相貌失認ハブ
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「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」(L.トルストイ『アンナ・カレーニナ』)

そして、今や不幸も数えるほどしか存在しない。


本カノン内における人類は、ある時を境に無条件な『幸せ』を抱え込むことになってしまった。彼ら・彼女らは目の前で肉親を屠られようと、自身が肉の裂けんばかりの拷問を受けようと、『幸せ』を感じている。そうした人たちは決して苦しみを覚えず、一様に楽しそうな仮面をその顔に貼り付けて日々を過ごす。

一方で、そんな中でも"通常の"情動を保つ人類が僅かながら存在している。通常の情動を保っている人々は、『幸せ』な人と話すたび、その精神的な平坦さに絶望するだろう。取り残されてしまったまともな人々は、やがて周囲の『幸せ』そうな顔の違いを区別する必要が無くなっていく。最早外見がいくら違えども、その中身はほとんど同じになってしまったのだろうから。

……そしてこんな状況でも、財団はその世界が終わらないよう、只管に努力を強いられている。しかし、一部のまともな職員は『幸せ』に溺れる周囲の無理解に苦しみ、人手の少なさに悩み、心に這い寄る孤独感に焼かれている。

眩い『幸福』の光が溢れる世界で、人類はどのような道を歩むことになるのだろうか。

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