最後の遠吠え
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2017.03.10.
事件から一年がたった…昨日のようにそれを覚えている…チームは無事に働いているのか…もしこれが裏切り者のせいでなかったら…

ソスナは書くのをやめ、もう片方の手で頭を支えて、ペンに人口装具をしっかりと固定し直した。彼女は、ザリバが棒で突き刺されたときの光景を思い出した。クソ野郎のゴルスキーが、後ろから頭を擊たれたときの光景も。あいつがいくら馬鹿でもそんなことをされる筋合いはなかった。彼女は義歯をさらに噛み締めた。ペンにヒビが入り、ペンの全身に走っていった。

それを忘れることは難しいが、試してみようと思う…他のことに注目することにしよう、例えば先月、狼おn 大神 狼おとて の襲撃が起きた。

彼女はペンを壁に投げつけ、2本目のペンを取り上げ、書いた文章を塗りつぶした。

先月、マゾビアの近くで狼男の草刈りの大きな襲撃があった。奴らを大量に捕獲した。不要な奴らを殺すためのプロトコルがあるくらいにはたくさん。私はこの作戦に参加した。元助手のシュワルツ博士がリーダーだった。私は、狼男たちが哀れだった。結局の所、彼らはまだ部分的に人のようだった。

彼女はペンを置いてノートを閉じた。事件から、ちょうど一年だ。あれだけでは足りなかったとでも言うかのように、彼女は今やアノマリーの虐殺に関与することを強いられている。結局の所、GOCは破壊するだけの集団であり、我々は確保し、調査し、保護する必要がある。彼らはそう言った。上司がそう言ったのだ。みんなが。そして今は、大量に奴らを殺している。

彼女は机の肘掛け椅子から離れ、SCP-PL-169-2の入っているケージの下の棚をたどった。169-2は、格子の後ろから彼女の動向を眺めていた。169-2は自身を世話することができ、彼女はそれに食べ物をやったり、掃除をしたりする必要はなかった。そしてそれは、「観察と研究のために」もういい年確保されてる。彼女はため息をついて椅子から立ち上がり、首にかけてあるIDを手にとった。
— セクターB、フロア2… セクターB、フロア2…獣亞も― 獣亞目プロジェクト― 狼男担当者…
彼女はオフィスを出て、IDをバッジで留めて、虐殺を行うための場所へ向かった。
— セクターB-2…セクターB-2…

彼女は窓からMFOの乗り物がゲートから乗り入れるのを眺めていた。やつらは多分、狼男の一人が「やった」ときに、チームの保護をするのだろう。一週間前のように。ビャウコフスキは明日葬儀を行われることになっている。表向きの理由は、カンビノスの森での野生動物の襲撃だ。それは家族に伝えられ、公式に記されたことだった。ジョアンナ・ソスナはセクターBへ到着した。壁の色は、白地に緑の帯から、完全な白へと変わった。彼女がエレベーターに乗ると、MFOはの2人のメンバーが横の入口から廊下に出てきた。そのうちの一人は受け付けに行き、もうひとりはボタンを押してエレベーターのドアが閉まらないようにして中に入った。
— ソスナ、お互い久しぶりだな。その、アレ以来。
— 思い出させる必要はないわ。あれから一年よ。
— 早いもんだな。義手はどうだ?
— いい感じ。少し書くのに手間取るけど、慣れたわ。 — 彼女は義手を前に持っていき、手を握って、開いた。 — 感謝しているわ。これはあの一撃のせいでは-
— そのことについては話題にしないことにしよう。
瞬閒的に、ぎこちない沈黙が流れた。
— とにかく、あなたのユニットは山のエリアに割り当てられてたんじゃないの?
— 上は俺たちをシャドウハンターと交代させた。あそこの地域の狼男のせいでな。
— 私あʰここで一年働いてるけど、ハンターの部隊は見たこと無いわよ?それは実験的なプロジェクトだと-

エレベーターのベルが鳴り、開いた。灰色の壁のフロア2がソスナ博士の目に飛び込んできた。廊下には、オブジェクトの一つが収容違反した場合に備えて、保護用のロック機構が備わっていた。プロジェクト監督者の、ヤゴジンスキー博士が彼らを廊下で待っていた。ステレオタイプな博士のするようなメガネと、短い無精髭をはやした背の高い若年の弾性だった。彼のそばには、コット博士もいた。白髪で、わずかに前かがみな老人だった。
— 15分でプロジェクトを開始する。ジョアンナ博士、真実を話すときだ。
ソスナはヤゴジンスキーに興味を向けた。
— このプロジェクトは、狼男の終了が目的ではありません。すでに研究には適切な量は確保しました。これ以上は不必要です。
— 理解しているわ、博士、-
— 割り込んで話さないでください。えぇ。現在、狼男の異常性は治療が可能です。しかし、見返りとして、彼らは将来私達への「返済」が必要です。
— 彼らに準備の時間は-
— 割り込まないように言いましたが?いいえ、彼らにそれは与えられません。彼らには明確な選択肢が与えられます。殺されるか。開放か。15の実体のうち、13が私達への協力を約束しました。他の2つの実体には記憶処理をして、GPSが埋め込まれ、ポーランドの反対側に輸送されます。我々は護衛のMFOを待っている状態です。

ソスナは衝撃を受け、一瞬壁を見やった。処理?アノマリー?彼女はそんなことを聞いていたら、彼らを自由にさせただろうか?記憶処理の準備をせずに?結局の所、暴露を求めているのだ。治療自体、それをして何がしたいのだろうか?そして、それが治せるのだとしたら、全ての異常性は病気なのか?たぶん、異常な手段かなにかを使っているのだろう。ソスナは片手で頭を抱え、一歩後退した。彼女は、肩に感触を感じた。
— 博士、大丈夫ですか?
— えぇ、大丈夫。

ソスナが思考している間に、MFOの他のメンバーはすでに降りてきていた。チームはロックを通過し、コット、ソスナ、そして最後にヤグドジンスキーが続いた。彼らの前には、いくつか部屋の備わった廊下があった。博士は、部屋の一つに向かっていった。部屋の中央には、ベッドを置くための空きスペースが確保されていた。
— ジョアンナ博士、189号室へ行ってくれ。手術のために、SCP-PL-053のインスタンスをどれか選んでくれ。MFOがそいつをおくってきてくれるだろう。
— 私は手術には参加し-
— いいや。

ソスナは少し失望した様子で部屋を出て、189号室を探し始めた。廊下を歩き、目的の部屋を見つけて中に入った。彼女は、ベッドに縛られた13人を眺めた。彼らは眠っていた。彼女と一緒に、3人のMFOとウィエツコフスキーが入ってきた。ソスナはベッドの一つを指していて、長いブロンドヘアーの若い男が横たわっていた。2人のMFOが彼を連れていき、ソスナとウィエツコフスキーは一緒にベンチに座った。
なんで彼らはこのプロジェクトを秘密にしているのだろう?
噂は簡単に広まる。やつらを治せるのなら、他のやつらはどうだろう。沈黙があった。手術室から叫び声が聞こえたが、それはコットのでもヤゴジンスキーのでもなかった。それは狼の遠吠えと悲鳴の合わさったようなものだった。音はどんどん活気づいた。狼男の治癒が進むにつれ、叫び声の音はより耐え難いものになった。4時間後、手術は完了した。コット博士は血まみれの服で戻ってきた。
— 手順は正しく行われた。いまから、君は自由だ。誰かが狼男の終了の詳細について尋ねてきたら、セクターBの2階L棟は、4時間有毒ガス処理されたと答えろよ。

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