名前: レオナルド・“リトル”・ミルトン
タイトル: 僕は悪い夢なのさI'm a bad dream/今日見たばかりのねThat I just had today
必要素材:
- マグナデウス級マイクロコンピュータ 1点 (所有済)
- バイナリ入力-奇跡論出力変換機 1点 (所有済)
- ラベンダーエッセンシャルオイル 500ml
- 脳波(EEG)記録システム 1点
- 雑多な電子部品 (所有済)
- ホットチョコレート カップ1杯
- ヒトの脳 1点 (所有済)
- “おやすみなさい おつきさま” 1冊
要旨:
人間の精神が情報を取り込む時、脳はこれをミーム的な影響として受け入れる。僕が編み出した手段を用いると、ミームを吸収している間の脳の分析を通して、このミーム成分を単離することが可能だ。これを精練して人間の精神に向け直すと、特定の事象を誘発できる。
そのコンセプトの証明として、この作品を考案した。
僕は睡眠誘発性刺激を受けながら、自分自身を脳波読み取り機に繋ぐ。結果として得られるデータはマイクロコンピュータで実行されるプログラムに取り込まれ、コンピュータはそれを処理して、僕を理論上無限の睡眠状態にする単一のミームに変換するだろう。僕はこのミームに我が身を曝す。
僕は永遠の休息を開始してから6時間以内にREM睡眠状態に入る。つまり、夢を見始める。その中ででありとあらゆる壮大な作業を実行できるはずだ。絵画、音楽、ダンス、全て思うがままになる。この可能性を最大限に活用するために、明晰夢の状態を実現しようと取り組んできた。
奇跡論的な出力が、僕がその時点で体験している事を半径3m以内に放送するので、近くにいる全ての人間は一緒に夢を経験できる。
このようにして、僕が展示物になる。
意図:
僕にとって、世界はどんどん退屈になっている。
具体的に何が悪いというのでもなく、ただつまらなくなっている。興味深い物事の半分は何処かに閉じ込められ、もう半分は殺されて、3番目の半分はもう昔のようなエンターテインメントを提供してくれない。
ちょっぴり話が逸れるが、僕は精神の中における芸術の可能性は無限大だと常に信じている。ところが生憎、現実世界の性質が“物理法則”とか“社会”とか“良識”という複雑な問題を付け加えるせいで、芸術家は自分たちの展望の真の可能性を実現できない。制限下の作業が如何に素晴らしい作品を生み出すかは理解できるけれど、僕はこの現実世界で自分ができる事に飽き飽きしてしまった。けれど、夢という無限大の自由の中ならどうだ?
というわけで、今回の企画案。ぶっちゃけ誰も損しないと思うよ。僕は夢がもたらす無限の可能性の中で生きることができるし、大衆は人間の脳に出力可能な最も生々しくて純粋な創造性に関わることができる。おまけに、僕は自分の研究を、未来の芸術の追求者たちが自由に使えるように取り計らっている。僕自身が利用することはまず無いだろう。
展示物となった僕は大切に扱われるだろうという確信がある。目を覚ます予定は立ててないから、好きなだけ長く鑑賞してくれ。
ただ、展示には警告表示を付けるべきかもしれない。僕はかなり頻繁に悪夢を見るからね。