概観
1982年7月19日、プロメテウス航空宇宙研究部門の社内初であるギアス交換伝達衛星、PSATセタンタは、悪魔工学回路の予期せぬ機能不全による暴走状態になりました。衛星はこの事件が発生するまで9年以上機能していましたし、さらなる干渉なしで少なくともあと10年は作動を続けると推定されていました。
流星体の衝突後、衛星に使われていた悪魔工学回路は重度の損傷を受け、いくつかの悪魔の解放とセタンタの後の機能不全を引き起こしました。
最初の修復チームがすぐに派遣されましたが、チームのメンバー数人に解放された悪魔が憑依しました。悪魔たちは解放された大量の奇跡論的エネルギーを通じて状況をさらに悪化させ続け、衛星は事実上修復不可能になりました。
オペレーション・リーウィン・ダークはセタンタのメルトダウンに由来する副産物を収容する試みと、パラテクノロジーに使われていたギアスを安全に維持する、現在継続中の試みに付けられた名称です。
ギアスとは何か?
ギアスとは、完全な実行に成功した場合、ある対象にギアスによる制限に対し反抗する能力を奪う、もしくは著しく減少させる一連の手順についての一般的な用語です。アイルランドの伝説ではギアスは単にタブーとしか描写されていませんが、現代のギアスはミーム工学と量子力学の発展により、対象の制限に対する完全な従順を現します。
ギアスは一般的に3つの部分によって成り立っています-契約、ミーム媒体、確率領域。契約それ自身がギアスの状態を規定し、確率領域をもたらし、対象をギアスに拘束するためにミーム的エージェントが使われます。契約はそのギアスに対し対象が署名するか同意することで行われます。確率領域は、対象がギアスの制限を破りにくくなるよう、対象の意識の状態を歪めます。
これらの拘束は対象の精神からのミーム媒介の除去によって取り払えます。これは契約それ自体によって行われる場合もありますし(たいてい一連の制限が実行された後に起こります)、契約に対する故意の違反による確率領域の崩壊によっても拘束が取り払われます(以下のクーフーリン症候群のセクションを見てください)。
ギアステクノロジーの歴史
ミーム工学とギアス
パラテクノロジー研究の発展した時代では、民間伝承や伝説の現実での原理の調査は一般的な慣習でした。それは結果として悪魔工学、鉱物変化学、獣への変身技術などの発見に繋がりました。同様に、アイルランドを本拠地としたラングフォードミーム研究チームはギアス現象とそうした拘束契約がどのように創造されるのかの研究を始めました-神話の背後に隠された原理を発見できずとも、彼らはそれを再現する方法を見つけました。
ギアス現象についてのいくつかの調査がアイルランドの至るところで行われましたが、最も有名で有益なのは1929年のGyffe調査旅行です。この旅行で復元された拘束素材から、ロバート・ラングフォードはこれらの素材に使われていたミーム的エージェントのリバース・エンジニアリングに成功し、1年後に"固有テクノロジーとしてのギアス-ギアス拘束のミーム的構造という"重要な論文を発表しました。
バインダー・ジェネレーション
1932年、アバ・ベリーマンは大量のミーム的エージェントを含むラングフォードの発見の一般化に成功しました。同時に、エージェントを拘束できるギアスの創造方法を開発するために、彼女は以前発見していたベリーマンミーム構造理論を使用しました。これらのミーム的エージェントの創造の潜在的な利用方法と商業的な好機を悟り、全体が拘束された1つのエージェントを構成するのに利用する曲線スケッチツールセットの特許をベリーマンは取得しました。これらのベジアー-ベリーマン曲線スケッチツールセットのは今でも販売され、世界中のミーム的ビジネスのベテランやコレクターに所有されています。
しかしながら、1939年のオカルト交戦法と第7次オカルト大戦の勃発により、ラングフォードとベリーマンの両方が、人間の精神を抽象的な概念に拘束するギアスの開発を命じられました。1940年に彼らの最初の精神-抽象拘束エージェントの開発が成功したことを受け、イギリス徴兵文書はこのエージェントを特徴づけました。それはイギリス政府に徴兵させたオカルト工作員を効果的に拘束し、その部門で潜在的に裏切る可能性を持つあらゆる工作員を殺害するものでした。
これらのベリーマン-ラングフォードエージェントの雇用文書への使用は、第7次オカルト大戦の終結と、彼らの研究の機密解除によって広範囲で実施されるようになりました。世界オカルト連合、MI666、異常事件課のような正常性維持機関は、今日でもこれらのエージェントの使用を続けている-しかしながら、財団はミーム的エージェントと複雑なギアスの間での相互作用を理由として、この問題に対する立場を部分的に和らげています。ギアスはベールプロトコルの完全さを維持するために、また別のギアスを使用していることを隠すためにも広く利用されています。
クーフーリン症候群
これらのミーム的エージェントに関係する確率領域は、思考プロセスにまつわる典型的な位相空間を制限する。これはギアスがミーム的エージェントを除去せずに破壊されたときに、確率領域、認識位相空間の制御不能な"解放"が、制御不能な神経活動を引き起こしていると考えられる。この急激かつ不規則な神経活動は、しばしば被験者に大異常発作を起こし、記憶が無意識の神経活動を妨げるミーム的エージェントを取り除こうとする際、肺全体の崩壊や心臓の不整脈の可能性をもたらす..
