虚妄の野火に緋となり

虚妄の野火に緋となり

クレジット

タイトル: 虚妄の野火に緋となり/虚無の鈍色不在を飛べ
著者: ©︎Kota-2
作成年: 2021

OUT BREAK

祝詞は不要。庭は空。

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イラスト全体の構図は、あの赤い原野を食い破り、緋色の鳥が外に出てくる瞬間というイメージで設定しました。周囲が原野ではなく真っ黒だったり、背景に、空間にあいた穴の様な白い円を描いているのもそのためです。
緋色の鳥自体のデザインは、SCP-1500-JPにおける記述から「朱雀」と、「火の鳥（手塚治虫）」の「火の鳥」を歪めたイメージを元に、頭部や尾の部分に髪の毛の様な長い毛を生やしたものとしています。この毛は、何の動物がそうだったのかは失念しましたが、成長に伴い毛が抜け落ちたり、他の器官に変わっていくという話を聞いたことがあったので、そこから毛が生えている=幼体というイメージで採用しました。頭部や尾羽に生えている装飾のような毛は、左右でそれぞれ4つ存在します。444-JPというナンバーにかけたものです。
多少成長した姿と言えど、まだ鈍色の鳥=成体には至っていない発展途上な姿であるので、下から睨め付けるような、貪欲で邪悪なポーズを設定しています。ただし、祝詞等から感じられる神々しさや、鈍色の鳥に至った時の存在そのものの真実から、画面を傾けたり、必要以上に歪な構図にするのではなく、むしろシンメトリー気味に安定感と整合性のある構図にしています。
彩色はあまり描き込みすぎず、黒色の背景と明瞭なコントラストをつけるため、緋色の鳥は明るめの赤色でマット気味に仕上げています。
線画版。

Robinson Crusoe

認識の果。観測の末。

Continue?

最後に来たりて、最初に眠り。

Rotation

何時かの庭にて目覚めを待つ。

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非存在の存在と言う曖昧さ、神々しさ、超越性、幽玄さを表現するために、全体的に「シン・ゴジラ（庵野秀明）」ポスターの構図や「巨大不明生物」第4形態が闊歩するカット、および宗教画を参考にしています。
緋色の鳥からさらに成長、変化しているので、頭部や尾羽の毛はなくなり、装飾の様な器官になっています。この器官は、鈍色の鳥=知性の根源的サイクルであることから、DNAの二重らせん構造を参考にデザインしたものです。また、全体のデザインは「鳳凰」をイメージしていますが、必ずしも鳳凰のデザインに忠実と言うわけではなく、むしろ緋色の鳥のデザインに鳳凰のテイストを加えたという方が近いものです。非存在の虚無と言うイメージから、模様や形状を付け足したりはせず、盛り過ぎないシンプルなデザインを心掛けました。
影の表現や主線に点描を用い、だんだんとヒキの構図にしていくことで、鈍色の鳥の比較対象が消えた世界における大きさを表現することを試みました。また、描画する以上は存在を描くことになるため、非存在を非存在のまま描くことは基本的に不可能であること、透明にして背景の物体が透けているというような表現は画風と相性が悪いように感じたことから、「存在のない存在」という部分は「あまりにも大きく、また普遍的な摂理として存在しているので、それ自体を俯瞰して、しっかりと存在を認識することはできない（地球上に暮らしている我々が地球を見た時に『地面』としか認識できないように）」という解釈を用いました。なので、摂理や世界、一神教の神を描く時のように、構図は整然として落ち着きのあるものを採用し、あまり遊ばずに仕上げるとともに、4枚目までのすべてで、鈍色の鳥の全身を写さないようにしています。全身を写さない構図は安定感を欠くものですが、鈍色の鳥の大きさの表現を優先しました。また、注目してほしい部分の点描の密度（4枚目の鈍色の鳥の頭部付近等）を高めることで、粗密対比と、背景の白とインクの黒による対比を狙っています。主線部分の点描は濃度を場所によって変化させ、部分によってピントがあわないという表現を行うことで、鈍色の鳥の大きさと曖昧さを表そうと試みています。関連し、広角的構図だとすべてにピントが合ってしまい、表現と矛盾するため、全体的に望遠的な構図にしています。
1枚目と2枚目にはビル群の廃墟が写っていますが、これは、1,2枚目の段階では、まだ鈍色の鳥と大きさを比較できる残骸があり、3枚目の時点では、もう残骸すら存在していないという時間経過を表すとともに、先述の比較による大きさの認識が曖昧になっていく過程を表現しています。また、1枚目から4枚目にかけて背景も鈍色になっていくことで、1枚目の時点で存在していたビルの影の黒と鈍色の対比を、2枚目以降では無くしていくことでも、認識と比較の喪失の過程を表そうとしています。1枚目の構図が「ビルとビルの間からみえる鈍色の鳥の一部」と、特撮映画的なものになっていますが、先述の通り「シン・ゴジラ」の影響です。
報告書時点で、鈍色の鳥が闊歩しているときには既に残骸すらなくなっているとも読み取ることができますが、その通りに描写するとあまりにも絵的に寂しくなってしまうので「消えてしまう前の街が写っている」ということに演出し、画面作りの方を重視しました。
彩色は最小限に止め、色を塗るというよりも、情報量を増すために筆跡とテクスチャを載せる程度にしました。
全ての絵において「神を描く」という意識を持ち制作したので、普段とは考え方やペン入れの際の気の入り方が変わり、その影響が絵にも表れているなら良いと思います。

+ credit

SCP-444-JP-█████[アクセス不許可]
by locker
2014
http://scp-jp.wikidot.com/scp-444-jp
CC BY-SA 3.0

アクセス拒否
by locker
2018
http://scp-jp.wikidot.com/noname
CC BY-SA 3.0

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