時間: 2017年5月27日 天気: 晴
第一回
時間: 2017年5月27日 天気: 晴
第二回、今回私はH█████をシェルター外の空き地へ埋めた。
時間: 2017年5月27日 天気: 晴
第三回、今回はP████,H█████とT████が飲み込まれるのを見た。
重複部分を省略
時間: 2017年5月27日 天気:晴
第第九百三十一回、彼女は私を愛してると言った。その後で、彼女がみ込まれるのを見た。
私は再び新たな循環を始めた。
時間:2017年5月10日 天気: 曇
第九百三十二回、今回は、循環の始まりから記録を始める。私はもう、ただの記録者にはなりたくはない。彼女を救いたい。彼女たちを救いたい。この世界を救いたい。
私は再び新たな循環を始めた。
事の起こりは、静安区のとある古墓で、属する時代が全く不明の文章記録が発見され、その後、欧州の某国で家屋が連夜消失し、ただ巨大な穴と空洞が地上に残されたことだった。この時人々が考えたのはテロの恐怖であり、そしてその後の異変は徐々に起こった。我々は怪物が何者なのかを全く知らない。ただ、ありえないことに、建物は徐々に尽く呑込まれ、呑込まれる速度は時に非常に速く、時にとても遅かった。人間が徐々に呑込まれた時は、人間の断面は血が出ず、また痛みもなく、ただこの空間から消失したかのようだった。
彼らはただ残された人類であり、私の無数の循環の中で、既に最も深く厚い友情を築き上げている友だった。機械作業博士T████、空間学博士で、我々がふざけて異世界旅行者と呼んでいるS███、成熟した、車椅子上の教授P████、そして一匹の大型犬。時空転送は私の記憶を多少混乱させる。私がなぜこれらの人々と行動を共にするのか、これらの人々の中でなぜ私が記録者なのか、私は覚えていない。毎回世界が光が呑込まれそうになる時、S███はタイムマシンを起動し、私は前回経験した5月10日に戻り、友人達に、前回、我々がどのように失敗したのかを告げるのだ。
記憶の混乱により、私は彼らへ、前回の循環以前のことを思い出させることができずなり。また、身につけて持って来られる文書もごく限られている。そして私が彼らに伝えられるのは、前回、前回、毎回、君たちがなぜか失敗したということなのだ。
語り忘れていた。これらの人々の他にも、臨床心理学博士H█████がいる。彼女は…前回の循環の最後で、私に手を伸ばした。彼女の唇が「愛している」と動くのが読めた。
その後に怪物に呑込まれて、全てが終わった。
時間: 2017年5月12日 天気: 曇
彼女の具合が悪いことが見て取れた。親しくもない人間が「前回の循環の中で、私と君は愛し合っていた」と言ってきたのだ。誰だって具合が悪くなるだろう。
その上、もし私が魅力的だったら、彼女はあの932回の循環の中で、ただ1度しか私を愛さないなどという事は無かっただろう。
私がここへ辿り着く十日前、彼らはこの世界の数少なくなった保存状態が良い建物を探し出した。―それは上海の別荘だった。
この場所で、膨大な文献と、何度も何度も見たタイムマシンを発見した。別荘の主は相対論の科学者だったのだ。あの破損した文章記録は建物の主が書いたものなのだろうか?「怪物は一切を呑込んだ、我々はあれが一体何なのかすら判らない」これは理解できる。「循環は即ち[判別不能]そのもの……」これは一体何だ?建物の主はタイムマシンをつくって、その後起動し、明王朝へ行ったのか?彼は一体どこへ行ったのだ?
時間: 2017年5月20日 天気: 雨
私が彼らとの交流を断って8日が経った。私が思い出したからだ。どうやら毎回、彼らが真相に触れたときに、全てが怪物に呑込まれるらしい。
そして怪物は、唯私一人だけを呑込まない。
彼らが非難するのを感じる。彼らにとって私はただの他人だ。以前の循環ではいつも彼らに私の知る情報を共有させ、友情を築き上げてきた。そして今、彼らの不思議で複雑な生活を、私と関わりのない人間のものとして閉め出しているのだ。
しかし、私は忘れられない。忘れられないんだ。私はH█████を抱きしめた。彼女の髪は空中に飛散し、彼女をそのたびに埋葬した。彼女のスカートは重力によって、腕と同様垂れ下がり、皮膚は生気を失って白くなった。いつも埋葬した。いつだって埋葬した。
「愛している」と彼女は言った。何故、怪物は私だけは呑み込まないんだ?
時間: 2017年5月25日 天気: 晴
この世界はまた破壊された。いつもの循環の終わりのように。
怪物の憤怒は、私の部屋の地面を囲み、次々に呑込んでいった。しかし私に対するように、彼らが何も知らなければ、怪物は彼らを呑み込まないだろう。T████とS███は既に次の循環の準備を始めた。彼らはもうタイムマシンの起動方法を知っている。本当に天才だ。こんな私のような人間が、一体どうやって彼らと友人になっていただろうか?
なぜ彼らだけは呑み込まれないのか?怪物は多くの人々を呑み込んだ、なぜ彼らだけは、真相に近づいたときにだけ呑み込まれるのだ?なぜ私だけが残るのだ?
私自身のこと、以前のことを思い出せない。私の人生は5月10日に始まって、その後5月27日になると5月10日に回帰するらしい。
時間: 2017年5月27日 天気: 晴
私はきっと理解した。
あの場面を忘れたことはない。彼女の垂れ下がった手、彼女のスカート、ある時はジーンズ、生命を失った顔色の彼女の顔、空中へ……まるで雪のように舞い散る彼女の髪。
怪物は一切を呑み込んだ。なぜ私は彼女の死体、彼らの死体を探し出せたのか?呑み込まれた人物事象は他の、時間が風のように早く流れる空間へ移り、自然老化により死亡する。しかし、私は影響を受けないらしい。
彼らに関する情報について、私はいつもおよそぼんやりとした印象を持っているが、私のことについては、空白であり、何も思い出すことができない。この日、私は何度もナイフを自分の腹に突き入れてみた、何回やっても、何も起こらなかった。私はいつもの通りで、ナイフにも何も変化はなかった。
一切を呑み込む……循環は即ち[判別不能]そのもの……
私はこの循環の中でのみ生きているのだ。怪物は時空を乱す存在であり、私は循環そのもの、つまり私は、怪物そのものなんだ。
私は理解したようだ。怪物は毎回の循環に依存し、この時空の中に存在する。だから、奴は私の友人達には最大の容赦をしていたのだ。
循環は怪物であり、循環は私であり、私は怪物なのだ。
今、私は自身をタイムマシンが保管されている部屋へ閉じ込めた。怪物が地面を呑み込んだ。部屋の外での彼らの叫び声を聞いた。私はこの機械を破壊した。
循環は終結し、怪物はもう存在しない。徐々に地面が回復するのが見えた。