実例と、関連する創傷は以下の通りです。
- アヴィス家1の戦旗1本。SCP-3578の僧帽筋から突出している。
- 人間の左腕1本。SCP-3578の右肘から突出している。
- 機能性の無いマスケット銃の銃身5丁分と、人間の指3本。SCP-3578の胸にある8ヶ所の刺切創から突出している。
- ハルバードの穂先。SCP-3578の太腿から1本ずつ突出している。
- 人間の指10本。SCP-3578の左頬から突出している。指の位置は、左頬の傷を押し開けて出現したことを示唆している。
- カラックス型黒剣を握った人間の右腕1本。SCP-3578の股間から突出している。
放射性炭素年代測定は、SCP-3578とSCP-3578-Aが16世紀後半に起源を持つことを明らかにしました。SCP-3578-A実例が負った開放創傷は、追加のSCP-3578-A実例の成長を引き起こしません。生物学的SCP-3578-A実例のDNA分析を行ったところ、各実例はそれぞれ異なる正体不明の人間に対応しており、そのいずれもSCP-3578自身のDNAとは一致しないことが示されています。
大半のSCP-3578-A実例は、開放創傷を負わせることを狙った動き方でSCP-3578を頻繁に攻撃し、結果的に更なるSCP-3578-A実例の生成を引き起こします。SCP-3578は身体の負傷による苦痛に関して観察可能な反応を見せません。SCP-3578が負っている既知の傷の中に、致命傷と判断されるものは存在していません。加えて、SCP-3578自身の手足は自傷行為を行わず、SCP-3578-A実例群による攻撃を抑止しようとします。
SCP-3578の開放創傷に挿入された小型カメラは、傷口が視認性の低い不明な空間(暫定的に'SCP-3578-B'とする)に接続されていることを明らかにしました。当該空間は全体的に、16世紀のポルトガル王国で使用されたものと一致する武器で武装している数多くの人間で構成されています。SCP-3578-Bにおける総人口を算出する試みが進行中です。挿入されたマイクは、それぞれ異なる人物による、以下に挙げるような複数の発声を検出しました。
[ポルトガル語] サントスはもう塵に帰った。俺たちの王に呑まれてしまったんだ。
[ラテン語] 神の御意思だ! 絶望してはならぬ!
[カスティーリャ語] ムーア人どもの束縛を打倒せよ!
[ドイツ語] まだ明かりが見える! 自由になれるんだ。
[アラビア語] これは神の御業ではない! シャヤティーンの成した事である。
SCP-3578は1927/██/██、アルカザルクィビル2の郊外で発見されました。SCP-3578-A実例群によるSCP-3578への攻撃によって捕獲は容易となり、捕獲にあたっての犠牲者は出ませんでした。
当地の伝承において、SCP-3578はアルカセル・キビールの戦い3が起こったとされる領域を彷徨うグール(ghūl)だと伝えられており、また以下のような特質を持つと述べられています。
- SCP-3578は少なくとも200種類の異なる形態を有するとされている。これは、SCP-3578の身体から突き出しているSCP-3578-A実例群が様々に入れ替わっていたことが原因と推測されている。
- 初期の目撃報告において、SCP-3578は形態を変えるにあたり、吠えるような声を出すと語られていた。時間と共に咆哮についての報告は少なくなり、19世紀にはSCP-3578は全く吠える様子を見せなくなったとされる。
収容下において、SCP-3578は少しずつ財団職員に向ける敵意の低下を示しています。これは、SCP-3578-AによるSCP-3578への攻撃、並びに新たなSCP-3578-A実例の出現を両方とも防ぐための財団の試みに対する応答だと推測されています。