SCP-5497(記録用: What Never Was / 初めから存在しなかったもの)
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アイテム番号: SCP-5497

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-5497はサイト-19高リスク異常物品収容棟の標準的な保管ロッカーに収容されます。現時点では、SCP-5497の異常性の更なる実験は固く禁止されています。

説明: SCP-5497は1993年製スミス&ウェッソン・ダブルアクション回転式拳銃です。SCP-5497の異常性は、弾丸を装填し、生きた実体 (以下“対象”とする) に致命的な銃撃を加えるために使用すると発現します。対象が死亡した時点で、SCP-5497は遡及的な過去改変を行い、対象が — 通常は妊娠第3期の時点で — 自然と思しき要因による死産児になったタイムラインを新規に作成します。

経歴: 2017年8月26日のアメリカ東部標準時05:42、CK-クラス現実再構築事象が発生し、それまでの現実世界が現在のそれに置き換えられました。当該事案はIAPETUS1に駐在していた財団職員によって記録され、即座に監督評議会へと通達されました。

この変転の原因を特定することはアルファ・レベル優先事項とされ、IAPETUSデータバンクから得られた情報がレベル4クリアランス以上の全職員に配布されました。解析部門はやがて、現在の現実世界における社会的・政治的発展の、改変前の世界との類似性は推計32%であると結論付けました — 最初期の重大な相違点としては、アメリカ合衆国大統領ジョン・エドワーズが2004年の大統領予備選挙で党からの指名を得られなかった点が挙げられます。

数ヶ月間の徹底した調査の後、2つの現実の分岐点は、1998年2月5日にテキサス州アーリントン在住の29歳女性 クレメンティーン・ジェンキンスが妊娠第3期で流産したことが切っ掛けだと断定されました。

IAPETUSのデータは、改変前の世界でジェンキンス夫人が流産しておらず、息子のトーマスは19歳まで生きていたことを明らかにしました。“アーリントン・クロニクル”紙のアーカイブされたニュース記事によると、トーマス・ジェンキンスは2017年8月23日、父親が購入したダブルアクション回転式拳銃で自らの頭を銃撃し、深刻な脳損傷を負って入院していました。

現時点では、改変前の世界のトーマス・ジェンキンスは入院の3日後に死亡し、それによって現在のタイムラインが生成されたと考えられています。ジェンキンス一家が拳銃の異常性を認識していた証拠はありません。

ジェンキンス邸の調査に派遣された機動部隊パイ-9 (“シティ・スリッカーズ”) がSCP-5497を無事回収し、全ての目撃者にクラスA記憶処理が施されました。

SCP-5497の回収後間もなく、監督評議会は管理者の承認を得て、実験のための限定的なSCP-5497使用を許可しました。雌のPan troglodytes (チンパンジー) の成獣を人工授精させた後、その子供を生後1時間以内にSCP-5497で終了する計画が立案されました。

事前の予想通り、チンパンジーは妊娠第3期で流産し、IAPETUSはその数日前にごく軽微な現実再構築事象が発生したことを確認しました。SCP-5497の使用が広範囲に影響を及ぼすことから、これ以上の実験は行われていません。

補遺: 2022年1月8日、サイト-19の全域で停電が発生しました — 原因はまだ調査中です。この結果、サイト内の全ての監視カメラ及びスクラントン現実錨 (SRA) が一時的に機能停止し、多数のKeterクラスSCP指定実体が収容違反しましたが、全て (SCP-████を除く) 捕獲され、財団の収容下に戻されました。

この事件の数時間後、マカドゥー上席研究員はSCP-5497が保管ロッカーから紛失していることに気付きました。サイト-19は一時的に封鎖され、現地に居た全職員が尋問の対象となりました。サイト全域捜索でSCP-5497が回収されなかった後、監督評議会は緊急会議を開催中であり、管理者に連絡する努力が進行中だという公式声明を発表しました。

補遺-2: 同年1月12日のアメリカ東部標準時00:01、過去に前例の無い大規模なCK-クラス現実再構築事象が発生しました。当該事案をIAPETUS外部の財団職員に警告する試みは全て失敗に終わり、IAPETUS駐在職員は1月14日に国際連合・世界オカルト連合 (UNGOC) との連絡を確立しました。

改変前の現実世界との分岐点はまだ断定されていませんが、歴史的な相違は1800年代には既に確認されており、これは改変発生時に存命だった既知のどの人間の誕生よりも1世紀以上前です。

あらゆる入手可能な証拠 (歴史的記録やUNGOC職員及び政府官僚の証言を含む) は、現行タイムラインにおいてSCP財団が設立されず、超常現象の知識が19世紀初頭から広く認知されており、破壊的ないし生命を脅かす異常存在は公共社会で活動する様々な組織によって収容/破壊されていることを示唆します。

特筆すべき点として、現行タイムラインでは医学、バイオテクノロジー、宇宙旅行などの分野が格段に発達している反面、恐らくはその必要性が無いためか、記憶処理薬が開発されていません。

2つのタイムラインの分岐点はSCP-5497 (と財団にかつて収容されていた異常実体の大半) の作成に先立っているため、SCP-5497の — そして、SCPカタログに記録されたアイテムの80%の — Neutralizedへの再分類が現在検討中です。

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