– "クーフーリン症候群:確率領域の崩壊とその人体の健康への影響"、アイアー、R.、ヴィヂャサガー、R.からの引用
プロメテウス研究所は初期の契約ギアスと大抵のミームテクノロジーの実行により、1965年のクーフーリン症候群の最初に記録された実例の観測に成功しました。今日でも、クーフーリン症候群は、契約ギアスを安全に実行する際の最も危険な障害の1つのままです。
クーフーリン症候群として知られる状態は、最初にキエラン・カーソンという名のプロメテウス整備労働者で観察されました。同僚は、彼が発作と筋肉の痙攣に苦しまずに働くことができなくなったと報告しました。調査により、彼は実際プロメテウスの労働中に意図せず暴露した、あるミーム的エージェントに感染していると判明しました。このミーム感染は彼の雇用契約上の条項を破ることで、意図せずに彼のギアスを破壊させました。
アイアーとヴィヂャサガーが先導した反ミーム治療を使用し、ミーム感染は取り除かれ、まもなく彼はギアス保有者となりました。症候群の後遺症の治療のために、発作の発生を妨げる別のギアスがカーソンに埋め込まれました。.
ケニグスブール・ギアス基準
クーフーリン症候群の発見後、これらの症状の治療を容易にするために、財団や世界オカルト連合、プロメテウス研究所を含む様々なオカルト団体の代理人がケニグスブールに、この問題を議論するために集まりました。これにより、ミーム保有者やギアスの創造に使用された確率領域を含むギアスについての国際的な基準の作成が決定されました。
協定により、様々に利用されるギアステクノロジーの国際的な仕様である、ケニグスブール・ギアス基準が生まれました。この仕様にはミーム保有者のタイプについてや、契約ギアスに焦点を置いた使用に適した確率領域についての詳細が書かれています。大多数の正常性維持団体はクーフーリン症候群の治療を容易にするためにこの基準を採用しています-しかしながら、指定されたミーム的エージェントの創造に必要なテクノロジーにアクセスしていない地域で、基準に対応していないギアスを見かけることは異常ではありません。
セタンタの滅亡
ギアステクノロジーに対するもっとも決定的な一撃と、今日そのテクノロジーが滅多に使用されない理由として、セタンタ事件があります。1968年、ギアスを基礎とした医療警告システムの計画が提出されました。それには、これらのギアスの創造とアップデートを管理する中央ハブ衛星が含まれていました。このシステムは脳卒中のような病状に対し迅速で確実な反応を行うことによる生存可能性の向上と、弱体化した病気による病人の人生への期待値を引き上げることが望まれていました。
セタンタは1972年5月5日に立ち上げられ、9年間このシステムの管理に成功していました。6月19日、セタンタに1つの流星体が衝突しました。流星体が高速だったことにより、衛星の無線通信アレイの無効化と、セタンタに使われている悪魔工学技術の崩壊が起こりました。
これらの悪魔工学要素の損傷により、最低でも30体の悪魔が残りの電子工学要素に解放されました。そして、衛星のさらなる損傷と、派遣された修復クルーの大多数に不慮の悪魔憑依が起こったことにより、修復作戦が困難になりました。セタンタの復元の最後の手段として、プロメテウスは衛星の管理を財団に引き渡しました。財団は境界線イニシアチブ、悪魔の大多数に対処するためにプロメテウスから派遣されたスペシャリストと協力しましたが、にも関わらず彼らは衛星施設の復元に成功しませんでした。衛星は今も財団によってSCP-kurrnuriとして収容されています。
セタンタの機能不全の結果として、セタンタによって供給されたサービスに契約していた790名以上の患者が、衛星の制御していたギアスの歪な性質によるクーフーリン症候群に陥りました。この悲劇はプロメテウス航空宇宙研究部門の評判を下げ、同様の懸念から他のいくつかの計画が放棄される結果となりました。
GOI-FORMAT: OPERATION LAPLACIAN MIDNIGHT
From: インテリジェンス・アドバイザー、機動部隊ミュー-0"マクスウェルの悪魔"
To: 作戦管理官、O5コマンド
Subject: オペレーション・ラプラシアン・ミッドナイトへのプロメテウスが提供した文書について
メンテナンスリポート 1198.301.092
日付: 05/07/82
関連するメンテナンススタッフ:
- ウィリアム・ダンバー
- ハーレイ・グリーン
- ドラスコ・クミエガ
- 財団スペシャリスト・リチャード・コワルスキ
- 財団スペシャリスト・アージュン・ジャガンナート
メンテナンス場所: PSAT セタンタ
実行されたメンテナンス: 機能不全を起こしている悪魔回路とラムダ波形アレイの交換と、悪魔存在の排除
配給装備: 悪魔工学回路を修理するのに必要なツールとラムダ波形アレイに加え、メンテナンスチームには、解放された悪魔から自衛するための以下の製品が支給されました。
