雑居ビルの一室に集う、百歩蛇の手の生き残りたち。鳥型妖精の目を通して、レンジとラムダを見守るアレン。帯電弾で撃墜された二人組に加勢を試みるも、GOC側の使い魔に阻まれ断念。仲間たちには両者接敵とだけ告げる。無表情に背を向けるシエスタに、アレンは問いかけることが出来ない。ラムダがヅェネラルに騙されていたと知りながら、彼女を裏切り者呼ばわりしたのか、と。
中央図書館近傍の林。ぶつかり合う二人組と排撃班ヤシオリ。班長ナギは上層部から託された密命を思い出す。奴らが持つ本を回収せよ、決して血で汚してはならない。レンジの所持品に本は見当たらない。それを確認したナギが前班長の仇を討とうとした、その時。足元に転がっていたスキットルが弾け、飛び出した中身がナギを昏倒させる。
時は少々遡さかのぼる。スキットルの中で過去を夢見るラムダ。レンジと出会った日。二人ぼっちで歩き続けた日。百歩蛇へ入り、レナーデから名前をもらった日。レナーデをGOCに奪われ、その仇討ちをシエスタと誓い合った日 それが人間らしい行いだと信じて。
そして、ヅェネラルのお膳立てでレナーデの仇を討ち、それが同級生の父親だと知ったあの日。愕然とするラムダに、レンジは「自分は生きてもいいか」と尋ねた。相棒は変わらない、相変わらず純粋だ。人間を真似ているだけの自分とは違って。違うからこそ守りたい。外の異変を察知するラムダ。自分たちの第一目的は「二人で生き残る事」だ。それだけを胸に、ラムダはスキットルから飛び出していた。
そして、現在。昏倒も束の間、ナギは再びレンジに斬りかかる。彼は前班長の仇に、己の鏡像を重ねていく。人間の形をしているだけの機能 なぜ前班長は、こんな自分を後継者に選んだ? 死闘の果て、敗走に移った二人組に、キョウの帯電弾が襲い掛かる。しかし、突如出現した謎の障壁が弾を阻み、二人組は辛くも逃げ延びる。
空き家の庭に隠れる二人組。記憶が混乱しているラムダに頼まれ、レンジは己の過去をたどたどしく語る。GOCに襲撃された生家。瓦礫がれきに息を潜めていたら、いつの間にか開花していた能力。暴力団にその能力を買われ、鉄砲玉になる。そして、抗争に巻き込まれて死に掛け、ラムダに出会う。「あんなに大勢死んだのに、自分だけ生きていいのか」。疑問を漏らしたレンジに、当時は名無しだった金属生命体は、武器を握る拳を真似た。生きろ、そして戦え レンジはそう解釈し、その手を握り返す。かくて、一匹と一機は二人になった。
レナーデの仇を討った、あの日。後悔に苛さいなまれるラムダに、レンジは何と言ってやるべきか分からなかった。大局的な方針は彼女に任せきりだったから。だから、あの質問を繰り返した 「自分はまだ生きてもいいのか」。当たり前だと、今度は言葉でラムダは応えた。だから、これからも基本方針は変わらない。二人で生き残る。それにしても不可解なのは、自分たちを守ったあの障壁 。
再び、時は少々遡る。月下の中央図書館前に佇たたずむ、ごく普通の高校生らしき少女。しかし、その前を通り過ぎるGOCの評価班は、彼女の存在を全く認識出来ない。少女は何者かと会話している。全て予言通り あのダンスは無敵だ あの場に本はなかった そして。
「あのはぐれメタルみたいなの 確かに、凛音りんねの声だったなぁ」