アイテム番号: SCP-900
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: サイト78はSCP-900の水没していないエリア全体を包含しています。その周囲は電気柵で囲まれています。各監視塔には日中は二名の狙撃手が配置され、夜間は四名となります。SCP-900-1の住居の傍にある水門は、二人の武装したエージェントが常に警備しています。配備人員は任意ないし全ての侵入者に対しクラスC記憶処置を行なう権限が与えられています。侵入者は[編集済]の警察署に身柄を引き渡されます。
説明: SCP-900はインドネシアの[編集済]州から南西███キロメートルに位置する島及びその周辺にある放棄された都市です。全体の面積は約150平方キロです。財団の考古学者達はSCP-900の成立は紀元前██████年から█████年、その崩壊は紀元前████年から████年の可能性が高いと推定しました。古代及び中世の歴史研究者達は、SCP-900の崩壊についてはトゥキディデスと聖ベーダの著作から言及出来るとしました(文書CTE5-86参照)。
SCP-900の建造物の多くは経年劣化が著しい状態です。階段の遺構、花崗岩の基礎ブロック、幾らかのアーチ道といった物が今も残っています。都市は高い石壁で三地区に分けられており、それぞれ神殿地区、市場地区、住宅地区となっていました。SCP-900の最大の建造物は神殿1であり、信仰の中心でした。それより小さい神殿(神殿2から7)はSCP-900の各地区に立ち、52のより小さい聖堂がSCP-900の壁の外に在りました。SCP-900にあった三つの門は破壊されていますが、「灰門」及び「水門」は今も残っています。灰門は見た所一般市民が使った物で、水門は港の役目を担っていました。
SCP-900の境界上では電子装置の著しい混乱があり、これは機能の損失のみに留まらず、動作停止、表示装置では歪みまたは信号増幅、等々が起こります。サイト78の3キロメートル圏内では音声装置は偶発的なホワイトノイズ信号を複数の周波数帯で途切れがちに受信します。
SCP-900-1は人間の女性の姿をしており、SCP-900の唯一の住人にして、当地の歴史についての多大な情報源です。SCP-900-1は未知の言語を話しまた書き、キップ博士とリデル調査員と協同で象形文字に対する言語表の作成を行ないました。SCP-900-1は[削除済]による強制には抵抗を示しました。SCP-900-1は如何なる状況下においてもサイト78から立ち去ろうとはしません。
SCP-900-1は[O5の指示により当項目は消去済。閲覧にはクリアランスレベル5が必要]でした。
補遺1: エージェント・ナリノの個人記録からの関連部分 ██年██月██日(記録全体についてはキップ博士に申請して下さい):
「無線上で弾けて聞こえるホワイトノイズが深まり、明らかに増大している。背景のノイズはどんな大都市でも耳にする様な物だ…[向かって]ほとんどは環境音で、でも実際その場所特有の物に思える物。大通りには雑踏の喧騒、時折は何かを運ぶ様な音。私達も一部の地域で何かを話す様な音を耳にした。もうじき、私達には理解出来る声の断片[を記録する事]が出来るだろう…」
「…毎日大きくなっている。はっきりと[私達に]聞こえる。██████の僅かばかりを訳した。主に[削除済]の事、後はほとんど軍事について喋っている。軍隊の動きだとか、そういった事だ。幾つかの中庭で訓練しているのだと聞こえる…」
「…[削除済]の銃声の様に聞こえるが、もっと深い音だ。」
補遺2: ██年██月██日、SCP-900-1はサイト78内にてサイト管理者キップ博士からインタビューを受けた。SCP-900-1はSCP-900について質問を受けた。以下のリストはキップ博士の質問に対しSCP-900-1が書いて答えた物である。翻訳及び注釈はリデル調査員が記した。
この都市の歴史を簡単に聞かせて欲しい。
かの人々(注1)のために、太陽(注2)により建てられた。 貴殿の様な他の者共は素晴らしき都市を建てられぬが故にそれを嫉んでいた。嫉みは最初は小さな諍いだった。時と共にそれは戦争へと発展した。かの人々は強かったが、他の者共の数がそれを勝った。他の者共は全ての戦いでかの人々を圧倒した。[削除済]
太陽は他の者共を呪いその目にベール(注5)を掛け、聖域へと跳躍した。海は廃虚を洗い流した。
何故ここに居るんだ?
信心足らぬ事の罰を受け続けている。どれくらいの間この都市に住んでいるんだ?
多くの満ち潮。それらを数えていない。ここを離れた事は?
無い。ここを離れる事は出来るか?
信心足らぬ事の罰を受け続けている。かつて人間は現在とは異なる外見や振る舞いをしていたのか?
その者共は生き物の皮を身に纏っていた。神を持たなかった。太陽を殺す事を欲していた。最多時で何人くらいの人々がここに住んでいたか話して貰えるか?
我ら██████名がここに居る。君はこの島に独りなのか?
我ら██████名がここに居る。都市に入植した時と今とでは周辺地域の地形に何か変化はあるか?
海は常にあった、されど都市は常には浸され(注6)なかった。我々の無線機器の受信が過去数ヶ月のそれよりも大きくなっている。説明して貰えるか?
太陽がその創造物を取り消すのだろう。(注1)「かの人々」とはSCP-900-1が属していた特定の民族グループまたは部族を指す。彼らは他の集団よりも自分達が優れているとし区別していた。
(注2)「太陽」を表す適切な訳語が見つからない。実際の意味としては「精神性と知性がもたらす、悟りの擬人化」と大まかにまとめる事が出来る。にもかかわらず「太陽」は実際の太陽に帰する、例えば物を燃やすといった特性を持つ。実際の太陽とこの象徴的な「太陽」両方が神殿1の壁に円盤の形に描かれている。
(注3)[削除済]
(注4)丁度良い訳語が思い浮かばない。「目」か「炎」のいずれかがもっともらしいが、この語はまた特定の星や短剣の円弧状の軌跡をも指すのである。
(注5)「陰」を意味すると思われる。
(注6)「曇った」を意味すると思われる。この単語を人に適用した場合は「絞め殺された」という意味になるだろう。