1. エイドロン(EIDolon)(電気悪魔工学妨害デバイス) – エイドエロンは電磁力を操作することで、悪魔粒子と光子の相互作用による場の悪魔を妨害し、悪魔の出現を中断させるために設計されました。
2. ジェル-マン・デルタ金属刺繍スーツ(Gell-Mann Delta-metal Embroidered Suit) (1人につき1着) – 当初はエクソシストチームのために製造されました。ジェル-マン・スーツはベーダオカルト記号学から得られたいくつかの監護封印が、デルタ金属糸を使用して刺繍されています。これは皮下移植の必要なしに、全身の監護パターンを作り出します。
3. オルティズ-ハニガン・ギアス実行デバイス(Ortiz-Hannigan Geas Operation Device) – チームメンバーが悪魔の憑依に屈した場合の最後の手段として使われます。デバイスのレンズから投影される専用の微小ミーム的エージェントを通じたギアスを利用することで、悪魔の行動を止められなくとも、最低でも1名の憑依されたメンバーを行動不能にできるでしょう。
メンテナンスの結果: メンテナンスは衛星の機能復元に失敗しましたが、断続的な機能不全を妨害しました。残存していた悪魔的出現体は除去され、衛星復元のための第二次メンテナンス作戦を可能にしました。
メンテナンス・リポート: 付属した以下のファイルを見てください。
問題を調査するにつれ、もっとも賢明な行動は、実際のメンテナンスに入る前に悪魔による妨害の脅威を取り除いておくことだというのがはっきりとしてきました。セタンタとコナートのドッキングの成功後、グリーンはコナートの回路から悪魔が妨害できないというのを確実にするために、エイドロン(EIDolon)を配置しました。
解放された悪魔の総量が大量であったため、エイドロンの動力源は数分以内で停止し始めました。財団悪魔工学スペシャリストのジャガンナートは、ドッキングポートでより永続的な収容機械を作ることを提案しました。そのため、エイドロンの充電は、メンテナンス作業の大部分のために保存されました。ジャガンナートは支給品の回収後、コナートを悪魔の影響から妨げるためのタイプⅣ監房の作成に成功しました。
ダンバーとクミエガはジェル-マン・スーツの機能を試験するためにエイドロンの影響範囲にあるコナートから離れました。-監房は攻撃が継続されているにも関わらず保たれていました。グリーンは彼らの後をエイドロンとともに追いました。エイドロンはその時動力保存のために活動を停止していました。ジャガンナートも同様にダンバーとクミエガを追いましたが、コワルスキは監房の状態を監視するために後方に留まりました。
最初にニールセン(以前派遣されたメンテナンスクルーのⅠ人です)の死体と遭遇したのはクミエガでした。彼は当初ニールセンが生き返ったと考えました-しかし、悪魔がその死体の筋肉組織を制御する能力を持たず、死体の動きが不自然であったことから、クミエガは死体が悪魔に憑依されているのに気づきました。即席の手錠セットで死体を拘束した後、クミエガはラムダ・アレイを誘導し作業を始めました。
後に、交換部品の反悪魔包装の欠陥が、部品への悪魔の進入の原因だと判明しました。エイドロンの影響範囲外のラムダ・アレイはすぐに、機能不全と過負荷を起こし、最大強度でのラムダ波の放出後、崩壊しました。残りの部品も同様に損なわれていると気づくと、クミエガは作業を放棄し、クルーに衛星の悪魔工学回路を修理し始めるよう指示しました。
場に異常に高度な悪魔が存在することでダンバーのジェルーマン・スーツが故障した後、続けられていた作業は停止しました。グリーンはクミエガにエイドロンのバッテリーを機内の熱発電機にするよう指示しました。変更は実行され、グリーンが残存する悪魔を追い払うために追放の儀式を始めている間、ジャガンナートはダンバーにフィールドエクソシズムの実行を試みました。
グリーンの追放儀式は成功したにも関わらず、ジャガンナートのエクソシズムは地獄との微細な通り穴が開いたことにより中断されました。これはいくつかのパネルの自発的な燃焼と、機内の酸素の約20%の二酸化硫黄への置換を引き起こしました。さらなる現象の発生を防ぐために、クミエガとグリーンは通り穴を維持している悪魔工学回路の破壊を協力して行いました。
最終的に、クミエガとグリーンは移動不能となったダンバーとコナートに戻り、アンドックを行って大気圏再突入のプロセスを始めました。
メンテナンス費用: おおよそ2000万ドルが見積もられます。これには到着後のエクソシズム費用も含まれます。
支払いの詳細: 財団はこの費用に対し300万ドルを支払っていますが、彼らの負担の大半は、メンテナンス活動に対する人員供出を理由として放棄されます。世界オカルト連合の支払い負担は存在したままです。
署名: プロメテウス航空宇宙研究部門CEO、スコット・ランニング