彼女の部屋の扉が閉まった瞬間、ウィットロックはジェリマを自分の方へ引き寄せた。彼女が急いで彼のベルトのバックルを手探りすると、彼は彼女の首や肩にキスをした。彼らは衣服を後ろへ残し、もつれながらベッドルームへと行く。
彼らの間に言葉は無かった。すぐにベッドに横たわると、ジェリマはすでに汗をかき始めており、彼を引き寄せようとするウィットロックの強い力に優しく反抗した。彼はシャツを脱ぎ終える時間を稼いだ。からかいはなし。遊びはなし。時間はない。
彼が入ってきたとき、彼女は震え、両目をきつく閉じ、背を反らす。ジェリマは彼女の締め付けを感じると息を呑む。彼女がきつく彼の腕を握り締めると、すでに痛みは彼女が与える喜びと区別がつかなくなっていた。彼女は静かに、熱狂的な懸命なリズムで彼の体全てを彼女深くまで引き寄せた。ナイトスタンドが倒れその中身が床に飛び散り、開いたボトルから錠剤がこぼれ水のグラスは床のタイルで粉々になるが、どちらも気に留めなかった。
彼らの手と指は絡み合い、まるで互いを岩棚から引っ張り上げようとしているかのようにきつく閉じる。動く度に2人は揃って喘ぎ、短距離走者のように呼吸をした。ジェリマの顔は汗で輝き、ウィットロックの青白い肌には今では頬一面に赤みが射していた。
彼らは急いで始め、高速で走りぬけ、ウィットロックの唇は開き、ジェリマが彼女の内側へ来る度に深い、しゃがれたうめき声が彼女の胸から発せられ、目前のミッションの重大さは無意味となる。一瞬の間、彼らには言葉にすることのできない、底のない、咲き誇るような光の感覚しか存在しなかった。彼女はそれが彼女を燃やし、至福の苦痛の中で彼女を完全に根絶してしまうかのように思うと彼女の目は上を向き、その感情は不完全に彼女の声に似た不調和な叫びと感嘆に変換された。その瞬間以前のあらゆる存在は、彼らの体の力によって追い出され忘れられ、その体は絡まり合い、分かつことはできない。
彼らは互いに抱擁を続けた。10秒、20秒。30秒後に彼らの目は会い、それはベッドに来てから初めてのことだった。今、世界は戻り始め、部屋に保たれることを拒否し、彼らを個々の存在へと返し、再び記憶と期待を残した。
重さが戻ってきた。未来が残されていた。サラ・ウィットロックはジョナサン・ジェリマの胸に深く顔を押し付け、やるせなくすすり泣いた。ジェリマは腕で彼女を包んだ。もし言葉があったとしても、彼に言う言葉は無かった。