クレジット
タイトル: .::Only |n Dreams—
著者: ©︎tunedtoadeadchannel
翻訳: Aoicha
査読協力: ukwhatn
原記事: .::Only |n Drea{{m}}s--
作成年: 2011
みんな、この話もキャラになりきって書いたものじゃない。前に話したこととよく似た話だ。僕の悩みを頭から追い出すための方法であって、きちんとした物語ではない。もし君が物語や、意外で面白い展開を探しているのなら、このページを見ることはおすすめしない。
長い間、何度も夢を見てきた。ほとんどは重要ではないか、少なくとも別々に話す価値があるものだった。でも、そのうちの1つが最近、僕が少し困っていると認めなければならないような重要性を帯びてきたんだ。ベッドに入る前に、僕はよくガールフレンドと電話で話をするんだ。僕達2人ともここのサイトメンバーで、ある種の不気味な心構えを共有しているからね。会話がしばしば不気味なものに向けられるのも当然だと思うよ。この時は、夜驚症について話し合っていた。
夢を見て、目覚めるまでの間のどこかでしびれた感じを経験したのは、これまでの人生でたった2回だった。彼女はそう言ってたよ。1つは別の日に話すと言っていたけど、もう1つは何だっけ?そうだ、僕の夢だ。
僕は一瞬言葉を失ったよ。ショックを受けて、それから彼女と声をそろえて話し始めて、一緒に夢の出来事を暗唱して、それから長い間黙りこくって座っていた。僕達の見た夢は最後まで同じだったんだ。ここに投稿した方がいいと言われたから。うん。誰かこの夢を見たことがある人がいたら、教えて欲しい。意味があるとは言わない。何かは分からないけど真面目な話なんだ。
まず最初に霧があった。
暗い夜、ぼんやりとした霧雨が降っていて、あたりは深い霧に覆われていた。僕の周りの通りは暗くて、前の方にある雨が降り注ぐ街灯に照らされているだけだった。少しの光はまるで反射しているように見える陰気な石畳に注がれている。しばらくの間、そこには静かな通りと暗い光以外に何もなかった。それで、まるで舞台の魔法で見えないドアから落ちてきたかのように、彼がそこに現れたんだ。高いシルクハットと長い外套のようなコートを着た1人の男が、まるでずっとそこにいたかのように、光の縁に立って、びしょ濡れの通りの上、足元の地面を見下ろしている。
大抵はここで目が覚めるんだ。
僕は命の危険を感じた人間みたいに背を向けて走り出そうとした。だけど、それに反して自分が彼に少しずつ近づいていることに気づいたんだ。足が僕の命令に逆らって動いているみたいで、安心させてくれるはずの光の輪に向かってゆっくりと引っ張られていって。ある夜、夢の中で彼が1回だけ1人でくすくす笑うのが聞こえたんだ。
彼は僕を見ている。それは確実だ。深い夜の闇の中でもお構い無しに、背の高い帽子の広いつばに隠された低い視線にもかかわらず、彼は僕の存在を完全に認識していた。背を向けたり、前に向かって歩いていくのを遅らせたりすることができないことを知っている。今すぐにでも、僕が未知と既知との敷居をまたぐとすぐに、彼は顔を上げるだろうね。
彼に顔を上げてほしくない。
ああ、誤解しないでくれよ。僕が怖がっているのは夢だけじゃない。夢なんて見ていないと言ったほうがいいかも。いつも夢を見ていることには気付いている。家のベッドで、郊外の奥地にある壁や鍵やフェンスに囲まれていることは分かってる。彼は実在しない。どういうわけか、事情を知っているとどんどん厄介になっていくんだ。
夢のこの場面には、石畳の上の、奇妙なほど静かな空洞に小雨が落ちてカタカタ言っている以外にはなんの音もない。だけど、騒音や、話し声や、得体のしれないなにかの気配を感じる。さらに近づいていくと、僕の恐怖と嫌悪感、それと不快感は最高潮に達した。彼が静かに僕を待っていたんだ。みぞおち辺りをレンチでかき回されているみたいな感じがしたよ。彼が僕の方に顔を上げ始めたとき、彼の帽子のつばがゆっくりと傾いているように見えた。
いつもそこで叫んで飛び起きちゃうんだ。
ガールフレンドの夢は僕の夢とは違うんだ、最後の部分がね。そのことを伝えておきたい。その違いは、僕にとって全体の始まりと同じくらいに悪いものだった。僕と同じように、彼女も雨にぬれた石畳の通りで、丈の高い帽子とマントを身にまとって待っている男の方へと引きずり込まれて、街灯のかすかな光を見下ろしている。でも、僕の夢と違って、男は決して彼女を見なかったらしい。
彼女の夢の中では、その人物は足元の地面にある何かを見つめている。雨が滴り落ちていて、影に隠れた長く暗い何かの束。彼女はそれを見るのを恐れて、身動きが取れなくなったらしい。夢の中では、そいつの視線じゃなくて、この束が、彼女が必死に起きあがろうとしているときに恐怖でベッドの上で身もだえさせている。彼はやっぱり、彼女がそこにいることを知っている。彼はまだ彼女が到着するのを待っていて、僕がとても恐れている視線で彼女を突き刺すんだ。でもそれは彼女が見ることができない、足元の暗いものを見ていた。もうちょっとで理解出来そうな時にいつも目が覚めてしまうらしい。
男の足元にある長くて暗い束は、人間と同じくらいの大きさだった。
本当に怖かったよ、ねえみんな?夢の中では怖くないけど、現実の世界に戻ってみると、凍りつくくらいに怖いんだよ?彼女が何を恐れているか、僕には分かる。
そうだね。分かってる。バカなことをしてるよ、本当に。そんなこと起こるはずがない。お互いを知り合う前から、長い間見てきた、2人の夢の中ではね。彼女が見るのを怖がっているやつが、僕の夢と全く関係が無いとは思えない、そうだろ?それでもだ。夢の中の人影の前の、水たまりの中に、人間サイズの何かがうつ伏せで転がってる。僕は心のどこかで、それを不思議に思ってるんだ。
その何かが自分なのかもしれないと考えてみると、ぞっとするね。
ヨーリック