企画案2024-429: "私という遺作"
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名前: シルヴェリオ・ザンケッタ

タイトル: 私という遺作

必要素材:

  • 特殊加工された人革 1枚 (面積が必要なため背中の皮を利用)
  • 下腿 2本 (脛骨と腓骨を取り出す)
  • 毛髪 十分量
  • 鋭利に切断した細い金属管 1本
  • 抗血栓薬

要旨: 本企画はライブペインティングパフォーマンスショーである。事前準備としてキャンパスを組み立てておく。脛骨2本と腓骨2本を縦横に並べ四角形を作り、毛髪で固定する。そこへ人革を張りキャンバスとする。この人革に対して絵を描くことになるため、あらかじめ表面に特殊処理を施し"インク"が載りやすいように加工しておく。

ギャラリーのオープン時、私のブースにはキャンバスのみを置いておく。ある程度時間が経ち会場に十分人が入ったら、私は車イスで姿を現す。キャンバスの前に座ったら私は首の頸動脈に金属管を突き刺す。管からはとめどなく血が流れ続けるだろう。念のため血が固まらないように事前に抗血栓薬を飲んでおく。

あふれ出た血を手で受け止め、毛髪で作った筆に染みこませてキャンバスに絵を描く。何を描くのかは当日のお楽しみにさせてもらう。少なくとも私の人生を表すような絵にするつもりだ。むろん筆を動かしている間も血は出続ける。"終わり"が来るまで、私は筆を止めない。私の体重から計算するに、1リットルほど失えばショック状態になり1.5リットルほどで失血死するようだ。そこまでに私が想定している絵を描ききれるかどうかはわからないが、筆が止まったところまでがこの作品となる。

意図: この作品は私そのものになる。

私は17のころ初めて展覧会に出展した。盛況だったというわけではないが、何人かの方にお誉めの言葉を頂いたり目をかけて頂いたりした。駆け出しのペーペーにしては大成功といってよかった。その後いくつかのサロンに参加させて頂き、積極的に会合に出て作品を発表した。忘れもしない27歳の時、発表した『花咲く炎餓のキッチン』が大当たりした。何か受賞したというわけでなかったが、この作品でずいぶん私の名は広まったし、多くの重鎮からも称賛された。

だが思えばその頃が私の頂点であったかもしれない。それから40年間活動してきたが、未だにあの評価を超える作品は作れていない。私を慕う弟子のような3人はいるものの、いくつかの展覧会で佳作をとったきりで目立った功績などはないままズルズルとここまで続けてしまった。最近はもう私自身の作品は部屋の隅に置かれ、見向きもされなくなっている。だから、後進に道を譲りここらへんで私に終止符を打とうと考えた。

この作品は私の全てで、私そのものだ。私の血はインクで、私の手はパレットで、私の髪は筆で、私の骨と肌はキャンバスだ。そこに描かれるのはこれまでの私が歩んできた旅路。たとえ描き切れなかったとしてもそれはそれで私の人生なのだろう。私の死と引き換えにアナーティストとして最後にこの世界に遺す、文字通り遺作となるのだ。

最後に我が弟子のマカブル、サルコ、イシュタムに告げる。私は先にこの世から去ることになるだろう。事前に相談すれば君たちは私を止めるだろうから、この作品は私一人で計画を行った。大したものを残せなかった不肖の師であったが、この最後の作品がせめて今後の君たちの創作やあり方、ともかく何かに役立てば私は幸せだ。

















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