プロジェクト・コードネーム: Morpheus
プロジェクト番号: PRJMRF-000010
クリアランス及びファイル番号: NPF-0005742
主任研究者: トーマス・ベイリー博士
プロジェクト目標: 財団およびその行動指針に係る声明の普及と改善を目的とする、異次元上の因果律を操作するための多次元通信が可能な、クラスI 疑似オネイロス型幽体の確立 [1]
素材:
SCP-990を使用中のエージェント990-モルフェウス。
アイテム番号: SCP-990
オブジェクトクラス: Thaumiel
クリアランス指定: O5職員。選択されたレベル4以下の職員に対しては、コード:ニーズヘッグの下で開示されます。
起源世界: 財団
特別収容プロトコル: SCP-990は超宇宙業務部門の本部にて保管されます。SCP-990の使用はO5評議会において過半数の承認が得られた場合のみ許可されます。エージェント990-モルフェウスは唯一認可されているSCP-990のユーザーです。
説明: SCP-990は、ユーザー(“エージェント990-モルフェウス”と指定)の意識を、急速眼球運動(REM)を伴う睡眠状態の他者(以下、“ターゲット”)の意識に投影することを意図した装置です。SCP-990の主な設計は、破綻した世界線3513-オメガ-パープル-ズールーにおいて一般流通していた機器である“オネイロイ・アストラル・シンセサイザーv3.0”から派生したものです 。
SCP-990は、改造を施してマイクとモーションキャプチャ・グローブを取り付けたVRヘッドセットから構成されています。これらは更に、ターゲットから取得したデータを一連の画像として処理しているモニターに接続されます。名目上、ターゲットの頭皮には電極が取り付けられていますが、SCP-990はナノEEGノードと同期できるように改造されています。これにより、ナノEEGノードに接続している全ての人物をSCP-990の潜在的ターゲットとすることができます。セットアップ電源としてステムを適用した副作用により、効果範囲は多元宇宙全域において無制限であると推定されています。 [2]
ターゲットが見る夢の中で、エージェント990-モルフェウスはクラスIオネイロス型幽体の特性を宿し、ターゲットが経験するイメージおよび感覚を操作する能力を獲得します。加えて、ユーザーは本来の肉体的外見に関係なく、一貫して白人男性の姿で知覚されます。これによってエージェント990-モルフェウス本来の素性は秘匿されます。
RES-ID: nEEGn/0084 - ESOTERICS |
NANO-ELECTROENCEPHALOGRAPHIC NODES |
ナノEEGノードは複数の並行世界における財団の研究開発に基づいた最先端ナノテクノロジーから設計されており、対象に気付かれること無く、脳の電気活動を遠隔から記録することを意図しています。これらは対象の血流に注入され、脳へと送り込まれます。ナノEEGノードの存在により、対象への干渉を最小限に絞ることができます。 |
職員名: エージェント マーガレット・ナイコス (Margaret Nykos)
セキュリティクリアランス: 3/コード:ニーズヘッグ
職務: 超宇宙業務部門、諜報課、工作員
推薦状: エージェント990-モルフェウスの役割には、2つの重要な要素が必要とされている ― 忠誠と即興性だ。前者は、エージェント990-モルフェウスが指揮官からアドバイスを求めることができない状況下で全ての任務を成功裏に達成するために求められる。後者は、ノウアスフィア ― 人間の意識圏 ― と予測不能の状況に対処するために必要とされる。
エージェント ナイコスは、私の意見だが、この2つの前提条件を満たしている。財団への奉仕の中で、彼女の忠誠度は(我々の現実世界でも、マルチ-Uでの職務中も)雇用以来一貫して平均を上回っている。彼女の演劇関係の経歴と、現場における思考方法の追跡記録を考慮すれば、エージェント ナイコスはこの世界の財団に対する真実の忠誠を曝け出すことなく、クラスI疑似オネイロス型幽体としての偽装を完璧に維持することが可能だろう。
諜報工作員としてのエージェント ナイコスの功績の一部を以下に掲載する。
これら全てを念頭において、ナイコスは990-モルフェウスの分野に秀でていると期待できるだろう。
トーマス・ベイリー博士
• 予備実験のための最小20名の成人ヒト被験者(Dクラス職員)
手順:
• ナノEEGノードとの併用に対応するためのSCP-990の改造
• SCP-990とナノEEGノード間の互換性の確認
• 選択されたサイト及びエリアの供給水におけるナノEEGノードの散布
フィールドレポート:
実験サイト: アメリカ合衆国、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)本部 (宇宙8267-ベータ-イエロー-ブラヴォー)
実験期間: 西暦1979年11月6日 – 西暦1979年11月9日
手順: 訓練演習のデータを含むテープがNORADのコンピュータに挿入され、当該テープは存在しない敵対集団による核攻撃が行われた可能性をシステムに警告する。アメリカが核攻撃を受ける恐れから、NORADは報復を行い、結果としての核弾幕によってヨーロッパ、アジア、北米の大部分が政情不安定になると仮定される。
この3日前に、エージェント990-モルフェウスはSCP-990を介してエージェント██████と接触する。目的は、上記手順とその推測される余波、並びに潜在的K-クラスシナリオに繋がり得るこの事象を阻止する方法を詳細に説明することである。
