宮崎市がん患者タナトマ抽出訴訟 第一審は原告が敗訴 宮崎地裁
公開日 2030年5月28日14:20
宮崎地方裁判所
宮崎市の病院に入院していた吉田亮平氏(76)が自分の許可なくタナトマを抽出されたとして佐々木健吾氏(39)に約300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、宮崎地裁であった。裁判官は被告には賠償金支払いの義務はないとして原告の訴えを退けた。
吉田氏は末期がんの症状に苦しんでおり、佐々木氏が医師として勤めていた病院に入院していた。吉田氏はタナトマ抽出を忌避しており、一度もタナトマを抽出したことがなかった。今回も「自分に与えられた運命に従う」としてがんのタナトマ抽出による延命治療を拒否していたという。つまり佐々木氏は患者の意思を無視してタナトマを抽出したこととなる。
今回の裁判では個人の「不死にならない権利」を認めるかどうかが争点となった。「不死にならない権利」とは言葉の通り、タナトマを抽出せずに特定の死因に対して不死にならないことを選択する権利である。原告側は、佐々木氏は医師として患者である吉田氏の意思を尊重すべきであったが、それを無視してタナトマを抽出し吉田氏の意思決定権を侵害したと主張していた。しかし関義純裁判長は「被告は医師として救える患者の命を救う義務を全うしたに過ぎない。またタナトマ抽出の拒否は自死と同等であり、医師としてそれを認めるわけにはいかないのは当然のことである」とのことであった。
このことにより、実質的に現時点では「不死にならない権利」は認められないということが示されることとなった。原告側は「不死にならない権利は、吉田氏と同じ意思を持つ人々のためにも認められるべき権利である。判決は到底受け入れられるものではない」として控訴の意を表明している。
有識者は語る
「今回のように不死を望まない患者を担当することになった医師は板挟みとなってしまう状況にある」とタナトマの抽出状況に詳しい坂木李緒氏は話す。仮に患者の意思を尊重しタナトマを抽出しなければ、場合によっては保護責任者遺棄致死罪や殺人罪に問われてしまう可能性がある。また逆に患者をタナトマ抽出によって延命しようとすると、患者の意思に背くことが必要になる。そのどちらかを選ぶ必要があるため医師にとっては難しい決断となってしまうという。
仮に不死にならない権利が認められた場合、タナトマを抽出しなくても患者の意思を尊重したためということになり罪は問われなくなるかもしれない。このことは「医師の負担を軽減することにつながる」として不死にならない権利に賛成派の理由の一つとなっている。その他の理由としては「患者の自己決定権を尊重すべき」「タナトマを抽出することは不自然」などが主張されている。
逆に反対派の理由は「残される遺族の気持ちを考えるべき」「治療のために医師や家族に負担がかかる」「社会保障費が大きくなる」などが主張されているが、一番の理由としては「不死にならない権利は死ぬ権利と同義である」ということが挙げられている。
坂木氏によると、日本人はタナトマを抽出することに好意的な傾向があるそうだ。そのため、そもそも不死にならない権利を求める人は現状では少数であるという。不死にならない権利が認められるにはまだ世論の形成が進んでいないと坂木氏は指摘している。実際、不死にならない権利に関してはタナトマ導入期から既に議論されていたがタナトマ導入が先行したことで結論が出ないまま先送りにされてしまっていた。
このような事件は前例がないため今後の判例になる可能性がある。判決によってはこれからの社会にも影響を与えるかもしれない。裁判の展開から目を離せない。
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