皆さんが財団に来られてから、そろそろ1か月が経ちますね。研修は、そろそろ飽きてきたんじゃないですか。早く現場に出て、働きたいですか。
そうですか、大変よい心がけです。心配しなくても、来週には配属ですから。では早速研修に入りましょう。今日の研修は、これについてです。そう、拳銃ですね。皆さんエージェントには、1人1丁これをお配りします。
撃ち方は、昨日までの研修で教えたので分かると思います。しかし、銃とは非常に恐ろしい武器です。ただ撃ち方を知っているだけでは、使いこなせるという事にはなりません。今日はですね、皆さんに拳銃の正しい扱いについてお教えします。
いいですか。みだりに銃を撃ってはいけません。相手がDクラス職員であってもですよ。発砲をした場合、後で報告書が必要ですから。適切な理由なく人間を殺傷した場合は、罰せられますよ。
まあ、人を撃っちゃいけないなんてのは当たり前ですから、言わなくても皆さん分かっていると思います。問題は、異常存在に対してですね。いるんですよ。相手が異常な存在だからと言って、すぐ銃を撃っちゃう人が。
映画とかでいるでしょう、怖い顔の化け物が出てきただけで、ギャーとか叫んで銃を撃つ人。あれ最低ですよ。メン・イン・ブラックっていう映画見ました?そういう教訓のシーンがあるんですけどね。
いいですか。相手が異常な存在だというだけで、銃を撃ってはいけません。相手の顔が怖いというだけで、人を殴ってはいけませんよね。それと一緒です。
異常な存在であっても、敵対的存在とは限りませんからね。まずは観察、そして対話です。対話に失敗し、相手が敵対的な存在と分かった時点で、はじめて武力行使が許可されます。
ま、敵対的な存在は大体、人類に勝てると思うから敵対的になってる訳で、銃なんかじゃ太刀打ちできないんですけどね。私の知る限り、ただの銃で敵対的なオブジェクトが何とかなったケースはほぼありません。銃なんか撃ったって、怒らせるだけですよ。
えっ?じゃあ何で銃なんか配るのかって?とてもいい質問です。それでは、机の上の資料の1ページ目を開いて。
ははは。驚いたでしょう?私はもう慣れましたが、初めて見るとぎょっとしますよね。啓発の為、あえてこういうショッキングな写真を使っています。えー、それは生きた人間の写真です。
SCP-106に2時間ほど捕まっていただけでこうなり、この後1時間ほど、死ねませんでした。怖いですね。何をされたか、想像したくもないですね。しかし、彼が所持していた拳銃を適切に使えば、こうはならなかった。そう!自害をすれば良かったんですね。
え?相手を撃てば良かった?馬鹿言っちゃいけない、相手はSCP-106ですよ。銃なんか効きませんよ。
いいですか。財団の仕事をしていると、死ぬよりつらい目に遭う可能性は十分にあります。パンを踏んづけただけで地獄に堕ちた人もいますし、もっと理不尽な理由で、ひどい目にあった人もいます。
永遠に続く拷問なんてのも、財団の仕事をしていれば絵空事ではありません。2ページ目以降にもそういう、死んだ方がよっぽどマシな目にあった事例が紹介されています。その多くはDクラスですが、エージェントだから安全という事は全くありませんよ。皆さん、適切なタイミングで銃を使用し、自害をしてください。1つ間違えると、永遠の拷問ですよ。
という訳で、今日の研修は自害についてです。まず、これは死んだ方がマシだなと思ったら、銃を…どうしましたか皆さん、そんなに青い顔をして。え?辞めたい?