余波: 実験に成功。エージェント990-モルフェウスはエージェント██████と接触し、40時間以上の対話を達成した。この後、エージェント██████は、エージェント990-モルフェウスから中継された指示を他者へ伝達することに成功。当該世界線の機動部隊ニュー-2が派遣され、不正確なテープはNORADコンピュータから除去された。イベント-990-07に続き、エージェント██████は死亡した。
エージェント990-モルフェウスは、エージェント██████が知覚するイメージや感覚を操作する能力を見せ、核爆撃を受けたモスクワ、ベルリン、北京、ソウル、イスタンブールを描写した。
加えて、エージェント990-モルフェウスは潜在的なSCP級のオブジェクトとして認知されるようになった。レベル4以下のセキュリティクリアランスに、ファイルエントリ“SCP-990”のスロットが開放された。
回答者: エージェント990-モルフェウス
質問者: トーマス・ベイリー博士
序: 以下のインタビューは、文書990-02に記載されているインタビューに続いて実施された。
<記録開始>
ベイリー博士: 君が先日接触した██████████博士が、君との間で交わしたインタビューを提出したようだ。知っての通り、内容は我々の転写と完全に一致している。
990-モルフェウス: ええ、██████████博士が写真記憶の持ち主だという噂は証明されたようですね。しかし、私は、彼について真に異常と言える点を見出せませんでした。
ベイリー博士: ならば今のところ彼は潔白だな。だがな、我々がこうして会っているのは君に話があるからなのだよ。君の返答の一部に関して問いただす必要が出てきた。
990-モルフェウス: 即興ですよ、何もかも。お忘れかもしれませんが、私がこの仕事を与えられたのはそのためのはずです。
ベイリー博士: 概ね上層部の言い分なのだ。とどのつまり、彼らは君が名前を名乗った事を、例え仮名だとしても完全には受け入れられないとしている。
990-モルフェウス: 私の正体はまだ保護されています。アバターの容姿から、彼らはまず老人を予想し、私のような人物を想起することは無いでしょう。それに、我々を逆探知することは不可能です。
ベイリー博士: 確かに。しかし評議会は、君が個人情報に相当するものを明らかにしないことを望んでいる。それが真実であろうとも、偽装であろうとも。マルチ-Uの真の目的は部外者に知られてはならんのだ、心得ておきたまえ。
990-モルフェウス: 承知しました。
ベイリー博士: それで、SCP-██████████とは何かね?
990-モルフェウス: 即興で思いついた出鱈目な番号です。カタログ上で私がアクセスできる範囲はチェックしました。SCP-██████████は存在しません。
ベイリー博士: そうだ、SCP-██████████は存在しない。
<記録終了>
補遺:
補遺PRJMRF-001: 宇宙3513-Ω-パープル-ZのIK-クラス世界文明崩壊シナリオ以降、マルチ-Uによって観測されている世界線の最大100ヶ所において、“オネイロイ・コレクティブ”という用語が出現し始めました。“オネイロイ・コレクティブ”に関する全ての目撃事例はREM睡眠中に発生しており、彼らが現在のところ無形存在であることと、現実世界の異なる位相に存在していることを示唆しています。 [3] “オネイロイ・ガーデン”との接点に係る背景調査と、要注意団体としての登録は保留されています。
補遺PRJMRF-002: SCP-990の運用中、エージェント990-モルフェウスとの接続が5分間にわたって途絶えました。この間、SCP-990には以下のメッセージが表示されました。
財団の紳士淑女の皆様
我々は、皆様がより大きな善のために我が社の製品を使用していることを理解しております。我々は、そのために我々本来の世界と物理肉体を犠牲にしたことを悔いてはおりません。結局のところ、我々は肉体を超越し、霊感のイコンと化したのです。
しかしながら我々は、皆様の組織がより大きな善のための努力において、我々を信用してくださることを願っています。皆様がご使用中の改造版テクノロジー(オネイロイ・アストラル・シンセサイザーv3.0)の取得起源を示すことが推奨されます。サービスがノンクレジットであり続ける場合、我々といたしましては、今後の使用を差し止める権利を留保せざるを得ません。
敬具、
ローレンス・ナイト
オネイロイ・コレクティブ法務部
エージェント990-モルフェウスは、SCP-990の運用中にオネイロイ・コレクティブの構成員と遭遇していないと主張しました。以降、SCP-990を使用する試みは失敗しています。プロジェクト・モルフェウスは現在休止中であり、エージェント990-モルフェウスは再割り当てされました。
補遺PRJMRF-003: プロジェクト・モルフェウスの休止にも拘らず、複数の財団工作員が、エージェント990-モルフェウスのアバターに似た実体を各々の夢で目撃したと報告しています。調査は保留中です。オネイロイ・コレクティブの関与が疑われています。
Bibliography
1. G・G・フランクリン、K・マックティリス、R・F・ロジェ、E・M・ウォーカー(1993)。“生ける夢たちと悪夢たち”、外来生物学ジャーナル、SCPエディション、32-47。
2. T・カーター、A・ピーターソン、A・シーゲル、E・シーゲル(1891)。“世界樹の解剖学”、真の財団のジャーナル、2-4。
3. A・サンチェス(1981)。“ノウアスフィアへの死者の導き”、形而上学ジャーナル、SCPエディション、123-27.
ページリビジョン: 6, 最終更新: 03 Mar 2022 00:32