アイテム番号: SCP-654
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: セクター-28の地下12階にSCP-654の生息環境が構築されています。室温はおよそ-5℃に維持し、水槽全体には海水を循環させてください。水槽外部のチャンバーの壁には断熱性複合セラミックスが敷き詰められています。
海洋生物スタッフのアールズ博士率いるセキュリティクリアランスレベル1の飼育スタッフは、8時間ずつ3交代制のシフト勤務によって給餌、診察スケジュールを維持してください。
生息地の掃除には標準的な地下担当の管理スタッフが任命され、事故に備えてアクリル樹脂製の防具が与えられます。
説明: SCP-654は、飼育員には非公式に"サンダーホーン(雷角)"と呼ばれている雄のイッカク (Monodon monoceros) です。外見において同種個体と異なる点は、既知の他のイッカクにおいては反時計回りに伸びている螺旋状の牙が、SCP-654では時計回りに伸びているという点のみです。
SCP-654に関してさらに注目すべき特有の性質は、牙の頂点から瞬間的な放電を行う能力です。放電は雷を連想させるもので大きな破裂音を伴います。あまり正確ではないものの牙は放電方向の指定が可能で、以前のSCP-654は野生下でこの能力を使用していたことを観察されています。この機構は「スティーブンス効果」と呼ばれており、これはこの効果を発見した海洋性SCPオブジェクト研究者（現在はSCP-654研究プロジェクト主任）の█████・スティーブンス博士に因むものです。この能力はタテゴトアザラシの狩猟に適応しています。SCP-654はこの種の成体に対しても大胆に攻撃を試み、その加熱調理された肉を食します。
1982年の終わりにハドソン湾の北岸で発見された際、SCP-654は浮氷との遭遇により群れからはぐれていたようです。現在のところ、ハドソン海峡から抜け出せず苛立った対象は、閉ざされた海路に道を切り開くことを試みたと推測されています。ポーラー・べア州立公園に勤務する自然保護官は「季節外れの落雷」に関して記述しており、森林火災に備えて消火に派遣されました。保護官は奇妙に溶けた広範囲の氷と3体のホッキョクグマの焼死体を発見したのみで、提出された事件報告書はセクター-28北方工作員による調査活動の引き金となりました。
湾の完全な探索が命じられ、これはSCP-654の発見まで続けられました。対象は捕獲後に直ちに鎮静され、イルカ用担架によって公園の滑走路まで空輸されました。続いて、対象は鎮静状態を維持されたままチャーター機でセクター-28まで輸送され、飼育環境の構築が完了するまで地下13階の浸水した洞窟内で飼育されました。
補遺654-A: 群れの移動
同様の変異が他の個体にも存在するかどうか確かめるために、SCP-654が所属していた群れを追跡している際、ロバートソン研究員、ジョーンズ研究員、フォート研究員はハドソン湾が群れの通常の移動経路上にないことを発見しました。恐らく浮氷との遭遇を避けるため、記録された1件の事例を除いて群れは慎重に海峡を避けていました。
補遺654-B: 負傷の範囲
長期収容の後、SCP-654の能力はこれまで数回にわたって自身を傷つける結果となっていたことから、SCP-654は自身の能力に免疫がないと判断されました。給餌に必要な僅かな時間を除き、現在のSCP-654はアールズ博士を含む全職員に対して暴力的に反応するため、背面とその周辺の深刻な火傷は治療が不可能です。封じ込めエリアへの重大な破損も報告されており、牙の切断や摘出が提案されています。
注: 野生下において、SCP-654は長距離から狩りを行うことで自身の負傷を避けていたようです。大きな封じ込め施設を提供すればこれらの問題は収束するでしょう。
- スティーブンス博士
注: スティーブンス博士の異議は記録されたが、却下された。大規模な施設の建造は、現在提供可能な資源では不可能だ。問題が継続するならば牙の摘出も考慮される。
- メンジーズ管理官
補遺654-B-1: 追跡報告
鎮静剤、イルカ用担架、小型クレーン車によってSCP-654の治療が可能となりました。獣医職員は尾鰭の下面に大きな負傷を発見しています。原因は不明ですが、自身によるものであることが疑われています。治癒が可能となるように、経腸栄養投与を伴う長期の鎮静と薬浴を提案します。
- アールズ博士
注: さらなる調査によって、尾鰭の負傷は恐らく別の歯クジラによる噛み傷であることが判明しました。このことが初期の輸送時になぜ気づかれなかったのかについては現在不明です。調査は保留されています。
- ジョーンズ研究員、フォート研究員