企画案2014-512(仮): "パンドーラーの声"
rating: +32+x
blank.png

名前: アルテュール・ベルジュロー

タイトル: パンドーラーの声

必要素材:

  • オルゴール筐体 (銅ベリリウム合金製、10 cm×10 cm×10 cm) 1個
  • 上書き可能なオルゴール機構 1個
  • 深さが4 m以上の泥沼 1個
  • コンピュータ基盤 1枚
  • 建築資材や建築設備のミニチュア 複数
  • 人間のミニチュア 複数
  • 音声の録音および編集機器

要旨: "パンドーラーの声"は蓋が開いた箱状のオルゴールと、周囲を取り囲む底なし沼から構成される。オルゴール筐体の内部にはオルゴール機構の他にコンピュータ基盤と建築に必要な道具のミニチュアなどを入れ、筐体の外には働く人間を並べる。オルゴールからはリヒャルト・シュトラウスの『メタモルフォーゼン』が流れ、聴取したものはこのオルゴールの箱を称賛し始める。人々は箱に群がるが周囲の底なし沼に阻まれるため、到達することなく沈んでいく。オルゴールは、沼に捉われながらも箱に熱狂的な喝采を送る人々の声を録音し、その音声を元の曲に重ねて演奏を続ける。十分な量の人々の音声が収集された後、オルゴールの蓋は閉められ"パンドーラーの声"は完成に至る。

意図: この作品は実験音楽の作成とその作成に至る副次的な人間の滑稽さを楽しむパフォーマンスアートです。『メタモルフォーゼン』という嘆きの音楽は、筐体を褒めそやす希望にあふれた声で次第に埋もれてゆきます。しかしその声を発していたものは泥の中へと沈み徒死します、筐体から救いが与えられることもなく。

パンドーラーの箱に関してはもはや説明はいらないでしょう。人類最初の女性であるパンドーラーが神から与えられた箱を開けてしまうと、中から様々な災い、絶望が飛び出す。驚いたパンドーラーは蓋を閉めてしまい「ἐλπίς」のみが箱の中に残った。この箱の底に残った「ἐλπίς」が「希望」であり、希望は人類の元にまだ残っているというのが一般的な説明です。一説には「ἐλπίς」は「予兆」であるともされ、予兆が箱の中に閉じ込められたため人類は恐るべき未来を知ることができなくなったとされることもあります。

さて、「ἐλπίς」とは本当に希望なのでしょうか?泥沼に沈みながら箱という希望に縋り続ける人々、その姿は幸福に見えるでしょうか?そもそもその箱は本当に希望ですか?きちんと箱から流れる声は聴こえているのでしょうか?

人類は希望が残っていると信じてしまうから、災いに立ち向かわなくてはならなくなったのではないでしょうか?希望が無ければ絶望することもなかったのではないでしょうか?いっそ、最初から絶望と仲良くする方が幸せなのではないでしょうか?

果たして出来上がったオルゴールの音は希望に聴こえるのでしょうか?絶望に聴こえるのでしょうか?




特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。