企画案2024-529: "美への羽ばたき"
評価: +45+x
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名前: コーナー・ビル

タイトル: 美への羽ばたき

必要素材:

  • 私、コーナー
  • 私の妻、ナタリー
  • 美容整形装置「cocoon」

要旨: "美への羽ばたき"は私とその妻による公演作品です。観客が集まったところで、私が妻に対する愛を語り始め正式に公演開始となります。

私が愛を語り終えた後、妻には「cocoon」によって生まれ変わってもらいます。cocoonは蛹を摸したデザインが特徴的なカプセル型美容整形装置であり、日本生類創研が培ったノウハウを活かして開発したものです。昆虫の完全変態から着想を得ており、中に入った人間は液状となるまで溶解した後に望んだ容姿へと身体が形成されます。本公演で用いるcocoonは日本生類創研に依頼して特殊な調整を施していただいたことで、液状化した後は人ではなく同じ質量を有した1匹の蝶に形成されます。

醜さの象徴たる虫となってcocoonから這い出た妻を私は抱擁し、そっと優しく口づけをします。頭部から、胸部、腹部、足や羽に至るまで、愛を伝えるように。

最後、妻が羽ばたいていくことで幕が降りて終幕となります。

意図: この公演の意図は容姿を問わない愛の美しさを芸術的に表現することにあります。

知人によく言われるのです。芸術家は妻まで美しいんだね、と。一見してなんの変哲もない世辞に聞こえますが、私にとってはある意味で侮辱に等しいものです。何故なら、「妻の容姿が醜ければ結婚しなかっただろう」と私の愛を逆説的に否定されているように感じるからです。外見至上主義者と扱われては堪りません。

確かに妻は美しい……まさに芸術品です。私は芸術家として徹底的に美を求める性分であることから、知人の多くは妻の美貌こそが結婚の決め手になったと考えているようでした。しかし、それは誤りです。

私を惹きつけたのは容姿ではなく心……私の芸術を全面的に理解し、徹底的にサポートしてくれる献身的な精神なのです。彼女は私の表現したいことを汲み、求めることの全てに応じてくれます。本企画のような身体的リスクを伴うものも例外ではありません。公演後に元の姿へ戻るとはいえ、cocoonでの生体再構成は身体に多大な負担をかけることも考えられます。そんなものでさえ妻は笑顔で快諾してくれました。このような素晴らしい妻のことを思う度に、私の愛は溢れて止まらなくなります。溢れんばかりの愛を表現すれば、私の追い求める至高の美に近づくと考えたのです。

また、タイトルは昆虫学者であるカロール・ウィリアムズ博士が行った"死への羽ばたき"と呼ばれる実験がもとになっています。cocoonが繭を模していることに加え、この公演は私にとって実験であるとも言えるからです。妻が醜く変態した後、その愛が潰えないかどうかを確かめる実験……愛が不変であれば醜い昆虫に口づけさえも出来ると思うのです。これが、この公演に隠されたもう一つの意図になります。

私は本公演で愛を確かめ、表現し、そして証明したいのです。








 

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