銃を繕う
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2本のテキストが見つかりました。
修復派による銃撃ちの洞察 (喪失文書の部分的復元);
正された奇跡;

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……銃工牧師たちのこうした論議は不毛な争いを生んだに過ぎなかった。各々の銃を取り合い誤った観念の発射を“聖戦”と嘯く堕落撃ちども。回転派が革命(Revolution)の夢見に耽溺すれば、反動派は凍り付いた世界に引きこもり真理にすら唾を吐く。

彼らは三位一体を忘却した。主人たる懐中銃を、意思たる弾丸を、目標たる標的を脳の内で圧縮し不発のそれとして排出した。死した魔弾の数々が行き場も無く漂流し、悪しき混沌(Chaos)だけが明瞭であるべき視界を占有する。このような世界で標的の着地を望めるのだろうか? 否! 否!

教会(Church)は道を正さねばならない。我々の小さな神(Little God)の姿を直視せよ。銃把グリップは血と土で汚れ果て、銃口マズルは極刑者の如き苦悶の声を挙げる。ならば、我らの唯一神は……

F.H.

私は奇跡を直視した。

F.H、君が説き続けたことは正しかった。磨き上げられた全ての懐中銃が正しき方向へ標準を合わせたその時刻、熱されたマニラの都市に供犠の門が開かれたのを私は見た。歓喜に震える天使(Angel)が姿を現し、聖銃と魔弾を清めその機構を修復した。神学で述べられた御業が目の前にあった。余りにも美しい。見えざる法則無しに成り立たぬ事象が奇跡なのであれば、私が目にしたのはやはりそうだったのだろう。

されど、奇跡は崩れ落ちる運命に縛られている。門は腐敗の廃弾を吐き出しながら新世界を閉じた。天使は堕落者と同じ末路を辿り銃撃によって命を散らした。聖銃は再び破壊された。もはや、その機能を再び逆転することは不可能だった。

F.H、君は一つだけ過ちを犯した。教会と世界を救う唯一の道は修復(Repair)だと今も信じている。だが、この世の全ては神にすら手が負えないほど壊れ果てていたのだ。兄弟よ、すまない。

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バウティスタ神父: 今回フィリピンで起こった銃撃事件の真相を“狼”たちは掴みかねている。だからこそ、“羊飼い”の私は過去という歴史を参照したまでだ。過去に“ガン・チャーチ”の一派が引き起こした“奇跡”……この資料は小さくも興味深い何かを示唆しているように思える。

キルッカ牧師: それを“奇跡”と呼ぶつもりはない。

バウティスタ神父: 通俗的表現だよ。法廷ではより相応しい言葉が与えられるだろう。

キルッカ牧師: その方が望ましいな。それで、あの銃のカルトのテキストからは何か意味のある洞察は得られたのか?

バウティスタ神父: 中東とインドネシアを別としてイニシアチブはアジアに多くの資産を割いている訳ではない。必然的にこの地で活動する宗教結社の情報は常に不足している。例えフィリピンというカトリックの教えが色濃い地域であってもな。

キルッカ牧師: 随分と話が回りくどい。分かっていることを話せ。

バウティスタ神父: 確かなのは銃教徒はフィリピンで多数派を形成しえなかったということだ。フィリピンだけではない。イニシアチブの傘下組織は世界中の地域で往々にしてかれらの分派を目撃してきた。米国、メキシコ、ベネズエラ、ペルー、ナイジェリア、南ア……全ての例でかれらは細分化された小規模な少数派だった。

キルッカ牧師: 離散せし民ディアスポラのようなものだと?

バウティスタ神父: そうとも言える。彼らの謎めいた起源はリンカーンの暗殺にまで遡るが、初期の教会が開かれて間もなく13人の牧師は自身の解釈を絶対化し始めた。その結果が現在だ。ある分派は回転・循環というサイクルを革命に見立て、決起が失敗した後に全員がリボルバーで自殺した。またある分派は反動を神聖視し、理論を形成し続けた後に片田舎で姿を消した。他も似たようなものだ。かれらは運命はおそらく失敗することにある。

キルッカ牧師: だが、それが今回の件とどう関係しているというんだ?

バウティスタ神父: 修復だ。

キルッカ牧師: 修復?

バウティスタ神父: フィリピンの分派は銃を手入れし壊れた機構を復元することに神学的意義を見出していた。銃教徒が銃によって世界を解釈しているとすれば、かれらのそれは世界全体を正常な位置へと戻す行為と同義だったということだ。

キルッカ牧師: 時間を無駄にしたな。異教徒の神学論争に耽るのは無意味ですらなく有害だ。法廷が間もなく方針を提示するだろう。銃教徒のカルトは我々と違い大衆に広がることなく途絶えた。ただ、それだけの事実に意味を見出すな。

バウティスタ神父: ……そうかもしれんな。だが、学ぶべきこともある。あらゆる宗教は慈悲なき世界に慈悲を生むために存在する。その点においてかれらと私は何ら変わりない。我々もまた世界を修復Repairしようとしているのだ。


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